
外国人雇用を本音で語る「リクアジの編集部」の上田です。本日のトピックはこちら!
・特定技能「造船・舶用工業」の基本情報
・外国人労働者の活用によるメリット
・受け入れ時の注意点と支援体制の重要性
日本の造船業界は、少子高齢化や若者の都市部流出により深刻な人手不足に直面しています。造船・舶用工業分野では、具体的にどのような業務が可能で、外国人労働者の受け入れにどんな準備が必要なのでしょうか?本記事では、特定技能の制度からその活用方法、メリットや注意点まで詳しく解説します!

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特定技能「造船・舶用工業」とは?
特定技能「造船・舶用工業」は、日本の造船業や舶用工業分野における人手不足を補うために設けられた在留資格です。この分野では、船舶の設計や建造、修理、エンジンや機械装置の整備などを行う技能が求められます。特定技能1号では試験に合格することで5年間働けますが、特定技能2号へ移行すると在留期間の延長や家族の帯同も可能です。

特定技能「造船・舶用工業」誕生の背景
造船・舶用工業分野では、有効求人倍率が非常に高く、「塗装」4.50倍、「鉄工」5.72倍といった数値が示されています。一方、全産業の平均有効求人倍率は約1.3倍程度であり、造船業界はこれを大きく上回る深刻な人手不足に直面しています。
業務区分 | 職種 | 有効求人倍率(令和4年度) |
---|---|---|
造船 | 溶接(金属溶接・溶断工) | 2.85倍 |
塗装(塗装工) | 4.50倍 | |
鉄工(鉄工、製缶工) | 5.72倍 | |
とび(とび工) | 12.50倍 | |
配管(配管工) | 8.67倍 | |
舶用機械 | 仕上げ(めっき工、金属研磨工) | 5.80倍 |
機械加工(数値制御金属工作機械工) | 4.18倍 | |
鋳造(鋳造・鍛造設備制御・監視員) | 5.72倍 | |
金属プレス加工(金属プレス工) | 3.95倍 | |
強化プラスチック成形(プラスチック製品製造工) | 5.21倍 | |
機械保全(一般機械器具修理工) | 4.94倍 | |
舶用電気電子機器 | 電気機器組立て(電気工事作業員) | 3.70倍 |
電子機器組立て(電子機器部品組立工) | 2.35倍 | |
プリント配線板製造(電子機器部品組立工) | 2.35倍 |
参考:「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針について」
特定技能「造船・舶用工業」で従事できる業務
造船・舶用工業分野では、従来の6業務区分が「造船」「舶用機械」「舶用電気電子機器」の3つに再編され、新たな業務も追加されました。これにより、業務内容が整理され、より効率的な人材活用が可能となっています。

想定される関連業務の例
造船・舶用工業分野では、日本人が通常行う関連業務にも従事することが認められています。ただし、関連業務だけを主とした業務内容は認められず、必ず主たる業務と関連性を持つ作業として行う必要があります。
- 読図作業
- 作業工程管理
- 検査(外観、寸法、材質、強度、非破壊、耐圧気密等)
- 機器・装置・工具の保守管理
- 資材の材料管理・配置
- 足場の組立て・解体
- 廃材処理、清掃
- 梱包・出荷、運搬
- 入出渠

外国人労働者を受け入れるための企業要件
外国人労働者を受け入れるには、企業として満たすべき要件があります。ここでは、その具体的な内容と準備のポイントを簡潔に解説します。
造船・舶用工業分野特定技能協議会に加入
造船・舶用工業分野で外国人労働者を受け入れる企業は、特定技能協議会への加入が義務付けられています。協議会は受け入れ企業の適正な運営を支援し、外国人材の労働環境を保護する役割を担います。加入の流れは、必要書類の準備、所管の協議会事務局への申請、審査を経て正式に加入が認められるまでの手続きです。
注意点として、支援計画書には生活支援内容を具体的に記載する必要があり、不十分な場合は審査で却下される可能性があります。また、協議会への定期的な報告義務や、労働環境改善への取り組みも求められます。

支援体制の準備

外国人労働者を雇用した後は、働きやすい環境を提供するための支援体制が必要です。特定技能「造船・舶用工業」分野では、住居契約の手配や生活ガイダンスの提供が雇用者の責務とされています。また、日本語学習や文化理解の支援も重要です。なお、これらの支援は登録支援機関への委託や自社での対応も可能で、企業の状況に応じて選択できます。

外国人が特定技能「造船・舶用工業」を取得する方法
特定技能1号「製造業」を取得するには、日本語能力試験(N4以上)と技能評価試験の合格が必要です。技能実習2号を修了している場合は、試験免除で移行可能です。以下に詳しく解説します。
技能評価試験の合格
特定技能評価試験は、造船・舶用工業分野で必要な知識や技能を測る試験です。この試験は一般財団法人日本海事協会が実施し、以下の6分野に分かれています。各分野には学科と実技試験があります。
日本語試験の合格
特定技能外国人として働くには、日本語能力試験(JLPT)N4以上もしくは国際交流基金日本語基礎テスト(A2レベル以上)に合格が必要です。この要件は、職場での基本的なコミュニケーションや安全管理をスムーズに行うために設けられています。
試験は国内外で実施されており、特定技能外国人を目指す多くの人が受験しています。企業にとっても、合格者を採用することで、職場でのトラブルを減らし、生産性向上が期待できます。
技能実習2号修了者からの移行
技能実習2号を良好に修了している場合、特定技能評価試験が免除され、在留資格変更許可申請を行うことで特定技能の在留資格を取得できます。ただし、他分野の技能実習2号を修了した場合は免除の対象外となり、試験を受ける必要があります。技能実習から特定技能へ移行することで、実習中に培った技術や知識を活かしながら、造船・舶用工業分野で即戦力として活躍することが可能です。


特定技能「造船・舶用工業」を活用するメリットと注意点

即戦力となる人材の確保
特定技能「造船・舶用工業」を活用することで、必要な技能と知識を持つ即戦力の外国人労働者を採用できます。評価試験や技能実習2号を修了した人材が対象であり、現場で必要な技術をすでに習得しているため、採用後のトレーニング負担が軽減されます。また、特定技能で働く外国人は一定の日本語能力を証明する試験にも合格しているため、日常業務でのコミュニケーションもスムーズです。これにより、国内で人材確保が困難な状況でも、造船や舶用工業分野で必要な労働力を安定的に確保することができます。
多様性の促進と新しい視点の導入
外国人労働者の採用は、職場に多様性をもたらし、従業員同士の新たな視点や発想の交流を促します。特に造船・舶用工業のような専門性の高い分野では、異文化の経験を持つ人材のアイデアや考え方が、業務効率化や新しい技術開発に役立つことがあります。また、外国人労働者を受け入れることで、企業のグローバルな競争力向上にもつながります。多様なバックグラウンドを持つ人材がチームに加わることで、柔軟な発想や創造性を職場に取り込むことが期待されます。

注意点:支援体制の構築と法令遵守
外国人労働者を受け入れる際には、適切な支援体制を整える必要があります。住居や生活ガイダンスの提供、日本語学習の支援、文化理解の促進を行い、安心して働ける環境を用意しましょう。また、特定技能「造船・舶用工業」は派遣ではなく直接雇用が義務付けられているため、法令を遵守した採用活動が求められます。加えて、雇用後は職場環境や生活状況を定期的に確認し、必要に応じたサポートを行うことで、労働者の定着率を高めることができます。

まとめ
特定技能「造船・舶用工業」は、深刻な人手不足に対応し、即戦力となる外国人材の活用を可能にする在留資格です。技能試験や日本語能力試験をクリアした人材を採用することで、現場での労働力不足を解消するとともに、多様性の促進や新たな視点の導入による職場環境の向上が期待されます。ただし、直接雇用が義務付けられ、適切な支援体制や法令遵守が必要です。企業は外国人材が安心して働ける環境を整え、長期的な労働力の安定確保を目指しましょう。
『造船・舶用工業』について相談する
特定技能「造船・舶用工業」や外国人材の受け入れに関するご相談やご質問がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。具体的な制度内容や企業の準備ポイントについてのアドバイス、採用に役立つ情報を提供いたします。皆様の人材確保や職場環境改善のお手伝いを全力でサポートいたします。
この記事の監修者

大学卒業後、経営コンサルティング会社に入社し、企業の経営支援に携わる。その後、dodaを運営するパーソルキャリアにて、様々な方の転職支援に従事。その経験を活かし、株式会社JINにて、人材事業を開始。