
外国人雇用を本音で語る「リクアジの編集部」の上田です。本日のトピックはこちら!
・生活オリエンテーションの具体的な内容
・特定技能外国人が安心して生活するための重要なポイント
・支援業務の外部委託のメリットと相場
特定技能外国人の生活オリエンテーション、きちんと対応できていますか?地域ごとの生活ルールや災害時の対応、相談窓口の案内など、重要なポイントを押さえることで、不安なく日本で生活・就労できる環境を整えるコツをご紹介します!

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最初に抑えておきたい【生活オリエンテーション動画】
日本で生活する外国人向けに、生活ルールや仕事、税金など必要な情報を17言語で公開しています。必要に応じて、社員研修などで活用しましょう。
生活オリエンテーションとは?
特定技能外国人を雇用する際には、「義務的支援」として10項目の支援を実施する必要があります。その中でも「生活オリエンテーション」は特に重要で、日本での生活ルールやマナー、災害時の対応、公共機関の利用方法など、日常生活に直結する基礎的な情報を提供する支援です。この支援を通じて、特定技能外国人が新しい環境に早く順応し、安心して生活できるようサポートします。


「特定技能外国人受け入れに関する運用要領」をもとに「リクアジ」が作成
生活オリエンテーションの実施内容
特定技能の生活オリエンテーション内容を、表形式で整理しました。日本で外国人労働者が安心して生活するための基本情報を網羅しています。具体的にどのような情報を伝えるべきかについては、後ほど詳しく述べます。
カテゴリー | 具体的な内容 |
---|---|
①生活ルールとマナー | ゴミの分別方法や収集日、公共交通機関の利用方法、地域でのルールやマナー |
②企業や手続きに関する情報 | 雇用契約内容の確認、住民登録やマイナンバー制度、社会保険や税金の支払い手続き |
③相談窓口とサポート連絡先 | 受け入れ企業や監理団体の連絡先、地方自治体の相談窓口、外国人支援センターや労働相談窓口の情報 |
④医療機関と健康管理 | 母国語で対応可能な医療機関、緊急時に利用できる病院や救急サービスの連絡先 |
⑤防災・防犯と緊急対応 | 災害時の避難場所、警察や消防署の連絡方法、急病や事故時の緊急対応手順 |
⑥法律と労働環境の知識 | 労働条件の違反時の対応、基本的な法律や規定の説明、トラブル発生時の相談先の案内 |
生活オリエンテーションの実施時間
特定技能外国人に対する「生活オリエンテーション」は、必要な情報を十分に理解してもらうために、原則として少なくとも8時間以上の時間を確保して実施することが求められています。この時間設定は、入管が示す情報提供の内容を適切に伝えるための最低限の基準となっています。
また、技能実習2号修了者や留学生が同じ企業でそのまま特定技能へ移行し、就業先や生活環境に大きな変化がない場合であっても、少なくとも4時間以上のオリエンテーションを実施し、必要な情報を再確認させることが推奨されています。
生活オリエンテーションで特定技能外国人に伝える内容
それでは、生活オリエンテーションで提供すべき情報について詳しく見ていきましょう。具体的には、日本での生活や仕事を安全に行うためのルール、マナー、手続きなどを伝えます。どのような情報を提供する必要があるのか、詳しく解説していきます。
①生活ルールとマナー
特定技能外国人が地域社会でトラブルなく生活するために、以下のルールやマナーを伝えます。
- ゴミの分別方法と収集日:地域ごとに異なるゴミの分別ルールや収集日を具体的に説明。例として「燃えるゴミ」「資源ゴミ」「粗大ゴミ」の分類方法や出し方を挙げる。
- 公共交通機関の利用方法:電車やバスの乗り方、ICカードの使い方、定期券の購入方法を詳しく解説。
- 地域でのルールやマナー:騒音の注意、近隣住民との接し方、禁煙エリアでの喫煙禁止など、日常生活で必要な基本的なマナーを共有。
- 金融機関(銀行やATM)の利用方法:銀行口座の開設やATMの利用方法など
- 生活必需品の購入方法:スーパー、コンビニでの購入方法などを共有。
②雇用や手続きに関する情報
日本での雇用や生活をスムーズに進めるために必要な手続きや情報を提供します。
- 雇用契約内容の確認:契約書に記載されている勤務条件や給与の確認。
- 住民登録とマイナンバー制度:市役所での住民票の登録手順、マイナンバー制度の概要と使い方を具体的に解説。
- 社会保険と税金の手続き:給与から控除される社会保険料や税金の仕組みを説明。
- 転入届・転出届の手続き:外国人も日本人と同様に住民票の登録など
③相談窓口とサポート連絡先
特定技能外国人が困ったときに頼れる窓口やサポート情報を提供します。生活や仕事におけるトラブル解決や相談先の情報を具体的に伝えます。
- 受け入れ企業や監理団体の連絡先:何か問題があった場合に相談できる企業や監理団体の担当者情報を共有。
- 地方自治体の相談窓口:生活の相談ができる役所や自治体の連絡先を案内。
- 外国人支援センターや労働相談窓口:生活や労働環境に関する相談ができる公的機関の情報を提供。
④医療機関と健康管理
健康を維持するための情報と緊急時の対応方法を伝えます。
- 母国語で対応可能な医療機関:言葉の壁を感じずに利用できる医療機関の一覧や連絡先を案内。
- 緊急時に利用できる病院や救急サービス:夜間や休日でも対応可能な医療施設、119番の利用手順を説明。
特定技能外国人には、医療機関を利用する際に健康保険証の提示が必要であることを忘れずに伝えましょう。
⑤防災・防犯と緊急対応
地震や津波などの災害時に必要な避難情報や気象情報の入手方法を伝えましょう。ハザードマップや行政サイトの利用方法、警戒レベルの見方、避難手順も具体的に説明します。
- 災害時の避難場所:地震や台風などの際に安全に避難できる場所を地図と共に案内。
- 警察や消防署の連絡方法:緊急時の連絡番号(110番・119番)や通報の手順を具体的に説明。
- 急病や事故時の対応手順:突然の体調不良や事故の際に取るべき行動を解説。
ハザードマップポータルサイト|国土交通省(https://disaportal.gsi.go.jp/)
防災ポータル|国土交通省(https://www.mlit.go.jp/river/bousai/olympic/)
Safety tips(https://www.rcsc.co.jp/safety-tips-jp)
⑥法律と労働環境の知識
外国人が違法行為を行うと、退去強制となり母国へ帰国させられる可能性があります。この場合、雇用を継続することもできなくなるため、注意が必要です。
- 基本的な法律の知識:入管法や労働基準法の概要、法律違反が与える影響を解説。
- 適切な労働環境:労働条件の確認方法や相談窓口を紹介し、不当な扱いを受けた際の対応策を案内。
その他、日本で違法となる行為の例
以下は、日本に入国する際や国内で所持・行為が禁止されている例です。これらを特定技能外国人にわかりやすく説明しましょう。
- 違法薬物の所持
大麻、覚せい剤などの違法薬物を所持・使用 - 自己名義の銀行口座や携帯電話の譲渡
自分の名義の口座や携帯電話を他人に譲渡 - 他人名義の口座からの現金引き出し
銀行や郵便局、コンビニのATMで、他人名義の口座から無断で現金を引き出す行為 - 他人のクレジットカードや配達伝票の不正利用
他人名義のクレジットカードを使用することや、宅配便の受領伝票に他人になりすまして署名する行為 - 在留カードや健康保険証の貸し借り
これらの身分証明書は本人専用であり、貸し借り - 他人の自転車や物品の無断使用
道路上などに放置されている自転車などを勝手に使用する行為 - 在留カードの不携帯
外出時に在留カードを携帯していない


生活オリエンテーションを実施する際の注意点
特定技能外国人が日本で安全かつ安定した生活を送るため、生活オリエンテーションの実施にはいくつか重要なポイントがあります。実施後は「生活オリエンテーションの確認書」に署名をもらい、記録を保管することが必要です。


特定技能外国人が十分に理解できる言語で実施する
生活オリエンテーションで提供する情報は、日本で生活・仕事をする上で欠かせないものです。特定技能外国人が十分に理解できる言語で実施することが求められます。情報が十分に伝わらないと、日常生活でのトラブルや仕事への支障につながる可能性があります。また、「企業が十分にサポートしてくれない」という印象を持たれることで、受け入れ企業への不信感を招くこともあります。言語だけでなく、視覚資料や具体例を活用することで、より効果的に伝えることができます。


情報を生活環境に合わせて提供する
特定技能外国人に提供する情報は、個々の生活環境に即したものであることが重要です。例えば、ゴミの分別ルールや収集日は地域ごとに異なります。災害時の避難場所、最寄りの医療機関、役所の所在地なども、それぞれの居住地に基づいた具体的な情報を伝える必要があります。また、生活習慣や気候も地域ごとに違うため、季節ごとの注意点を含めて説明すると良いでしょう。事前に特定技能外国人の生活環境を調査し、必要な情報を整理することで、生活上の不安やトラブルを軽減できます。
実施後の記録と定期的なフォローアップ
生活オリエンテーションを実施した後は、「生活オリエンテーションの確認書」を作成し、特定技能外国人本人に署名をもらう必要があります。この確認書は、提供した情報が正しく伝わったことを証明するものです。また、生活オリエンテーションは1回限りで終わるものではありません。定期的に面談を行い、防災や医療、生活に関する新しい情報を補足して伝えることが求められます。特に防災や緊急時対応は命に関わるため、繰り返し説明することで定着を図ります。継続的な支援が、特定技能外国人の生活の安定につながります。


まとめ:外部に委託するのも可能
生活オリエンテーションは、特定技能外国人が不安なく生活・就労するための義務的支援です。しかし、時間と手間がかかるため、登録支援機関への委託を検討するのも一案です。登録支援機関は生活オリエンテーションを含む支援業務や在留申請手続きなどを代行し、企業は受け入れ体制の構築や業務指導に集中できます。部分委託も可能で、費用は2〜3万円/月が相場です。登録状況や対応言語を確認して選びましょう。


特定技能外国人の生活オリエンテーションでお困りの方へ
特定技能外国人を受け入れる際の生活オリエンテーションは、安心して日本で生活・就労してもらうための重要な支援です。弊社では、オリエンテーションの実施方法や内容の整理、登録支援機関への委託に関するご相談にも対応しております。具体的なご質問やお悩みがございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。専門スタッフが丁寧にサポートいたします。
この記事の監修者


大学卒業後、経営コンサルティング会社に入社し、企業の経営支援に携わる。その後、dodaを運営するパーソルキャリアにて、様々な方の転職支援に従事。その経験を活かし、株式会社JINにて、人材事業を開始。