特定技能「飲食料品製造業」徹底解説|採用の流れと成功ポイント

  • URLをコピーしました!

外国人雇用を本音で語る「リクアジの編集部」の上田です。本日のトピックはこちら!

・特定技能「飲食料品製造業」の概要と取得条件
・食品製造業の人手不足と外国人材の活用法
・採用成功のための注意点とポイント

「飲食料品製造業で外国人材を活用したいけど、何から始めればいいのか分からない…」そんなお悩みはありませんか?特定技能制度のポイントや採用の流れ、注意点をわかりやすく解説します。この記事を読めば、制度の概要から実践的な活用法までしっかり理解できます。さっそくチェックしてみましょう!

特定技能「飲食料品製造業」とは?

特定技能「飲食料品製造業」とは、日本の食品製造業界における深刻な人手不足を補うために設けられた在留資格です。この制度は、食品加工や製造現場で必要な専門的な技能を持つ外国人材を受け入れることを目的としています。特定技能1号では、日本語能力試験や技能測定試験に合格することが求められ、即戦力として活躍することが期待されます。

令和6年4月からの5年間で、受入れ見込み人数は13万9000人とされており、さらなる拡大が期待されています。

飲食製造業における深刻な人手不足の現状

飲食製造業の有効求人倍率を見てみると、全産業平均が1.25倍であるのに対し飲食製造業では3.15倍と、他業種に比べて大幅に高い数値を記録しています。特に香川県では7.64倍という極めて高い倍率となっており、この分野での労働力不足が顕著であることがわかります。これらのデータから、飲食製造業が他の産業以上に深刻な人手不足に直面しており、特に地方の企業では人材確保が急務となっていることが明らかです。

参考資料

特定技能「飲食料品製造業」の労働者数

令和6年6月末時点で、特定技能「飲食料品製造業」分野の労働者数は70,202人と、特定技能12分野の中で最多を記録しています。これは令和5年10月末時点の57,679人からさらに増加しており、このうち約70%にあたる労働者は技能実習から移行した人材です。特にベトナムからの労働者が多く、この分野の主要な戦力となっています。

参考資料

特定技能「飲食料品製造業」の業務内容

特定技能1号外国人は、飲食料品製造業(酒類を除く)の製造・加工、安全衛生業務に従事できます。また、日本人が通常行う関連業務(原料調達、製品納品、清掃、事業所管理など)にも補助的に携わることが可能です。対象業務は「日本標準産業分類」の7分類に該当する事業者が実施するものです。

対象となる7業態
  • 食料品製造業
  • 清涼飲料製造業
  • 茶・コーヒー製造業(清涼飲料製造業を除く)
  • 製氷業
  • 菓子小売業(製造小売)
  • パン小売業(製造小売)
  • 豆腐・かまぼこ等加工食品小売業(製造小売)

食料品製造業業務例

農林水産省の資料によると、飲食料品製造業では、原料の調達・受け入れ、製品の納品、清掃などの関連業務も特定技能外国人が付随的に従事することが認められています。ただし、これらの業務を外国人が専任で行うことは禁止されているため、注意が必要です。

分類主な業務例
畜産食料品製造業食肉加工、ハム・ソーセージ製造、乳製品製造(チーズ・ヨーグルトなど)
水産食料品製造業魚介類の缶詰製造、塩辛・干物加工、冷凍魚介類加工
野菜缶詰・果実缶詰・農産保存食料品製造業野菜・果実の缶詰製造、漬物加工、乾燥野菜製造
調味料製造業醤油、味噌、酢、マヨネーズ、ドレッシングなどの製造
糖類製造業砂糖の精製・製造、水飴・シロップ製造
精穀・製粉業米の精米、小麦の製粉、玄米加工
パン・菓子製造業食パン・菓子パン製造、洋菓子・和菓子製造
動植物油脂製造業サラダ油、マーガリン、ショートニングの製造
その他の食料品製造業でんぷん製造、めん類(ラーメン・うどん)製造、豆腐・油揚げ加工、惣菜・弁当・寿司の製造、冷凍食品製造など

【2024年最新】スーパーでも惣菜等の製造可能

2024年3月の閣議決定により、総合スーパーマーケットと食料品スーパーマーケット(いずれも食料品製造を行うもの)で特定技能外国人の受入れが可能となりました。これにより、食料品部門での惣菜製造などにも特定技能外国人が従事できるようになります。

レジ打ちや接客・販売などはできません。また、百貨店やコンビニ、ドラッグストアのバックヤード業務も対象外ですので注意が必要です。

アジア人材情報メディアリクアジ外国人採用への画像

特定技能1号「飲食料品製造」を取得する方法

特定技能1号「飲食料品製造」を取得するには、特定技能評価試験に合格するか、技能実習2号を修了する必要があります。また、日本語能力試験N4以上またはJFT-Basicで日本語力を証明することも求められます。条件を満たした後、雇用契約を締結し在留資格を申請します。詳しく見ていきましょう。

特定技能評価試験に合格する

特定技能「飲食料品製造業」を取得するには、「飲食料品製造業 特定技能1号技能測定試験」に合格する必要があります。この試験は、飲食料品製造業で働くために必要な技能水準を確認するもので、一般社団法人外国人食品産業技能評価機構(OTAFF)が実施しています。

試験は、知識を問う学科試験実務力を確認する実技試験で構成されています。学科試験では、HACCP(ハサップ)を基にした衛生管理や製造工程管理の基礎が問われます。一方、実技試験では、図やイラストを使って正しい行動を選ぶ「判断試験」と、計算式を用いて作業計画を立てる「計画立案」が行われます。

合格基準は100点満点中65点以上で、受験料は8,000円(税込)となっております。

参考:HACCP(ハサップ)とは?

日本語試験に合格する

特定技能1号の在留資格を取得するには、「日本語能力試験(N4以上)」または「国際交流基金日本語基礎テスト(A2レベル)」に合格する必要があります。日本語能力試験は、言語知識・読解・リスニングの3科目で構成され、毎年7月と12月に実施されます。一方、日本語基礎テストは、パソコンを使ったCBT方式で、文字と語彙・会話と表現・聴解・読解の4分野が出題され、2カ月ごとに開催されます。いずれも日常生活に支障のない日本語力が求められます。

技能実習2号から特定技能「飲食料品製造業」へ移行する

技能実習2号を修了した方は、特定技能「飲食料品製造業」への移行が可能です。この場合、技能測定試験や日本語試験が免除されるため、移行手続きがスムーズに進められます。ただし、移行には在留資格変更の申請が必要で、受け入れ企業が特定技能の条件を満たしていることが前提です。この制度は、技能実習で培った経験を活かしてさらに日本で働きたい方にとって、大きなチャンスとなります。

「飲食料品製造業」特定技能外国人を採用するための条件

特定技能外国人を「飲食料品製造業」で採用するには、適切な体制と準備が必要です。以下に重要な2つのポイントを詳しく解説します。

食品産業特定技能協議会への加入

食品産業で特定技能外国人を受け入れる企業は、原則として「食品産業特定技能協議会」への加入が義務付けられています。この協議会は、特定技能外国人が適切に働ける環境を維持するためのガイドライン策定や、情報共有を行う機関です。加入することで、法令遵守に関するサポートや、他社の事例共有を通じた課題解決のヒントが得られます。また、特定技能外国人に関する法改正や制度の最新情報を迅速に入手することも可能です。

農林水産省が定める受け入れ要件には、食品産業特定技能協議会だけでなく、農林水産省が主体となる調査への協力も求められます。

登録支援機関の活用

登録支援機関は、特定技能外国人の生活や就労をサポートする専門機関で、日常生活の支援、行政手続きの補助、職場トラブル対応などを代行します。初めて外国人を受け入れる企業にとって、スムーズな運用を実現する頼れるパートナーです。一方、これらの支援業務は自社でも対応可能です。自社対応はコスト削減につながる一方、経験や知識が不足する場合にはトラブルのリスクが高まるため注意が必要です。企業の体制やリソースに応じて、自社対応と登録支援機関の活用を適切に選択し、安心できる労働環境を整えることが重要です。

特定技能外国人を雇用する際の注意点

特定技能外国人を雇用するには、試験合格証明の確認や受け入れ企業の条件遵守が必要です。また、労働条件やサポート体制を明確にし、適切な登録支援機関の活用や関連法令の遵守も欠かせません。以下に詳しく見ていきましょう。

雇用契約条件と報酬の基準

飲食料品製造業は特定技能外国人に人気の業種ですが、採用を成功させるにはいくつかの注意点があります。まず、競争の激しい分野であるため、他社と差別化された条件を提示することが重要です。特に給与設定は求職者にとって大きな決め手となるため、最低賃金法を守りつつ、日本人と同等の賃金水準を確保する必要があります。また、求人票の内容が曖昧だと求職者を集めにくく、採用が難航する可能性があります。法令を遵守し、具体的かつ魅力的な求人票を作成することで、優秀な外国人労働者を採用するチャンスが広がります。

特定技能「飲食料品製造業」の業務対象確認

特定技能「飲食料品製造業」では、全ての製造業が対象となるわけではありません。雇用する前に認められた業務範囲を十分に確認し、不適切な業務に従事させないよう注意が必要です。これらの業務を行わせることは違反行為に該当するため、事前に認められている業務を正確に把握し、適切な範囲内で雇用計画を立てましょう。

認められていない業務

・酒類製造業
・塩製造業
・医療品製造業・香料製造業
・ペットフード製造業
・飲食料品卸売業など

まとめ

特定技能「飲食料品製造業」は、日本の食品製造業界が直面する深刻な人手不足を補う重要な制度です。受け入れの拡大や法改正により、スーパーマーケットなど新たな分野でも活躍の場が広がっています。採用時には、試験合格や条件遵守、サポート体制の整備が求められます。適切な環境を整えることで、特定技能外国人の能力を最大限に活かし、業界全体の課題解決に貢献することが期待されています。

特定技能『飲食料品製造業』に関するご質問はこちら

特定技能「飲食料品製造業」の採用方法や試験要件、受け入れ体制の整備についてのご質問はお気軽にご相談ください。初めて外国人材を採用する企業様にもわかりやすく丁寧にサポートいたします。ぜひお問い合わせフォームをご活用ください。

このフォームに入力するには、ブラウザーで JavaScript を有効にしてください。
名前

この記事の監修者

プロフィール画像
キャリアアドバイザー
秦 秀斗

大学卒業後、経営コンサルティング会社に入社し、企業の経営支援に携わる。その後、dodaを運営するパーソルキャリアにて、様々な方の転職支援に従事。その経験を活かし、株式会社JINにて、人材事業を開始。

  • URLをコピーしました!