
外国人雇用を本音で語る「リクアジの編集部」の上田です。本日のトピックはこちら!
・犯罪増加の誤解を解消
・技能実習生の課題を理解
・解決策と未来の方向性
「外国人労働者が増えると犯罪も増える?」そんな噂を耳にしたことはありませんか?ニュースやネットで目にする情報が真実なのか、正確なデータをもとに検証してみましょう。実際には、外国人労働者の増加が犯罪件数にどのような影響を与えているのか、知られていない事実がたくさんあります。本当のところを知りたい方は、ぜひ続きをお読みください!
外国人労働者の犯罪は本当に増加しているのか?
外国人労働者は年々増加し、2022年には200万人を超える規模となりました。経済の一端を支える存在として重要性が高まる一方で、一部では「外国人労働者=犯罪増加」といった懸念も耳にします。しかし、果たして労働者数の増加に比例して犯罪件数も増加しているのでしょうか?実際のデータを基に、現状を正しく理解することが重要です。
検挙件数とその推移
外国人による刑法犯の検挙件数は、2005年に4万3,622件でピークに達しましたが、2006年以降は減少し続けています。2022年には1万2,947件(前年比7.9%減)となりました。これらのデータは、外国人犯罪が過去20年で減少傾向にあることを示しており、偏見ではなく客観的なデータを基にした理解が求められます。※2007年については、データなし

在留資格別の犯罪検挙状況
2022年の総検挙人員11,534人の内訳では、「技能実習」が最も多く2,692人(23.3%)を占め、次いで「短期滞在」2,122人(18.4%)、「定住者」1,396人(12.1%)と続きます。このデータは在留資格による犯罪関与の割合の違いを示し、特に技能実習生に関する問題の理解と対策が重要視されています。技能実習生の増加に伴い、劣悪な労働環境や不適切な管理体制が課題となる中、これを改善するために「育成就労」が導入されました。この制度は、外国人が適切な環境で働きながらスキルを習得し、日本社会で長期的に活躍することを目的とした新たな取り組みです。


日本人と外国人の犯罪率の比較
令和5年度の検挙人員は、日本人が243,061人、外国人が10,040人で、外国人の割合は約4%に過ぎません。一部で「外国人犯罪増加」の懸念が広がっていますが、実際には外国人の犯罪率が特段高いわけではありません。在留外国人約300万人に対し検挙率は約0.3%、日本人の検挙率は約0.2%で、外国人の犯罪率は若干高いものの大差はありません。偏見を払拭し、正確な統計データを基に冷静な議論を行うことが重要です。
外国人の国籍ごとの犯罪率
令和5年度の外国人総検挙人員11,534人の国籍別割合は、以下のグラフをご覧ください。特定の国籍が目立つように見える場合もありますが、背景には在留者数や雇用環境の影響が考えられます。

ベトナム人の犯罪増加の背景
ベトナム人による犯罪増加の背景には、入管法違反や薬物犯罪の増加が主な要因として挙げられます。また、犯罪組織の多国籍化やSNSを介した連携が目立ち、犯罪の効率化や巧妙化が進んでいます。近年では、海外の指示役が国内の実行犯を通じて窃盗や詐欺を組織的に行い、盗品を海外へ輸出したり犯罪収益を送金したりする事例が多発しています。
令和5年1月、奈良県でSNSを通じて連携したベトナム人グループが、虚偽の携帯電話紛失届を利用して代替機を騙し取る詐欺を行いました。令和2年から4年にかけて実行され、12人が逮捕されました(技能実習生4人、特定技能2人など)。巧妙な手口とSNSの活用が特徴で、適切な支援や環境整備が対策として重要です。
技能実習生の大半はベトナム人が占めている
令和5年6月末時点で、日本の在留外国人数は3,588,956人で、そのうち技能実習生は425,714人を占め、特にベトナム国籍が約60万人と推定され、全体の約14%を占めています。また、同年の警察庁統計では、刑法犯の検挙人員の約36.7%がベトナム人とされ、他国籍よりも高い割合となっています。この背景には、技能実習生として在留するベトナム人の多さが影響している可能性があります。ただし、これらの数値だけでは犯罪率を評価するのは不十分です。


なぜベトナム人技能実習生による犯罪が増加しているのか
近年、ベトナム人技能実習生による犯罪が増加している背景には、経済的なプレッシャーや労働環境の問題、さらに支援不足といった複数の要因が考えられます。一部では、高額な仲介手数料や過酷な労働条件が影響し、不法就労や犯罪行為に巻き込まれるケースも見られます。なぜこのような状況が生まれているのか、詳しく見ていきましょう。
ベトナム人技能実習生が抱える多額の借金問題
ベトナムの技能実習生の約80%が、来日前に多額の借金をしています。平均借金額は67万円で、これは派遣費用や準備費用、仲介者への支払いなどに充てられます。ベトナムの平均収入を考えると、この負担がいかに大きいかが明らかです。このような経済的背景が、技能実習生の生活や働き方に大きく影響を与えていると考えられます。

高額な派遣費用と負担
ベトナム人技能実習生は、派遣手数料や事前教育費用、保証金・違約金などを送り出し機関に支払う必要があります。その平均額は65万円を超えており、ベトナムの平均月収(約4~5万円)の1年以上分に相当します。このような高額な費用は、実習生にとって大きな負担となっています。

目先の利益を重視しやすい傾向とリスク
ベトナム人労働者には、「現在の収入」を重視する傾向が見られます。そのため、「将来的な昇進やキャリアの可能性があるが、初年度の年収が低い」といった条件は、魅力を感じにくいことが多いようです。
さらに、短期的な利益を追求するあまり、悪質なブローカーに誘導され、不利な契約を結んでしまう事例も報告されています。このリスクを軽減するには、採用企業が透明性のある情報提供を行い、公正で納得感のある給与条件を示すことが欠かせません。

外国人労働者の犯罪を予防するための具体策
外国人労働者の犯罪を予防するための具体策について、以下に詳細を記載します。それぞれのポイントを実践することで、企業と労働者双方にとって安心できる職場環境を構築し、リスクの軽減に繋げることが可能です。
適正な労働環境の整備
外国人労働者に対して、日本人と同等かそれ以上の労働条件を提供することは重要です。低賃金や過酷な労働環境は不満を生み、犯罪や失踪につながるリスクを高めます。適切な賃金、休日、有給休暇などの待遇を整えることで、労働者の満足度を高め、リスクを軽減できます。

コミュニケーション強化
外国人労働者との信頼関係を築くには、言語や文化、宗教の違いを理解し、孤独感を軽減する工夫が必要です。これらの違いは、労働者が職場で孤立する原因となることがあります。定期的な面談やアンケートで悩みや意見を把握し、交流イベントや相談窓口を設けることで、心のケアと職場での安心感を提供します。こうした取り組みによって、信頼関係を深め、犯罪リスクの予防につながります。

信頼できる紹介会社・支援機関の選ぶ
外国人労働者の採用において、信頼性の高い仲介業者や支援機関の選定が重要です。人材紹介会社だけでなく、登録支援機関や監理団体の役割も注目されます。適切なライセンスを保持し、過去の実績や評判を確認することで、不正行為やトラブルを回避できます。また、登録支援機関は外国人労働者の生活支援や日本語教育を担い、監理団体は技能実習生の適切な管理を行うため、これらを活用することで採用後の定着率向上やリスクの軽減が期待できます。
まとめ:データが示す真実と今後の課題
外国人労働者を取り巻く問題には、労働環境の改善、不適切な仲介業者の排除、文化的・言語的サポートの強化など多くの課題が残されています。特に、技能実習生への適切な支援は、失踪や犯罪リスクの軽減に直結します。これらの課題を解決するには、企業、支援機関、地域社会が連携し、偏見を払拭しながら、正確な情報に基づいた議論を行うことが重要です。互いを理解し支え合う努力を通じて、多様性を尊重する社会を築き、日本全体の発展を目指しましょう。
参考資料:こちら
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この記事の監修者

大学卒業後、経営コンサルティング会社に入社し、企業の経営支援に携わる。その後、dodaを運営するパーソルキャリアにて、様々な方の転職支援に従事。その経験を活かし、株式会社JINにて、人材事業を開始。