特定技能「外食業」完全解説|必要な条件・雇用のポイント

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外国人雇用を本音で語る「リクアジの編集部」の上田です。本日のトピックはこちら!

・特定技能「外食業」が解決する人手不足の現状
・特定技能1号「外食業」の取得方法
・特定技能「外食業」の特徴

本記事では、特定技能「外食業」とは何か、その背景や実際の活用状況、取得方法を詳しく解説します。また、外国人材の可能性や制度を活用するメリット、他資格との違いについても触れ、外食業界の未来を考えるきっかけをお届けします。ぜひ最後までご覧ください!

特定技能「外食業」とは

特定技能「外食業」は、日本の外食業界における人手不足を解消し、外国人材が即戦力として活躍するための在留資格です。特定技能「外食業」では、飲食物の調理、接客、衛生管理といった店舗運営の基本業務が対象となり、レストランやカフェ、居酒屋など多様な職場で外国人材が活躍できる環境を提供します。

また、この制度は単なる労働力補充にとどまらず、外国人材と日本社会が共生する取り組みの一環でもあります。多文化共生が進む中、特定技能制度を通じて日本の外食業界は新たな可能性を切り拓いています。

インバウンド需要が高まる中、英語でコミュニケーションできる外国人人材が注目を集めています。

日本の「外食業」が直面する課題

帝国データバンクの調査によると、飲食店での非正社員の不足率が85.2%に達し、全業種中最も高い状況です。また、飲食店の正社員不足率は61.3%で、非正社員ほどではないものの依然として人手不足が深刻です。

厚生労働省の調査では、外食業で働く外国人の55%が留学生などの「資格外活動」によるアルバイトであることが明らかになっています。次いで、「身分に基づく在留資格」が22%、「専門的・技術的分野」が18%を占め、多くがアルバイトに頼る現状です。

人手不足に対する企業調査(2023年4月)|帝国データバンク

外食業分野における外国人材の受入れ状況

外食業では、制度開始当初の2019年末時点で1,985人だった在留者数が、2023年12月末には13,312人に急増。わずか4年間で約6.7倍に達しました。この急増の背景には、新型コロナによる緊急事態宣言解除後の飲食業の通常営業再開や、留学生の新規入国制限によるアルバイト不足が挙げられます。さらに、2024年6月時点の最新データでは20,317人に達しており、特定技能の活用がますます広がっています。

出入国在留管理庁のデータを元に「リクアジ」が作成

特定技能「外食業」で従事可能な業務

特定技能「外食業」の在留資格で受け入れ可能な業態は、食堂、レストラン、ファーストフード店、宅配専門店など多岐にわたり、和洋中問わず調理スキルが求められる「飲食物調理」や、接客を通じた顧客満足の向上、店舗管理、衛生管理といった重要な役割を担います。特に衛生管理では店舗清掃や食品衛生基準の遵守が必要で、品質維持に直結する重要な業務です。こうした実務を通じて、特定技能を持つ外国人材は外食業界で即戦力として期待されています。

主な業務内容
  • 飲食物調理:和洋中を問わず、多様な料理の調理を担当。
  • 接客業務:顧客対応、料理提供、レジ業務を含むサービス全般。
  • 衛生管理:店舗内の清掃や食品衛生基準の遵守。

キャバクラやホストクラブなどの接待業務はもちろん、それ以外の業務も同店舗では就労できません。

フードデリバリー業務への従事は可能か?

特定技能「外食業」では、フードデリバリー業務を主とする働き方は原則として認められていません。この資格の対象業務は店舗内の運営業務に限定されているため、デリバリー業務を主な業務とする契約は適用外となります。ただし、店舗運営の一環としてデリバリー業務を行う場合は例外とされることがあります。

宿泊施設内のレストラン業務(盛り付け・洗い物など)は就労可能ですが、フロントや客室清掃は対象外です。ホテル業務全般を希望する場合は、特定技能「宿泊業」分野の採用をご検討ください。

特定技能1号「外食業」の取得方法

特定技能「外食業」の在留資格を取得する方法をご紹介します。特定技能1号の在留資格を取得するには、以下の2つのルートがあります。

特定技能1号を取得する方法

方法①:試験に合格する
→「外食業特定技能評価試験」と「日本語能力試験」に合格する。

方法②:技能実習2号から、特定技能1号へ移行

ここでは、技能実習2号から特定技能1号への移行について、日本語能力試験および外食業特定技能1号技能測定試験の概要、試験問題、申し込み方法などを詳しく解説していきます。

【ステップ①】特定技能評価試験に合格する

特定技能「外食業」を取得するためには、外食業特定技能1号技能測定試験の合格が必要になります。この試験は国内外で実施され、合格率は約50%と難易度が高いため、早期の受験を推奨します。令和6年度には、代理登録や企業単位での試験申込みが可能となりました。企業が代理で申込みを支援することで、手続きの負担を軽減し、採用内定までの流れをスムーズに進めることができます。

国内試験
  • 1号技能測定試験
    • 大都市圏に集中せず、全国10都市以上で試験を実施。
    • 1年で3回程度の試験を予定。
  • 2号技能測定試験
    • 複数都市で試験実施予定。
国外試験
  • 1号技能測定試験
    • カンボジア、フィリピン、インドネシア、タイ、ミャンマー、ネパール、スリランカなどで継続実施。
    • MOC署名国を中心に、新たな試験開催国も検討。
    • コンピュータ・ベースド・テスティング(CBT)方式で、定員25,000~30,000人規模。
  • 2号技能測定試験
    • 実施なし。

申し込みや日程の詳細は「OTAFF 一般社団法人外国人食品産業技能評価機構のサイトで確認できます。

【ステップ②】日本語試験に合格する

特定技能「外食業」を取得するには、日本語能力も必要です。日本語試験には、「国際交流基金日本語基礎テスト」「日本語能力試験(N4以上)」があり、N4レベルは日常生活で簡単な文章の読み書きができる程度です。

申し込み方法

試験の申し込みには「MyJLPT」への登録が必要です。申し込み後、日本国際教育支援協会から受験票が届きますので、それを持参して試験を受けてください。

国際交流基金日本語基礎テストは、外国人の日本語能力を評価するテストです。語彙や会話、リスニングなどがあり、250点満点中200点以上得点すると合格です。

技能実習2号からの移行条件

特定技能「外食業」を取得するもう一つの方法は、外食業分野の技能実習2号から特定技能1号へ移行することです。

技能実習2号は、一定期間の実習後は原則帰国が求められますが、「特定技能」制度の導入により、実習で得たスキルを活かして日本で働き続けることが可能になりました。

技能実習2号を良好に修了した場合、特定技能1号の評価試験や日本語能力試験が免除されます。移行に必要な主な要件は以下の通りです。

要件
  1. 技能実習2号を良好に修了すること
  2. 技能実習の職種と特定技能1号の職種が一致していること

外食業分野の受け入れ企業が満たすべき要件

支援体制の準備

特定技能1号の外国人労働者を雇用する際には、登録支援機関に支援計画の作成を依頼することが一般的です。登録支援機関は、外国人が日本で安定して活動できるように必要な支援計画を立て、それを基に適切なサポートを実施します。ただし、過去2年以内に特定技能1号の外国人を雇用した実績があり、支援責任者や支援担当者を設置し、適正な支援計画を実施できる体制が整っている企業は、登録支援機関を利用せずに自社で支援計画を作成することも可能です。

特定技能外国人の雇用においては、派遣労働は禁止されており直接雇用が必須です。

外食業分野の特定技能協議会に加入

特定技能「宿泊」の外国人材を受け入れる企業は、食品産業特定技能協議会への加入が義務付けられています。この協議会では、特定技能制度の周知や、人手不足の分析を通じて、外国人材の受け入れを円滑にサポートします。特に、特定技能外国人を受け入れる企業様は、受け入れ開始後4か月以内に協議会へ加入することが義務付けられています。加入費用は基本的に無料で負担がありません。

2024年6月より、特定技能外国人の在留諸申請を出入国在留管理庁へ行う際に協議会加入証明書の提出が求められるようになりました。

詳しい加入方法については、こちらのページをご覧ください。

外食業での特定技能と他資格の比較

外国人雇用を検討する際、在留資格ごとに働ける内容や条件が異なります。特定技能は現場労働や長期雇用が可能で、技人国は専門性を活かした安定雇用に適しています。一方、留学生アルバイトは短期的な補助業務に活用できます。それぞれのメリット・デメリットを比較し、最適な選択を検討しましょう。詳細は下記の表をご覧ください。

※技人国=在留資格「技術・人文知識・国際業務」を指します。

留学生アルバイト

メリット: 労働時間が限られているため、人手不足が発生するピークタイムや短期的な補助業務に活用しやすいです。資格外活動許可で手軽に雇用でき、支援業務が不要なため負担が少なくなります。また、学生の柔軟なスケジュールを利用できます。
デメリット: 週28時間(休暇期間は週40時間)の労働時間制限があり、長時間労働や責任ある業務を任せることは難しいです。在留期間が学生生活に限定されるため、安定した雇用が期待できない点が課題です。

技術・人文知識・国際業務(技人国)

メリット: 専門知識やスキルを持つ高度な人材を長期的に雇用できるため、戦略的な業務を任せやすいです。家族帯同が可能で、在留期限の更新制限がないため、安定した雇用関係を築けます。また、支援業務の義務がなく雇用主の負担が少ない点もメリットです。
デメリット: 高度な専門性が求められるため、候補者が限定的です。現場労働が原則不可で、実務の柔軟性に欠ける場合があります。採用後も業務内容が法的に適切かチェックする必要があります。

まとめ

特定技能「外食業」は、日本の外食業界が直面する深刻な人手不足の解消に向けた重要な取り組みであり、多文化共生を推進する制度としても注目されています。この在留資格は、飲食店運営に必要な調理や接客、衛生管理といった業務に従事できるため、外国人材が即戦力として活躍する場を提供します。また、特定技能の取得には試験や支援体制の準備が必要ですが、受け入れ企業にとっては長期的な安定雇用と業務効率化を図る大きなメリットがあります。外食業界が新たな可能性を拓くため、特定技能を活用した取り組みのさらなる拡大が期待されます。

外国人採用について無料相談する

特定技能「外食業」に関するご質問や受け入れ準備のご相談は、以下のフォームよりお気軽にお問い合わせください。制度の詳細や手続き、必要な条件について専門スタッフが丁寧にご案内いたします。外国人材の雇用を検討中の企業様や関心をお持ちの方は、ぜひご連絡ください。迅速かつ的確に対応させていただきます。

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名前

この記事の監修者

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キャリアアドバイザー
秦 秀斗

大学卒業後、経営コンサルティング会社に入社し、企業の経営支援に携わる。その後、dodaを運営するパーソルキャリアにて、様々な方の転職支援に従事。その経験を活かし、株式会社JINにて、人材事業を開始。

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