
外国人雇用を本音で語る「リクアジの編集部」の上田です。本日のトピックはこちら!
・特定技能外国人の転職について
・特定技能外国人が転職する条件
・転職で注意すべきポイント
特定技能外国人の転職は、一定の条件を満たせば可能ですが、実際には手続きや企業の要件が複雑です。転職を考えている方にとって、スムーズに進めるためには、事前の準備と注意点をしっかりと把握しておくことが重要です。本記事では、転職の際に知っておくべきポイントや、成功させるためのコツを詳しく解説します。
特定技能外国人は自由に転職が可能!
特定技能外国人は制度上、一定の条件を満たせば自由に転職することが認められています。しかし、実際には在留資格の制約や手続きの複雑さといった課題があり、多くの外国人労働者にとって簡単な道ではありません。それでも、より良い職場環境や待遇を求める動きは広がりつつあります。まずは、転職を成功させるための具体的なポイントや注意点を解説します。
転職が難しいとされる3つの理由
転職が難しい理由には、主に次の3つがあります。
①在留資格の制限
特定技能1号では、転職先が同じ職種・分野でなければなりません。たとえば、農業分野で働いていた場合、製造業や飲食業への転職は原則認められません。この制限が転職の幅を狭めています。
②手続きの複雑さ
転職には在留資格変更許可申請が必要です。この申請には多くの書類が求められ、審査が厳しいため、不備があれば許可が下りない可能性があります。また、申請中は新しい職場で働くことができず、収入が途絶えるリスクもあります。
③受け入れ企業の要件
転職先の企業も特定技能の受け入れ条件を満たす必要があります。例えば、外国人労働者への生活支援計画を策定し、適切なサポートを提供できる体制が求められます。これが整っていない企業では雇用が認められません。

特定技能で転職するための条件
特定技能で転職するには、外国人と受け入れ企業の両方が要件を満たす必要があります。どちらか一方でも満たしていないと転職はできません。
特定技能外国人側の条件
外国人材が日本で働く際に必要な要件として、「分野別の技能試験に合格すること」が挙げられます。しかし、同じ業種内で転職する場合、再度試験を受ける必要はありません。例えば、建設業で働いている外国人が別の建設会社に転職する場合、技能試験を再受験する必要はなく、基本的には受け入れ企業が求める条件を満たせば転職が可能です。ただし、転職後も在留資格変更許可申請は必要になります。
一方、異なる業種への転職を希望する場合には、新たな就労分野に対応した技能試験に合格する必要があります。同じ分野内であっても業種が異なる場合は、その業種ごとの試験に合格しなければなりません。例えば、建設分野の「土工」で働いている外国人が、「鉄筋施工」で働きたい場合には、「鉄筋施工」の技能試験に合格する必要があります。
これらの条件を満たすことで、在留資格変更許可が認められる可能性が高まります。
転職先企業が満たすべき条件
特定技能で外国人材を受け入れるには、業務内容が要件を満たしているか事前に確認する必要があります。例えば、技能実習2号で「型枠施工」を修了した外国人は、「建設(型枠施工)」の特定技能に移行できますが、受け入れ企業も「型枠施工」に該当する業務を提供する必要があります。
また、特定技能1号技能測定試験に合格している場合、その外国人を従事させる事業所が、試験で認められた業務に該当している必要があります。例えば、「鉄筋施工」の特定技能試験に合格した外国人を雇用する場合、事業所が「鉄筋施工」に関連する業務を行っていることが条件です。

建設分野の職種や要件については、詳しく解説したこちらの記事をご覧ください。




特定技能で転職する際の具体的な手続き
特定技能外国人が転職する際には、いくつかの重要な手続きを行う必要があります。以下に詳しく解説します。
特定技能外国人が行う手続き
特定技能での転職を希望する外国人本人は、以下の2つの主要な手続きを行う必要があります。各手続きの詳細と準備が求められる書類について詳しく解説します。
特定技能外国人が転職する際は、退職時と入社時にそれぞれ「契約機関に関する届出」を出入国在留管理局へ提出する必要があります。届出は、雇用契約の終了または締結から14日以内に行わなければなりません。
転職時には、産業分野や業務内容に関わらず、必ず在留資格の変更申請が必要です。申請に必要な書類は、本人が準備するものと受け入れ企業が用意するものに分かれます。
準備者 | 必要書類 |
---|---|
外国人本人 | ・健康診断個人票 ・住民税の課税証明書 ・納税証明書 ・転職前の源泉徴収票 ・技能試験の合格票など |
転職後の受け入れ企業 | ・特定技能外国人の支援計画書 ・納税証明書 ・健康保険・厚生年金保険料の領収証 ・役員の住民票など | ・雇用条件書


前職の企業による手続き
特定技能外国人が退職する際、新しい受け入れ企業だけでなく、前職の企業にも必要な手続きがあります。
前職は、以下の2つの届出を提出しなければなりません。
特定技能所属機関による特定技能雇用契約に係る届出
最寄りのハローワークへの「外国人雇用状況の届出」
これらは、出入国在留管理庁の電子届出システム、または旧受け入れ企業の本店が所在する管轄の出入国在留管理局に提出する必要があります。退職日が決まった時点で、「受入れ困難に係る届出」を提出し、退職後14日以内に「特定技能雇用契約に係る届出」を提出する必要があります。
必要書類の詳細については、以下のリンクを参照してください。
特定技能所属機関による受入れ困難に係る届出|出入国在留管理庁
特定技能所属機関による特定技能雇用契約に係る届出|出入国在留管理庁
入社先の企業が行う手続き
特定技能外国人を受け入れるためには、受入れ企業が「労働や社会保険に関する法令を遵守している」ことなど、適正性が求められます。また、特定技能外国人への支援体制が整っていることも必要です。ただし、登録支援機関に委託することで、支援体制に関する条件は満たされるため、企業側で支援体制を整える必要はなくなります。
新受入れ企業が行う必要な手続きとして、特定技能外国人が在留資格変更許可申請をする際に、以下の書類を準備する必要があります。
- 雇用条件書
- 支援計画書
- 納税証明書など
また、旧受入れ企業と同様に、ハローワークへの「外国人雇用状況の届出」も行いましょう。手続きの期限は、特定技能外国人を受け入れた翌月の10日までです。
特定技能の転職で注意すべきポイント
特定技能外国人が転職する際は、さまざまな手続きと注意点があります。以下のポイントを確認しておきましょう。
在留資格変更許可申請中は仕事ができない
転職が決まって元の職場を退職しても、在留資格の変更許可が下りるまでの間は、アルバイトを含めて一切の仕事ができません。退職日と新しい入社日との間に空白期間ができると、その期間は収入が途絶えることになります。例えば、退職後にすぐに新しい仕事を始めたいと思っても、在留資格変更の許可が下りるまでは働くことができません。このため、退職日と入社日をできるだけ近づけるよう調整することが重要です。転職を決めた段階で、必要な手続き(在留資格変更申請)を早めに行い、余裕を持って進めるようにしましょう。


特定技能の在留資格申請には時間がかかる
特定技能の在留資格変更申請には、申請から許可が下りるまでに 2〜3ヶ月程度の時間がかかります。日本人と異なり、すぐに働き始めることができるわけではないため、転職時にタイムラインをしっかりと把握しておくことが大切です。転職をスムーズに進めるためには、申請手続きが長期間かかることを事前に理解し、余裕を持ったスケジュールで進めることが望ましいです。


在留資格変更許可申請が不許可になる場合もある
在留資格変更の申請を行っても、必ずしも許可が下りるわけではなく、厳格な審査が行われます。審査の結果、不許可となる場合もあるため、申請が不許可になった場合は帰国を余儀なくされることもあります。特に、申請書類に不備があったり、特定技能の要件を満たしていなかったりすると、不許可のリスクが高まります。そのため、申請前に必要書類の確認を徹底し、記載ミスや理解不足がないようしっかり準備してから申請を行いましょう。
まとめ:特定技能外国人の転職は可能だが、準備が鍵
特定技能外国人の転職は、条件を満たせば可能ですが、手続きや企業の要件が複雑です。転職成功には、必要な書類や手続きの理解が不可欠です。また、転職先でスムーズに働くためには、日本語能力も重要な要素となります。言語の壁を乗り越えることで、より良い職場環境を実現できるため、十分な日本語教育を受けることが転職を成功させる鍵となります。


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この記事の監修者


大学卒業後、経営コンサルティング会社に入社し、企業の経営支援に携わる。その後、dodaを運営するパーソルキャリアにて、様々な方の転職支援に従事。その経験を活かし、株式会社JINにて、人材事業を開始。