技能実習とは?制度の仕組み問題点・受け入れの流れを徹底解説

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外国人雇用を本音で語る「リクアジの編集部」の上田です。本日のトピックはこちら!

技能実習制度の仕組みと受け入れ体制
技能実習生のサポート要件と受け入れ人数のルール
技能実習制度の課題と今後の改善方向性

日本の労働力不足の解決策として注目される「技能実習制度」発展途上国からの実習生が日本で技術を学び、母国で活かすことを目的とするこの制度について、本記事では仕組みや受け入れの流れ、課題を詳しく解説します。続きをぜひご覧ください。

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技能実習制度の概要

技能実習制度とは?

技能実習制度は、1993年に日本で創設された制度で、発展途上国から来た技能実習生が日本で働きながら技術や知識を学び、それを帰国後に母国で活かすことを目的としています。これは「国際貢献」の一環として、日本企業が自社で培った専門スキルを実習生に教え、発展途上国の産業や経済の発展を支援するための制度です。

技能実習生が日本で習得する技術は、帰国後に現地の生産性向上や産業発展に貢献できるもので、労働力不足を解消するための制度ではなく、あくまでも「技術移転」を目的としています。

技能実習生の受け入れ人数推移

日本に在留する技能実習生の数は、年々増加しており、令和5年末時点で約40万4,556人に達しました。これは、日本に在留する外国人全体の約11.9%を占め、過去最多だった令和元年の41万972人に次ぐ過去2番目の多さとなっています。新型コロナウイルスの影響で一時的に減少したものの、コロナの影響が和らぐ中で再び増加傾向にあります。

外国人技能実習制度について

技能実習制度の対象職種

技能実習制度の対象職種は、2024年9月30日時点で91職種167作業が指定されています。
これらの職種は、農業、製造業、建設業、介護業、食品加工業など、多岐にわたる分野が含まれています。

たとえば、農業や食品加工業では、作物の栽培技術や衛生管理が学べます。また、建設業や製造業では、作業の安全管理や専門技術が求められ、介護業では高齢者のケア技術を学びます。日本で身につけたこれらのスキルが、技能実習生の母国での産業発展に貢献することが期待されています。

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制度が複雑なので、困った時は気軽にお問い合わせください!

技能実習の3つのステージ

技能実習生は、各ステージで求められる試験をクリアすることで次のステージへ進むことができ、最長で5年間日本で実習を続けることが可能です。

技能実習生の受け入れ方法

技能実習生を受け入れる方法は、大きく分けて「企業単独型」「団体監理型」の2種類があります。

企業単独型:企業が海外の提携先から技能実習生を直接受け入れる方式
団体監理型:
監理団体が技能実習生を取りまとめ、企業に紹介する方式でサポートや監査も行います。

企業単独型

企業単独型は、日本の企業が海外にある関連会社や提携先から技能実習生を直接受け入れる形式です。特に日本の技術を母国で展開する日系企業や、日本と強い関係性を持つ現地企業との間で利用されています。この方式では、企業が技能実習計画を作成し、実習生の技術習得の指導を直接行います。

受け入れ条件
  1. 現地に関連企業がある(子会社や取引先など)
  2. 安定した経営があること
    目安として、最低年間売上数億円規模
    自己資本比率20%以上が望ましいなど

団体監理型

団体監理型は、監理団体と呼ばれる専門機関が技能実習生を取りまとめ、受け入れ企業に派遣する方式です。日本の中小企業など、直接技能実習生を管理する体制が整っていない企業にとって、団体監理型は非常に有効な方法です。監理団体は、技能実習生が適切な環境で実習を行えるように、定期的な監査やサポートを提供します。

技能実習生を採用している90%以上が団体監理型選択しています。

技能実習生の受け入れの流れ

技能実習生を受け入れるには、いくつかのステップがあります。以下に、一般的な受け入れの流れを紹介します。

POINT!
  1. 監理団体との契約(団体監理型の場合): 企業は監理団体と契約を結び、受け入れ準備を進めます。
  2. 送出機関の選定: 実習生の母国にある送出機関が、適切な候補者を選定します。
  3. ビザ申請と入国: 日本への入国に必要なビザを取得し、入国後は所定の講習を受けます。
  4. 技能実習開始: 企業に配属され、現場での仕事を通じて技術や知識を学びます。
  5. 評価試験の実施: 各ステージの終了時にテストを実施し、合格する必要はあります。

技能実習生の入国から実習開始までには、これらのステップを順に踏む必要があり、企業と監理団体、送出機関が連携して進めていきます。

技能実習制度の問題点

技能実習制度には多くのメリットがありますが、課題も少なくありません。以下に、主な問題点を挙げます。

問題点

・労働環境の問題
・言語と文化の壁
・転職の制限
・監理団体の質の差
・技能実習の目的と現実のギャップ

労働環境の問題

一部の企業や監理団体では、技能実習生が低賃金や長時間労働に従事させられる事例が報告されています。実習生は日本の労働環境や権利に関する知識が不十分であることが多く、不当な労働条件を強いられても訴えにくい立場にあります。結果として、劣悪な労働環境で働かざるを得ない実習生も存在します。この状況は、監理団体や受け入れ企業に対する不信感を生み、技能実習制度への批判の一因となっています。

言語と文化の壁

技能実習生の多くは、日本語が不十分な状態で来日します。そのため、職場でのコミュニケーションが難しく、誤解やトラブルが発生することがあります。また、日本の職場文化や礼儀、仕事の進め方に慣れていない実習生にとって、日本の労働文化に適応するのは大きな課題です。これにより、指示の理解不足や、同僚との関係で悩むケースも少なくありません。

転職の制限

技能実習制度では、技能実習生は原則として転職が認められていません。仮に不適切な労働環境や人間関係の問題があっても、他の企業に移ることができないため、問題が長期化する傾向があります。

これにより、精神的な苦痛や健康被害を受ける実習生が増えることにもつながっています。転職ができない制約は、技能実習生の安全や健康を守る上での大きな課題となっています。

監理団体の質の差

技能実習制度では、監理団体が実習生のサポートやフォローアップを担う重要な役割を果たしますが、実際にはその質に大きなばらつきがあります。支援が十分でない団体も存在し、実習生が労働環境の改善やトラブル対応で孤立するケースも見受けられます。

また、監理団体によっては、実習生へのサポートが形だけにとどまり、実習生の悩みや問題に積極的に対応しないこともあります。

技能実習の目的と現実のギャップ

技能実習制度は「技能移転」が目的とされていますが、現場では実習生が労働力として依存されている場合も少なくありません。企業によっては、人手不足解消のために技能実習生を採用し、技能移転という本来の目的が軽視されることもあります。

このようなギャップが制度の信頼性を損ね、技能実習制度全体の改善が求められる理由の一つです。

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技能実習生から特定技能への移行

技能実習制度を修了した実習生は、希望に応じて「特定技能」という新しい在留資格へ移行することが可能です。特定技能とは、日本の人手不足を補うために導入された在留資格であり、特に建設業や介護業などで需要が高まっています。

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何が違うの?

技能実習生の受け入れに必要な準備とサポート体制

技能実習生の受け入れに際しては、日本での指導や生活のサポート体制がしっかり整っていることが求められます。以下は、技能実習生の受け入れに関する要件について、より分かりやすく説明していきます。

技能と生活の二人三脚サポート

まず、技能実習生には専門的な技術を教える「技能実習指導員」と、日常生活をサポートする「生活指導員」が必要です。技能実習指導員は、例えば工場で機械を扱う技術者など、実習生が目指す技術に関して5年以上の経験がある人に限られます。この経験に基づいて、実習生が必要とする技術や知識を効果的に伝えることが求められています。

一方で、生活指導員は、日本での生活について適切なアドバイスを行います。例えば、ゴミの分別や公共交通機関の利用方法など、日本独自の文化や生活ルールをわかりやすく伝えます。実習生にとって、初めての国での生活は不安が多いものですが、生活指導員のサポートがあることで、安心して日本での生活に適応しやすくなります。

生活指導員を取得するには?
日本語能力文化理解
・生活指導員向けの研修受講
(必須でなく、推奨)

技能実習生の受け入れ人数に上限がある

受け入れ可能な技能実習生の人数は、受け入れ先の常勤職員数の20分の1以内と決められており、この人数上限は適切なサポートを確保するために設けられています。常勤職員が5名であれば、受け入れられる実習生は最大でも1名となります。このように人数を制限することで、指導員が過負荷にならず、一人ひとりにしっかりと目を向けられる体制が整えられます。

常勤職員とは?

安定した雇用契約のある職員を指し、業務委託やフリーランスは含まれません。ただし、パートやアルバイトでも雇用保険に加入している場合、常勤職員とみなされることがあります。雇用条件は、雇用形態や労働時間、福利厚生も含めて総合的に判断されます。

不正行為の監視と報告義務

万が一、暴力や賃金未払いなどの不正行為が発生した場合、地方入国管理局へ報告する義務があります。

実習生が適切な労働環境で働けるよう、不正行為の発生を防ぐことはもちろん、もしも発生した際には速やかに対処する体制が必要です。このような管理体制により、技能実習生の人権が守られ、健全な受け入れが行われるようになっています。

安心して帰国できるサポート

技能実習制度の目的のひとつは、実習生が習得した技術や知識を母国へ持ち帰り、現地の発展に寄与することです。そのため、実習を終えた後も帰国旅費の担保措置が取られ、経済的な負担なく帰国できるようなサポートが整備されています。これにより、実習生が安心して帰国できる環境が確保されているのです。

技能実習生の受け入れには、多くの準備や配慮が必要ですが、実習生が日本で学んだことを母国に持ち帰り、さらなる発展に貢献できるよう支援することは、双方にとって大きなメリットがあります。

技能実習制度の将来と改正の動き

技能実習制度は年々見直しが進められており、今後も改善が期待されています。技能実習制度の大規模な改正は2027年に制度の名称が「育成就労制度」に変更される予定で、より透明性の高い運用や技能実習生の権利保護が強化される見込みです。これにより、技能実習生が安心して働ける環境が整い、日本企業と技能実習生の間で信頼関係が築かれることが期待されています。

まとめ

技能実習制度は、発展途上国からの実習生が日本で技術を習得し、それを母国で活かすことを目的とした制度です。日本の労働力不足を補うだけでなく、国際貢献としての役割も担っています。しかし、受け入れに際しては労働環境やサポート体制などの課題もあり、今後の改正が期待されています。技能実習制度をより理解し、受け入れの準備をしっかり整えることで、日本企業と実習生の双方にとってより良い関係が築けるでしょう。

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この記事の監修者

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キャリアアドバイザー
秦 秀斗

大学卒業後、経営コンサルティング会社に入社し、企業の経営支援に携わる。その後、dodaを運営するパーソルキャリアにて、様々な方の転職支援に従事。その経験を活かし、株式会社JINにて、人材事業を開始。

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