
外国人雇用を本音で語る「リクアジの編集部」の上田です。本日のトピックはこちら!
・特定技能『航空』の概要と業務内容
・『航空』取得方法と試験内容
・受け入れ企業の要件と注意点
特定技能『航空』は、航空業界の深刻な人手不足を解消するために設けられた在留資格です。本記事では、特定技能『航空』の概要、従事可能な業務、取得方法、受け入れ要件、メリットや注意点について詳しく解説します。
特定技能『航空』とは?
特定技能「航空」は、航空業界で働く外国人に与えられる在留資格です。2019年4月に創設され、深刻な人手不足を解消するために設立されました。空港業務や航空機整備などの分野で即戦力となる外国人労働者の活躍が期待されています。
航空業界における現状と課題
近年、航空業界ではLCC(格安航空会社)の事業拡大や外国人旅行者の増加により需要が高まっています。2012年から2017年の5年間で国際線旅客数は1.6倍、着陸回数は1.5倍に増加しました。また、政府は2030年までに6,000万人の外国人旅行者受け入れを目指しており、需要は再び増加傾向にあります。
一方で、深刻な人手不足が航空業界の大きな課題となっています。国土交通省のデータによると、有効求人倍率は令和4年度で4.99倍と、全業種平均の1.27倍を大きく上回っています。この状況を改善するため、特定技能「航空」による外国人労働者の受け入れが進められており、今後もさらに拡大していくことが期待されています。

特定技能『航空』で従事できる業務
特定技能「航空」の業務は、「空港グランドハンドリング」と「航空機整備」の2つに分けられます。また、関連業務として事務作業や除雪作業なども可能ですが、関連業務のみの従事は認められていません。それぞれの業務内容を詳しく見てみましょう。

空港グランドハンドリング業務
空港グランドハンドリング業務は、航空機が空港に到着してから出発するまでの間に行われる地上支援作業を指します。特定技能「航空」で従事可能な具体的な業務は以下のとおりです。
業務区分 | 具体的な内容 |
---|---|
航空機地上走行支援業務 | 航空機の駐機場への誘導、地上支援車両の操作 |
手荷物・貨物取扱業務 | 手荷物や貨物の仕分け、集積、移送 |
手荷物・貨物の搭降載取扱業務 | 航空機への手荷物や貨物の搭載、到着貨物の降載 |
航空機内外の清掃整備業務 | 客室内の清掃、遺失物の検索、航空機外装の洗浄 |
航空機整備業務
特定技能「航空」で従事可能な業務の中には、航空機整備に関連する以下の業務が含まれます。
業務区分 | 具体的な内容 |
---|---|
運行整備業務 | 空港に到着した航空機が出発するまでの整備業務 |
機体整備業務 | 1年~1年半ごとに実施される大規模な整備業務 |
装備品・原動機整備業務 | 航空機の脚部、動翼、エンジンなどの整備業務 |
その他の関連業務
特定技能「航空」で従事できる関連業務には、主たる業務を補助する以下のような作業が含まれます。ただし、これらの業務のみを行うことは認められておらず、主たる業務と併せて実施されるものです。
- 事務作業
作業記録やデータ入力、書類整理などのデスクワーク。 - 除雪作業
冬季の滑走路や駐機場での雪の除去作業。 - 整頓作業
作業用機材や備品の整理整頓、資材管理。 - その他補助業務
主たる業務をサポートする軽作業や補助的な業務。

外国人が特定技能『航空』を取得する方法
特定技能1号「航空」を取得するためには、18歳以上の外国人であることが条件です。そのうえで、以下のいずれかの方法で在留資格を取得することができます。
取得方法①特定技能試験に合格する
外国人が特定技能試験を受験するには、以下の2つのルートがあります。
①日本国内での受験
留学や技能実習など、他の在留資格で日本に滞在している場合、日本国内で特定技能試験を受験することが可能。東京、大阪、福岡など主要都市で定期的に実施されています。
②海外での受験
日本に滞在していない外国人の場合、自国または指定された海外の試験会場で受験できます。2023年度の試験実施国には、フィリピン、ネパール、インドネシア、スリランカなどが含まれています。
取得方法②技能実習2号を良好に修了する
すでに技能実習2号の在留資格を持っている場合、以下の条件を満たせば試験を受けることなく特定技能1号「航空」へ移行できます。
①空港グランドハンドリング職種
技能実習2号で「空港グランドハンドリング職種」を修了している場合、試験なしで特定技能1号に移行でき、在留資格の変更がスムーズに行えます。
②航空機整備職種
現時点では、技能実習2号から特定技能「航空機整備」への移行は認められておらず、資格取得には特定技能試験の受験が必要です。
特定技能1号「航空」の試験内容
外国人が特定技能1号「航空」を取得するためには、以下の2種類の試験に合格する必要があります。それぞれの試験について詳しく解説します。
特定技能評価試験(航空分野)
特定技能評価試験は、公益社団法人日本航空技術協会(JAEA)が実施しており、以下の2つの業務に分かれています。
空港グランドハンドリング業務
・求められる技能: 航空機の誘導・けん引補佐、貨物の積載作業、手荷物の仕分けなどを行えるレベル。
・試験形式: 筆記試験と実技試験の2部構成で、すべて日本語で実施。
・試験会場: 東京、大阪、福岡、フィリピン、ネパールなど。
航空機整備業務
・求められる技能: 機体や装備品の基本的な整備作業(点検や交換作業など)を行えるレベル。
・試験形式: 筆記試験と実技試験の2部構成。
・試験会場: 現時点ではモンゴルのみで実施実績あり。

なぜモンゴルだけで実施しているのか確認したところ、日本の航空専門学校と提携する現地組織からの強い要望があったためとのことです。
日本語試験
特定技能「航空」を取得するには、日本語能力を証明する試験に合格することが必要です。外国人が受験できる試験は以下の2種類があります。
日本語能力試験は、N1からN5までの5段階に分かれており、特定技能にはN4以上の合格が求められます。試験は毎年7月と12月に実施され、世界中で受験可能です。
国際交流基金日本語基礎テストでは、A2レベル以上が求められます。JFT-Basicの特徴は柔軟に受験できる点で、試験は原則毎月実施されています。
どちらの試験も、特定技能「航空」に必要な日本語力を証明する重要なステップです。受験者の状況に合った試験を選び、しっかり準備を進めましょう。


特定技能『航空』受け入れ企業の要件
特定技能『航空』の外国人材を受け入れる企業は、以下の要件を満たす必要があります。それぞれについて詳しく解説します。
航空分野特定技能協議会への加入
受け入れ企業は、「航空分野特定技能協議会」に加入することが必須です。協議会では、外国人材の受け入れに関する法令遵守の啓発や、企業が倒産した場合の転職支援などを行います。加入には必要書類の提出や会費の支払いが必要な場合があります。協議会を通じて、外国人材の雇用がスムーズに進む体制が整えられます。


適切な支援体制の構築
外国人材を受け入れる企業は、彼らが安心して働き、生活できるよう、支援体制を整えることが求められます。
- 労働条件の説明: 就業内容や給与、福利厚生に説明。
- 生活支援: 住居の確保、日常生活のアドバイス。
- 健康管理: 定期的な健康診断の実施など。
- 日本語学習の支援: 仕事や生活に必要な日本語スキルのサポート。
これらの支援は、企業が直接行うだけでなく、登録支援機関に委託することも可能です。適切な支援体制を整えることで、外国人労働者が長期的に安心して就労できる環境を実現でき、企業との信頼関係の向上にもつながります。


特定技能『航空』で外国人受け入れの際の注意点
特定技能『航空』で外国人材を受け入れる際には、いくつかの重要な注意点があります。以下にそれぞれ詳しく解説します。
直接雇用のみ認められる
特定技能『航空』の外国人材は、派遣形態での雇用は認められていません。受け入れ企業は外国人と直接雇用契約を結び、給与の支払いや労働条件の管理を行う責任を負います。これは、外国人労働者が安定した雇用環境で働けるようにするための規定です。派遣を検討している場合は、制度の趣旨に合わないため注意が必要です。
関連業務のみの従事は不可
特定技能『航空』では、主たる業務である「空港グランドハンドリング」や「航空機整備」に加え、事務作業や除雪作業などの付随業務も認められています。しかし、これらの付随業務のみを行わせることは禁止されています。外国人労働者が適切に主たる業務を遂行できるよう、業務内容の管理が重要です。
まとめ
特定技能『航空』は、航空業界の深刻な人手不足を解消し、外国人材が活躍する新たなチャンスを提供する制度です。受け入れ企業が要件を理解し、適切な体制を整えることで、外国人労働者との円滑な協働が可能になります。本記事が特定技能『航空』についての理解を深め、受け入れを検討する企業や関心のある方々のお役に立てば幸いです。さらに詳しい情報が必要な場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください!
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この記事の監修者


大学卒業後、経営コンサルティング会社に入社し、企業の経営支援に携わる。その後、dodaを運営するパーソルキャリアにて、様々な方の転職支援に従事。その経験を活かし、株式会社JINにて、人材事業を開始。