
外国人雇用を本音で語る「リクアジの編集部」の上田です。
本日のトピックはこちら!
・特定技能と技能実習の制度の違いとその背景
・各制度のメリット・デメリットと実務への影響
・技能実習から特定技能への移行方法と採用ポイント
特定技能制度と技能実習制度は、日本における外国人労働者の受け入れ制度として、それぞれ異なる目的と特徴を持っています。しかし、多くの企業や人事担当者はその違いがわからずに悩んでいるのが現状です。
本記事は、外国人材の現場担当者として長年の経験を持つ筆者が執筆しており、信頼性のある情報をお届けします。最後までお読みいただければ、特定技能在留資格の更新に対する不安が解消され、スムーズな手続きが可能になります。

外国人採用を検討するなら必読!特定技能制度の基礎から最新情報までを網羅した解説資料を無料でお届け!5分で読める内容にまとめており、採用計画をスムーズに進めるための必読資料です。
特定技能と技能実習の概要

特定技能とは?
特定技能制度は、日本の人手不足解消を目的として2019年4月に導入された在留資格制度です。この制度に基づいて、日本の16分野で一定の技能と日本語能力を持つ外国人労働者が就労可能となっています。特定技能には「特定技能1号」と「特定技能2号」があり、1号は5年までの滞在が認められ、2号では条件を満たせば在留期間の上限がなくなります。

技能実習とは?
技能実習制度は、主に開発途上国からの技能実習生を受け入れ、日本の技能や技術を学んで母国に伝えることを目的とした国際貢献型の制度です。この制度は最長5年の在留期間が設定されており、研修を通じた技能移転を目指しています。1993年の制度設立以来、農業や製造業など多岐にわたる職種で実施されています。


制度の目的と背景の違い
次に、目的の違いについて見ていきましょう。
特定技能制度:日本国内の深刻な人手不足解消
技能実習制:技能移転を通じた、開発途上国への国際協力
特定技能制度の目的
特定技能は、日本国内の深刻な人手不足に対応するために設立されました。対象となるのは、日本経済の持続性を支えるために必要な特定の産業分野で、即戦力となる外国人労働者の受け入れを目的としています。
技能実習制度の目的
一方で技能実習制度は、日本の技術や知識を開発途上国に伝えることを目的としています。技能実習生は「研修生」として日本に来日し、一定の期間を通して技能を習得し、母国の経済発展に貢献するために帰国することが求められています。
簡単に言うと、「日本で習得した技能を持ち帰り、母国の発展に活かしてほしい」ということです。

大体わかったけど、外国人雇用のメリット・デメリットって何だろう、、?


就業可能な業種・職種の違い
特定技能と技能実習の大きな違いの一つに「就業可能な業種・職種」があります。それぞれの制度が対象とする業種や職種、業務の範囲には大きな特徴があるため、以下にまとめました。
項目 | 特定技能 | 技能実習 |
---|---|---|
対象業種 | 16分野 | 90職種165作業 |
対象業種 | –建設(型枠施工など) –農業(作物栽培) –宿泊(フロント業務、清掃) –外食業(調理、接客)など | –介護(介護全般)–機械加工(部品組立、操作) –食品加工(製造、包装) –農業(稲作、果樹栽培) –建設(配管、溶接)など | –繊維・衣服製造(縫製、仕上げ作業)
業務の範囲 | 比較的広範囲で、多様な業務に対応可能 | 職種ごとに業務内容が定められている |
業務柔軟性 | 変更も柔軟 | 幅広い職務が可能で、職務内容の細かい規定あり | 限定された業務のみ従事可能で
※詳しい職種はこちらのP42以降を確認ください。
特定技能は、技能実習と比べてより幅広い業務を行うことが可能です。
技能実習生は、一定の条件を満たすことで特定技能に移行できるため、混同されやすいですが、技能実習で認められているものが特定技能では認められない場合や、その逆もあります。


在留期間の違い
以下に、特定技能と技能実習の在留期間の違いについて表でまとめました。
特定技能は長期的な就労が可能な制度である一方、技能実習は研修を目的とし、在留期間に制限が設けられています。表を参考に、それぞれの制度の特徴をご確認ください。
項目 | 特定技能 | 技能実習 |
---|---|---|
在留資格の種類 | 特定技能1号・特定技能2号 | 技能実習1号・2号・3号 |
在留期間 | – 特定技能1号:最長5年 – 特定技能2号:無期限(更新可能) | – 技能実習2号:2年(1号修了後) – 技能実習3号:2年(2号修了後) 最長5年 | – 技能実習1号:1年
移行条件 | 特定技能1号から2号へは、一定条件を満たすことで移行可能 | 1号から2号、2号から3号へは技能試験の合格が条件 |
帰国について | 日本での長期就労が可能(特定技能2号は無期限) | 母国への帰国が前提(再入国条件が厳格) |
家族帯同 | 特定技能2号で帯同可能 | 不可 |
転職の可否 | 可能(同一職種に限る) | 不可 |
特定技能の概要
- 特定技能1号:期間が合計5年を超えることはできません。主に即戦力として働くための基本的なスキルを持つ外国人労働者が対象です。
- 特定技能2号:特定技能1号の在留期間を全うし、一定の条件を満たすことで2号に移行が可能です。特定技能2号では、在留期間に制限がなくなり、更新を続ければ無期限に日本で就労ができます。さらに、配偶者や子どもの帯同も認められるため、長期的な就労を希望する外国人にとって魅力的な制度です。


技能実習の要件
- 技能実習1号(1年目):初年度の1年間、技能実習1号として在留が認められます。この期間は基礎的な技能を身につける研修段階です。
- 技能実習2号(2〜3年目):1号を修了し、技能試験に合格することで2号に移行可能です。ここではより専門的なスキルを身につけることが求められ、2年間の在留が認められます。
- 技能実習3号(4〜5年目):2号でさらに技能を高めた後、試験に合格することで最終段階の3号に移行できます。この段階では、母国に帰国後の現地でのスキル活用が期待され、さらに2年間の在留が可能となります。


外国人採用を検討するなら必読!外国人労働者にかかる採用費用の基礎から最新情報までを網羅した解説資料を無料でお届け!費用項目や削減のポイントを5分で読める内容にまとめており、採用計画をスムーズに進めるための必読資料です。
受け入れ方法と条件の違い
以下に、「特定技能」と「技能実習」の受け入れ方法と条件の違いについて表にまとめました。
特定技能は企業が直接採用しやすく柔軟に対応できるのに対し、技能実習は送り出し機関や監理団体の関与が必須で、受け入れ条件も厳格に規定されている点が特徴です。
項目 | 特定技能 | 技能実習 |
---|---|---|
採用方法 | 企業が直接採用可能 | 監理団体・送り出し機関を通じた受け入れが基本 |
採用の自由度 | (技能実習からの移行も含む) | 国内外の外国人を柔軟に採用可能送り出し機関と監理団体が受け入れプロセスを管理 |
支援体制 | 生活・就労支援を行う義務あり (企業または登録支援機関によるサポート) | 監理団体が受け入れ後のフォローアップを実施 |
受け入れ条件 | 比較的緩和されており、支援体制の整備で対応可 | 職務内容や受け入れ人数、指導体制など厳格な条件を満たす必要がある |
送り出し機関の役割 | 必要なし | 現地での教育、書類準備、技能実習生のサポートを担当 |
人数制限 | 受け入れ(※一部分野例外あり:建設、介護) | 基本的に人数制限なし企業の常勤職員数に応じて人数制限あり(例:常勤職員30名以下の企業は3名まで) |


どっちが良い?選び方のポイント
企業が「特定技能」と「技能実習」のどちらを選ぶかは、採用目的や業務内容、人材の安定性に対するニーズによって異なります。それぞれの制度がどのような場面で適しているかを以下にまとめました。
即戦力を求める場合:特定技能が最適
- 幅広い業務に対応可能:特定技能は業種ごとの業務範囲が広く、企業が必要とする多様な業務に対応できるため、即戦力が求められる職場に向いています。
- 転職可能な点:同一職種内での転職が認められているため、必要に応じて部署の異動や配置換えも可能です。
- 迅速な人材確保:企業は直接採用でき、国内外の応募者の中から採用が可能です。
長期的に安定した人材が必要な場合:技能実習が適している
- 転職不可で安定雇用が可能:技能実習生は、原則として転職ができないため、3年間(最大5年間)は特定の企業で働くことが前提です。長期間の安定した人材を確保したい場合には、技能実習が理想的です。
- 研修を兼ねた雇用:技能実習は労働力というよりも研修生としての位置づけが強く、未経験者が多いため、特定の技能を習得させながら人材を育成したい企業に適しています。
- 送り出し機関と監理団体のサポート:技能実習制度は送り出し機関や監理団体の支援があり、採用に関わる手続きや実習後のフォローアップもサポートされるため、労務管理に不安のある企業でも活用しやすい制度です。
まとめ
特定技能と技能実習の違いは、制度の目的から受け入れ方法、在留期間、転職の可否など多岐にわたります。企業が外国人労働者を採用する際には、どちらの制度が自社のニーズに適しているかを見極めることが大切です。2027年には技能実習が廃止され、新制度「育成就労」が施行予定ですので、特定技能への移行を検討するのも一案です。




外国人採用はお気軽にご相談ください。
この記事の監修者


大学卒業後、経営コンサルティング会社に入社し、企業の経営支援に携わる。その後、dodaを運営するパーソルキャリアにて、様々な方の転職支援に従事。その経験を活かし、株式会社JINにて、人材事業を開始。