
外国人雇用を本音で語る「リクアジの編集部」の上田です。本日のトピックはこちら!
・特定技能訪問介護の解禁時期と背景
・外国人材が訪問介護に従事するための具体的な条件
・特定技能訪問介護のメリット・デメリットと対策
「特定技能の外国人材が訪問介護に従事できるって本当?」「具体的な条件やメリットは?」そんな疑問を抱える介護事業者の方へ、本記事では最新の政府方針や受け入れ準備のポイントを徹底解説します。制度を活用して、介護現場の未来を切り開くヒントを見つけましょう!
特定技能訪問介護の基礎知識
訪問介護の現場では、特定技能外国人の受け入れがどのように人手不足を解消し、新たな可能性を生み出すのかが注目されています。しかし、この制度には期待だけでなく、課題も存在します。以下では、訪問介護分野における深刻な人手不足の現状と、それを受けた政府の特定技能外国人受け入れ方針について詳しく解説します。
訪問介護員(ホームヘルパー・ヘルパー)の人材不足

訪問介護業界ではヘルパー不足が深刻化しています。厚生労働省の調査によると、2023年5月から2024年5月にかけて訪問介護事業所のヘルパー数が約7.2%減少しました。また、2023年度の訪問介護職の有効求人倍率は14.14倍と非常に高い水準で、求職者1人に対して14.14件の求人がある状態です。この背景には、介護需要の増加があります。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2025年には要介護認定者数が840万人に達すると予想されていますが、介護職員の供給は追いついていません。
この状況を改善するため、政府は特定技能の在留資格を持つ外国人材の訪問介護への従事を解禁する方針を決定しました。
特定技能外国人の訪問介護が解禁へ!
2024年3月の厚生労働省検討会で、特定技能訪問介護の解禁に向けた議論が終了しました。反対意見はほぼなく、早期解禁を求める声が多数を占めています。解禁は2025年度を目指していますが、関連法案の審議次第で時期が変動する可能性があります。
解禁に向け、介護事業者や関係団体との連携、外国人向け研修やサポート体制の整備など課題解決が求められています。一部の事業者は既に外国人介護士の採用や教育を進め、準備を始めています。
現在、特定技能や技能実習、EPAを通じて約5万人の外国人材が介護分野で活躍していますが、日本語での意思疎通が課題となり訪問介護への従事は認められていませんでした。そこで解禁に向けて、厚生労働省は以下の条件を設けています。
- 事業者による研修の実施
- 利用者との十分な日本語コミュニケーション能力の確保
- サービス提供責任者などによる同行、OJT研修の実施
- 外国人材のキャリアアップ計画の作成
- ハラスメント対策の実施
- ICT環境の整備による業務支援
これらの措置により、外国人材が安心して訪問介護に従事できる環境を整えることが期待されています。

特定技能訪問介護に従事するための条件

介護職員初任者研修の修了要件
特定技能の在留資格を持つ外国人材が訪問介護に従事するためには、介護職員初任者研修を修了することが必要です。この研修は、介護の基本知識と技術を学ぶ重要な課程です。
介護職員初任者研修は、通常130時間程度の講義と実習で構成されています。
・介護の基本
・コミュニケーション技術
・生活支援技術
・介護過程
・認知症の理解
・障害の理解
この研修を修了することで、訪問介護の現場で必要な基本的なスキルと知識を身につけることができます。
受け入れ事業所の体制整備条件
特定技能の外国人材を受け入れる事業所には、以下のような体制整備が求められます。
OJT研修:一定期間、サービス提供責任者などが同行して実地研修を行う。
キャリアアップ計画の作成:外国人材のキャリアパス構築に向けた計画を作成する。
ハラスメント対策:ハラスメントを未然に防止するための対策を講じ、相談しやすい職場環境を整備する。
ICT環境の整備:介護ソフトやタブレットの活用により、記録業務を支援し、コミュニケーションアプリの導入などICT環境を整備する。
これらの条件を満たすことで、外国人材が安心して働ける環境を整えることができます。
巡回訪問機関の事前審査
特定技能外国人が訪問介護に従事する際、受け入れ事業所は巡回訪問機関による事前審査を受ける必要があります。この審査では、以下の点が確認されます。
巡回訪問機関は、これらの項目を詳細にチェックし、適切な受入れ環境が整っているかを確認します。事前審査を通過することで、外国人材の受入れが正式に認められます。

巡回訪問機関って何だろう?
訪問介護分野で特定技能外国人を受け入れる際に、受け入れ事業所が適切な環境を整えているかを確認・審査する役割を担う機関です。外国人介護士が安心して働ける環境を整備し、質の高い介護サービスを提供するために導入されました。
利用者への丁寧な説明とコミュニケーション能力
特定技能の外国人材が訪問介護に従事するためには、利用者とのコミュニケーション能力が非常に重要です。以下の点が求められます。
介護に関する専門用語の理解
丁寧な説明能力:利用者や家族に対して、状況などを分かりやすく説明できること。
非言語コミュニケーション:表情やジェスチャーなども含めた総合的なコミュニケーション能力。
これらの条件を満たすことで、特定技能の外国人材が訪問介護の現場で活躍できる環境が整います。利用者の安心と安全を確保しつつ、外国人材の能力を最大限に活かすことができるでしょう。


特定技能訪問介護のメリットとデメリット
特定技能訪問介護の解禁により、多くの期待が寄せられていますが、同時に課題も存在します。それぞれを分かりやすく整理しました。
特定技能訪問介護のメリット
特定技能訪問介護の解禁には、いくつかの重要なメリットがあります。
①人材不足の解消
深刻な人手不足に悩む介護分野で、新たな人材確保の道が開けます。特定技能や技能実習、EPAに基づく外国人材の活躍が促進され、5万人以上の人材が現場を支える見込みです。
②若い人材の確保
特定技能で来日する外国人材の多くは20代から30代。体力が必要な身体介護などでの負担軽減が期待され、介護スタッフの高齢化対策にもつながります。
③高い意欲を持つ人材
日本語を学び、介護職に就くために努力を重ねる外国人材は、モチベーションが高く、責任感を持って仕事に取り組む傾向があります。現場での積極的な姿勢が期待されています。
特定技能訪問介護のデメリット
一方で、特定技能訪問介護には以下のようなデメリットも考えられます。
①言語の壁
利用者との意思疎通がスムーズにいかない場合があります。特に訪問介護では、利用者の細かなニーズに応えるための高い日本語スキルが求められます。
②文化の違いへの対応
海外の人材が日本の文化や介護の価値観に慣れるまで、時間や追加の教育コストがかかる可能性があります。
③受け入れ体制とコストの課題
外国人材を受け入れるためには、十分なサポート体制の整備が必要です。不十分な体制では、外国人が働きにくさを感じ、定着率が低下するリスクがあります。また、巡回訪問機関による事前審査や指導に加え、研修費用や日本語教育などのコストが発生するため、事業所にとって負担が大きくなる可能性もあります。これらの課題を解消するためには、計画的な準備が欠かせません。


特定技能訪問介護での不安とその解決策


利用者とのコミュニケーション課題と解決策
特定技能訪問介護では、外国人介護士が高齢者とスムーズに意思疎通できるかが重要な課題です。これに対して、N4レベル以上の日本語能力取得や定期的な研修が必要です。
また、翻訳アプリや音声認識ツールといったICT技術の活用が大きな助けになります。これらのツールは、リアルタイムでの意思疎通を補助し、利用者が安心して介護を受けられる環境を作ります。また、コミュニケーションボードを導入することで、言語に頼らない表現が可能になり、特に初期段階での業務に役立つでしょう。
これらの対策により、利用者と外国人介護士の円滑なコミュニケーションを実現できます。
外国人介護士の運転課題と対応策
訪問介護において外国人介護士の運転は不可欠ですが、安全面での懸念があります。日本で運転するには運転免許の取得や国際免許証が必要です。加えて、日本の交通ルールを学ぶ研修や実地訓練を通じて運転スキルを向上させることが重要です。事業所は安全運転支援システムを搭載した車両の導入や定期的な運転スキルチェックを行い、事故防止に努めるべきです。これにより、介護士が安全に運転できる環境を整え、利用者に安心感を与えることができます。
事業所への支援で負担を軽減
特定技能訪問介護の導入に伴い、事業所には新たな負担が生じます。そのため、事業所への人的・財政的支援が求められています。具体的な支援策としては、以下のようなものが考えられます。
- 外国人材の受入れに関する相談窓口の設置
- 通訳や翻訳サービスの提供
- 日本語教師や文化理解促進のための専門家の派遣
これらの支援策を通じて、事業所の負担を軽減し、外国人材の円滑な受入れと定着を促進することができます。
まとめ
特定技能訪問介護を成功させるには、利用者、外国人介護士、事業所の三者が信頼関係を築き、それぞれが利益を得られる仕組みを整えることが重要です。2025年度中の解禁を見据え、事業所は体制整備や初任者研修修了者の確保、外国人材の意思疎通能力向上に向けた準備を進める必要があります。この制度は、介護業界の人材不足を補い、外国人材に新たな活躍の場を提供する可能性を秘めています。事業所や関係者は最新情報を確認しながら、適切な支援を活用し、円滑な運営を目指しましょう。


外国人採用について無料相談する
株式会社JINが運営する「リクアジ」では、外国人材の採用やサポートに精通した経験豊富なスタッフが無料でご相談に応じています。どのような小さな疑問やお悩みでも、お気軽にお問い合わせください。採用のプロが丁寧にお答えし、企業様に最適なソリューションをご提案いたします。
この記事の監修者


大学卒業後、経営コンサルティング会社に入社し、企業の経営支援に携わる。その後、dodaを運営するパーソルキャリアにて、様々な方の転職支援に従事。その経験を活かし、株式会社JINにて、人材事業を開始。