特定技能「建設」採用ガイド:外国人材の活用法と企業要件

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外国人雇用を本音で語る「リクアジの編集部」の上田です。本日のトピックはこちら!

・特定技能「建設」とは?
・特定技能「建設」が働ける職種
・受け入れ企業に必要な要件

特定技能「建設」は、建設業界の人手不足を解消し、業界の成長を支える重要な制度です。しかし、外国人材の採用には企業側の準備が必要です。具体的な採用方法から企業要件、支援体制まで、外国人材をスムーズに受け入れるためのポイントを詳しく解説します。

特定技能「建設」とは?

2019年4月に新設された在留資格「特定技能」により、建設分野で外国人材の就労が可能になりました。特定技能は12分野に分かれ、技能レベルに応じて1号と2号の区分があります。特に建設業では2号の試験が先行実施され、既に認定者もいます。他業種に比べて外国人材を採用しやすい仕組みが整い、深刻な人手不足を補う重要な役割を果たしています。

特定技能「建設」誕生の背景

日本の建設業界では、深刻な人手不足が続いており、従業員数は1997年の約685万人から2023年には約500万人に減少しました。さらに、技能労働者の平均年齢は約47.9歳と高齢化が進み、若い働き手の確保が課題となっています。一方で、老朽化したインフラの修繕や大規模プロジェクトの進行により、需要は増加しています。このような状況を受けて、政府は特定技能「建設」を通じて外国人材の受け入れを推進していますが、依然として需要には追いついていません。外国人材の役割は、今後さらに重要になると見込まれています。

国土交通省資料参照

「人手不足の動向調査」で、従業員不足の第1位は建設業。正社員が不足していると回答した企業は51.9%に達しました。

特定技能「建設」が働ける職種を解説

特定技能「建設」では、2022年8月に業務区分が見直され、現在は「土木」「建築」「ライフライン・設備」の3つの区分に統合されています。以下、それぞれの区分で外国人材が従事できる主な職種を紹介します。

【区分①】土木

土木区分では、以下のような作業に従事できます。

カテゴリ業務内容
主な業務型枠施工 / コンクリート圧送 / トンネル推進工 / 建設機械施工 / 土工 / 鉄筋施工 / とび / 海洋土木工 / その他土木施設の新設・改築・修繕
間接業務原材料・部品の調達 / 搬送 / 機器・装置・工具等の保守管理 / 足場の組立てや設備掘り起こしなどの後工程準備作業 / 足場の解体や設備埋め戻しなどの前工程片付け作業 / 清掃 / 保守管理作業など

【区分②】建築

建築区分では、建築物の新築や改築などに関わる以下の作業が対象です。

カテゴリ業務内容
主な業務型枠施工 / 左官 / コンクリート圧送 / 屋根ふき / 土工 / 鉄筋施工 / 鉄筋継手 / 内装仕上げ / 表装 / とび / 建築大工 / 建築板金 / 吹付ウレタン断熱 / その他建築物の新築・改築・修繕
間接業務原材料・部品の調達 / 搬送 / 機器・装置・工具等の保守管理 / 足場の組立てや設備掘り起こしなどの後工程準備作業 / 足場の解体や設備埋め戻しなどの前工程片付け作業 / 清掃 / 保守管理作業 など

【区分③】ライフライン・設備

ライフライン・設備区分では、インフラ整備や設備設置に関わる以下の作業が該当します。

カテゴリ業務内容
主な業務電気通信 / 配管 / 建築板金 / 保温保冷 / その他ライフラインや設備の整備・設置・修理
間接業務原材料・部品の調達 / 搬送 / 機器・装置・工具等の保守管理 / 足場の組立てや設備掘り起こしなどの後工程準備作業 / 足場の解体や設備埋め戻しなどの前工程片付け作業 / 清掃 / 保守管理作業 など

これらの業務は特定技能1号と2号で共通しています。ただし、特定技能2号では、建設現場で他の技能者を指導したり、作業工程を管理する能力が必要とされます。

効果的な作業体制

理想的な現場体制として、日本人の現場リーダーの下に特定技能外国人を配置し、その下に技能実習生を配置する方法があります。この体制では、特定技能外国人が母国語でマネジメントを行うことができ、コミュニケーションの円滑化が図れます。また、技能実習生にとっても、将来のキャリアパスが明確になりやすく、モチベーションの向上が期待できます。こうした組織体制を整えることで、効率的な業務運営と人材育成が可能となり、企業の成長に繋がります。

建設分野で特定技能1号を取得する条件

外国人が特定技能1号「建設」を取得するには、いくつかの条件を満たす必要があります。以下で取得条件と方法を詳しく解説します。

【条件①】特定技能評価試験

特定技能評価試験

「建設分野特定技能1号評価試験」は国土交通省が定めた基準に基づき実施され、特定技能1号「建設」を取得するための必須条件です。この試験では、建設業で求められる知識や技能が評価されます。

1号評価試験の概要

スクロールできます
項目学科試験実技試験
問題数30問20問
試験時間60分40分
出題形式〇×式、および2~4択式〇×式、および2~4択式
実施方法CBT方式CBT方式
合格基準合計点の65%以上合計点の65%以上

CBT方式とは、試験をコンピューター上で実施する方法で、受験者が画面に表示された問題に回答する形式です。

【条件②】日本語試験に合格すること

日本語試験

特定技能1号「建設」を取得するには、日本語能力が重要で、以下のいずれかの試験に合格する必要があります。「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4以上)」です。

これらの試験は、日本での生活や業務に必要な最低限のコミュニケーション能力を確認するものです。試験は国内外で実施されており、外国人材が自国にいながら受験できる環境も整備されています。

【その他方法】建設業分野の技能実習2号から移行

技能実習制度の「技能実習2号」を修了すると、特定技能1号「建設」に移行できます。この移行ルートを利用すれば、試験を受けずに特定技能資格を取得可能です。技能実習で建設現場の経験を積んでいれば、その経験が特定技能1号取得後の業務に直接活かされ、即戦力として期待されます。この仕組みにより、技能実習で得た経験を無駄にせず、スムーズにキャリアアップが目指せます。

移行の主な要件
  1. 技能実習2号を良好に修了している
  2. 技能実習で行った職種・作業内容が特定技能1号と一致している

建設分野で特定技能2号を取得する条件

特定技能2号は、特定技能1号よりも高度な技能や経験を要する資格です。現時点では、特定技能2号がある業種は建設業と造船・舶用工業の2つだけです。2022年4月に全国で初めて、岐阜県の中国籍男性が、建設分野の特定技能2号に認定されたことが発表されました。

特定技能2号を取得方法

特定技能2号「建設」を取得するには、試験合格、業務経験、経験年数の要件を満たす必要があります。まず、建設分野特定技能2号評価試験または技能検定1級に合格しなければなりません。さらに、業務内容に応じた現場作業経験が求められ、班長(職長)として工程管理を行う実績が必要です。この仕組みは即戦力の育成を目的としています。

特定技能2号在留外国人は、令和6年5月末時点では98人となっています。

特定技能1号と2号の違い

特定技能1号と2号では、業務内容や在留資格に以下のような違いがあります。例えば、土木作業の場合、1号では指導者の監督下で作業を行いますが、2号では技能者を指導しながら工程管理も行う必要があります。この違いにより、特定技能2号はより高度な責任と役割が求められる資格となっています。

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項目特定技能1号特定技能2号
在留期間1年・6か月・4か月ごと更新(通算5年)3年・1年・6か月ごと更新(制限なし)
技能水準相当程度の知識又は経験を必要熟練した技能(各分野の技能試験で確認)
外国人支援必須。支援計画の策定実施は義務支援計画の策定実施は不要
家族の帯同不可条件を満たせば可能
日本語能力試験の有無あるない

特定技能「建設」の外国人材採用に必要な企業要件

受け入れ企業には、全産業共通の要件に加え、建設業界特有の追加要件もあります。これらは外国人雇用の現状を考慮して設定されています。

全産業の受け入れ企業要件
  • 労働・社会保険・租税法令を遵守
  • 1年以内に特定技能外国人と同業務で離職者や行方不明者を出していない
  • 欠格事由に該当しない
  • 雇用契約に関する文書の保存
  • 外国人に保証金や違約金を負担させない
  • 支援費用を外国人に負担させない
  • 労働災害保険の手続き
  • 適切な契約履行体制の整備
  • 給与の振込支払い

建設業許可の取得

建設業で外国人を雇用するには、軽微な工事を除き、建設業許可の取得が必要です。ただし、許可を受ける建設業の種類と外国人が従事する業務が一致している必要はなく、いずれかの建設業許可を取得していれば受け入れが可能です。許可を取得することで、外国人労働者に適切な業務を割り当てる体制を証明します。

建設キャリアアップシステム(CCUS)への加入

CCUS(建設キャリアアップシステム)は、建設業の技能者のキャリアや技能レベルをデータベース化するシステムです。これにより、外国人労働者の技能や経験が可視化され、適切なキャリアパスの構築が可能になります。特定技能外国人を受け入れる企業は、事業者登録が必要で、外国人労働者も「技能者登録」を行う義務があります。これにより、建設業全体での労働環境の透明性と業務管理の適正化が進みます。

登録方法
  • 事業者登録:インターネットまたは行政書士法人などの登録窓口で申請可能です。
  • 技能者登録:外国人本人がシステムに登録する必要があり、事業者側が登録手続きのサポートを行います。

JAC(一般社団法人建設技能人材機構)への加入

AC(JAC)は、建設業界における特定技能外国人の受け入れを支援する機関で、労働環境の改善や職業紹介、技能評価試験を通じて外国人労働者の育成をサポートします。JACには2つの加入方法があります。1つ目は、正会員団体に加入する方法で、団体会費は必要ですが、JACへの年会費は不要です。2つ目は、賛助会員として直接加入する方法で、年会費と受入負担金が発生します。費用負担は加入方法によって異なります。

国土交通省による建設特定技能受入計画の認定

建設分野では「建設特定技能受入計画」を作成し、国土交通省の認定を受ける必要があります。計画は外国人労働者の技能や業務内容、支援体制を明確にし、適切な受け入れ体制を構築することが目的です。申請は外国人就労管理システムでオンライン申請し、認定には約2か月の審査期間が必要です。修正の可能性があるため、余裕を持った申請が求められ、認定を受けないと在留資格申請ができません。

これらの要件を満たすことで、建設分野で特定技能外国人を受け入れる企業として認められます。企業は労働環境を整備し、外国人労働者が安心して働ける環境を提供することが求められます。

条件を満たせば、一人親方や個人事業主でも採用できます。

特定技能「建設」の外国人雇用にかかる費用

特定技能「建設」で外国人を雇用する際、費用は採用ルートによって異なりますが、特定技能外国人には日本人と同等以上の給与が義務付けられています。受け入れ企業は毎月「受入れ負担金」をJACに支払う必要があります。JACの正会員は年会費36万円、賛助会員は24万円で、受け入れ負担金は海外試験合格者が年額24万円、国内試験合格者が年額16万5千円などです。また、登録支援機関委託費用も別途発生します。

まとめ

特定技能「建設」は、日本の建設業界の深刻な人手不足を解消するために導入された制度です。外国人材の採用には、企業が求める条件を満たすことが重要で、登録支援機関の活用や労働環境の整備が求められます。適切な準備と支援体制を整えることで、即戦力となる外国人材を効率的に活用し、業界の活性化と持続的な成長に貢献できます。

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この記事の監修者

プロフィール画像
キャリアアドバイザー
秦 秀斗

大学卒業後、経営コンサルティング会社に入社し、企業の経営支援に携わる。その後、dodaを運営するパーソルキャリアにて、様々な方の転職支援に従事。その経験を活かし、株式会社JINにて、人材事業を開始。

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