
外国人雇用を本音で語る「リクアジの編集部」の上田です。
本日のトピックはこちら!
・外国人雇用のメリット、デメリットについて
・実際に雇用する際に、気を付けるべきこと
・求人募集から採用までの流れとは?
2024年現在、日本は少子高齢化が進み、多くの企業で人手不足が深刻な課題となっています。特に製造業や建設業、サービス業を中心に、この状況が事業運営の大きな障害となっているのが現状です。
こうした問題を解決する手段として、近年は「外国人労働者の雇用」が注目を集めています。
この記事では、外国人を雇用するメリット・デメリットについて解説します。
外国人労働者は、人手不足の解消だけでなく、事業の成長や多様化にも貢献できる可能性を秘めていますが、同時に文化やコミュニケーションの違いからくる課題もあるのが実情です。
外国人労働者を雇用する際のメリット・デメリットを正しく理解し、人材雇用の課題を解決する糸口を探りましょう。

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はじめに:日本における外国人労働者の雇用の現状について
日本の労働市場において、外国人労働者は年々増加しています。
少子高齢化により、国内の労働力が減少しているため、外国人労働者が不足分を補う重要な役割を果たしているからです。
この項目では、日本における外国人労働者の雇用の現状について、最新データを基に見ていきましょう。

国内の外国人労働者数
日本政府も労働者不足の状況を踏まえ、外国人の受け入れを積極的に推進しています。特に「特定技能」や「技能実習」制度を活用し、多くの企業が外国人労働者の雇用に取り組んでいます。
厚生労働省の『「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)』によると、令和5年度時点での外国人労働者数は2,048,675人に達し、前年比225,950人増加しました。
これは、過去最高の人数であり、増加率は12.4%上昇しています。国籍別に見ると、ベトナムが最も多く518,364人で全体の25.3%を占め、次いで中国(397,918人)、フィリピン(226,846人)の順です。

国内の外国人労働者の雇用事業所数
それに伴って、外国人労働者を雇用する事業所数も増加傾向にあります。
同データより、令和5年度には318,775所が外国人を雇用しており、前年から19,985所増加していることがわかっています。外国人労働者の雇用が特に進んでいるのは、製造業や建設業、サービス業など、慢性的な人手不足に悩まされている業界です。
外国人労働者の採用は、大企業だけでなく中小企業にも広がりを見せています。少子高齢化の今こそ、雇用を多様化している企業が市場でも競争力を高めているのです。

外国人労働者を雇用する5つのメリット
外国人労働者を雇用すると、どんなメリットがあるのでしょうか。ここでは、以下の5つに分けて解説します。
それぞれ見ていきましょう。
・人手不足を解消できる。
・海外人材は採用後に入社してくれる可能性が高い。
・案件の受注調整がしやすくなる。
・外国人労働者の雇用に関する助成金が利用できる。
・人件費を削減できる。
メリット①:人手不足を解消できる
製造業、建設業、サービス業などの労働集約型産業では、人手不足が深刻化しているのが現状です。
こうした業界では、外国人労働者が貴重な労働力として大きな役割を果たします。なぜなら、外国人労働者は仕事に意欲的であるケースが多いからです。
外国人労働者は、日本人だけでは対応が難しい事業の成長や拡大にも貢献します。安定した労働力を確保することで、企業は生産ラインやサービスの提供を途切れることなく維持し、業務を円滑に進められるでしょう。
人手不足が深刻な企業にとっては大きな解決策となります。
メリット②:採用後に入社してくれる可能性が高い
国内での人材採用は、広告費をかけても成功する保証はどこにもありません。「採用しても内定を断られた」といった事例も多く、広告費の方が高くついたという経験をした企業も少なくないでしょう。
これに対して、外国人労働者は日本で働くことを強く希望しているため、採用が決まれば入社する可能性が非常に高いのです。さらに、特定技能を活用すれば、即戦力人材をすぐに確保できます。
メリット③:案件の受注調整がしやすくなる
プロジェクトや業務の受注状況は、常に変動するものです。そのため、短期間で大量の人材を必要とする大規模プロジェクトや、急な受注増加に対して、対応できる労働力が確保できないことを理由に案件を断らざるを得なくなることがあります。
しかし、人材確保の選択肢に外国人労働者がいると、必要な時期に必要な人員を確保することがしやすくります。例えば、製造業では生産ラインの稼働をフレキシブルに調整でき、建設業では現場の進行に合わせて適切な人数を配置できるようになるのです。
これにより、企業は人材不足による受注の断念や遅延を防ぎ、競争力を維持できます。
人員不足によって案件受注を断ることは、企業の成長を阻害するマイナス要因です。外国人労働者の雇用を選択肢として持っていると、繁忙期の対応や新規プロジェクトの受注が容易になる点は覚えておきましょう。
メリット④:外国人労働者の雇用に関する助成金が利用できる
外国人労働者の雇用に関しては、政府からさまざまな助成金や補助金が提供されています。人材確保を外国人雇用で行うことで、これらの補助を活用し、経済的な負担を軽減できます。
例えば、日本語教育や職業訓練にかかる費用に対する助成金は、外国人労働者が職場に早く適応して、スムーズに業務を遂行するために必要なサポートです。また、住居や生活環境などの仕事以外でのサポートにも補助金が用意されています。
これらの助成金・補助金制度を活用することで、企業にとっての経済的な負担を軽減することが可能です。
メリット⑤:人件費を削減できる
外国人労働者の雇用は、日本人労働者と比較して低コストであることが多く、企業の人件費削減に効果的です。特に、特定技能を持つ労働者は、一定の専門技能を持っているため、企業はコストを抑えながらも質の高い人材を確保できます。
外国人労働者のなかには、自動車免許やフォークリフトの操作資格を持つ者も多く、労働者としての資質も十分に持ち合わせています。
企業は無駄な支出を減らしながら優秀な人材を確保できる点で、外国人の雇用は非常にメリットが大きいです。
以上の5点が、外国人労働者を雇用する際のメリットでした。
次に、外国人を雇用するデメリットについて見ていきましょう。

外国人労働者を雇用する3つのデメリット
ここまで、外国人を雇用するメリットについて解説してきました。
しかし、外国人雇用には少なからずデメリットも存在します。ひとつずつ見ていきましょう。
・コミュニケーション(社員教育)が苦労する。
・文化や習慣に違いがある。
・採用にコストと手間がかかる。
デメリット①:コミュニケーション(社員教育)が苦労する
外国人労働者を雇用する際、最も大きな課題の一つがコミュニケーション面です。
外国人労働者の日本語能力には個人差があります。日本語が流暢な労働者もいれば、日常会話に不安がある人もいるため、業務指示の伝達がスムーズに行かない恐れがあります。
その結果、業務効率に支障をきたすことがあるでしょう。特に、安全管理や品質管理が重要な業界では、言語の壁がミスや事故のリスクを高める可能性があるため、慎重な対応が求められます。
対策としては、事前に日本語能力を評価し、必要に応じて日本語研修を行うことが重要です。また、日本語学校の質はまちまちなので「学校の教育レベル」を確認すると、安心して外国人労働者を受け入れられます。

デメリット②:文化や習慣に違いがある
外国人労働者を雇用する際には、国ごとの文化や習慣の違いにも注意を払う必要があります。
文化や習慣の違いを正しく理解しないと、コミュニケーションや業務上であらゆる問題を引き起こします。
例えば、時間に対する意識や文化的背景などが異なると、業務の進め方やコミュニケーションのスタイルにズレが生じることがあるからです。
こうした違いが原因となり、社内での慢性的な人間関係の不和やストレスが生まれてしまいます。
特に、顧客対応を伴うサービス業では、文化の違いによる対応のミスが顧客満足度の低下に直結するため注意が必要です。
そのような事態を避けるためにも、採用企業としては、一人ひとりの外国人労働者が持つ文化や習慣といったバックグラウンドを理解することが大切です。
また、日本で働くことを夢見た外国人は日本の文化や習慣に馴染もうと頑張ってくれます。違いは受け入れつつ、日本のビジネスマナーや文化をゆっくり浸透させることを意識してください。

デメリット③:採用に手間がかかる
外国人労働者を雇用するには、通常の採用プロセスに加えて、在留資格の確認やビザの申請といった特別な手続きが必要になります。
これらの手続きは、日本人を雇用する場合に比べて時間と手間がかかるため、外国人雇用のデメリットだと言えるでしょう。
特に、外国人の雇用に慣れていない企業がこれらの作業を行うと、予想以上に時間がかかり、社内リソースのロスに繋がります。
さらに、場合によって外国人労働者が入国するまでの準備期間や、住居の手配、生活環境の整備など、入社までにかかる時間と費用も考慮しなければなりません。
できれば、こうした手間やコストを抑えつつ、外国人労働者を雇用できればベストです。


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外国人労働者を雇用する際に気をつけるべき注意点【4選】
外国人労働者を雇用する際には、いくつかの注意点があります。
これらの注意点を事前に知っておくことで、トラブルを未然に防げます。ぜひ最後まで御覧ください。
- 在留資格にあった仕事内容でないといけない
- 労働が認められているビザを持っているか確認する
- 受け入れ企業が、仕事以外の支援体制を整える
- 国籍・人種への言及は募集段階でも禁止されている
注意点①:在留資格にあった仕事内容でないといけない
外国人労働者を雇用する際に注意しなければいけないのが、「雇用する労働者の在留資格が、その仕事内容に適合しているかどうか」です。
日本での就労が認められる在留資格は、特定の職種や業務に限定されています。
たとえば「技術・人文知識・国際業務」の資格では専門職のみが許可されており、単純労働はできません。
また、必要に応じて在留資格の変更や追加申請が必要になるケースもあります。
適切な在留資格を持たない外国人を雇用してしまうと、違法就労とみなされ、企業に罰則が科せられる可能性があるため十分に注意しましょう。

注意点②:労働が認められているビザを持っているか確認する
外国人労働者を雇用する際、労働が認められているビザを持っているかどうかも必ず確認しましょう。
外国人が日本で働くためには、必ず「在留資格」が必要になります。在留資格はビザの一種ですが、ビザには大きくわけて3つの種類があります。
・就労が認められるもの
・条件付きで認められるもの
・働くことが一切許可されないもの
たとえば、「留学」や「家族滞在」の資格では原則として就労が認められておらず、資格外活動の許可がなければ違法労働にあたります。
企業側は外国人労働者を雇用する際、労働が認められているビザを持っているかどうかを必ず確認しましょう。

注意点③:受け入れ企業が、仕事以外の支援体制を整える
技能実習生や特定技能を採用する場合は、仕事以外の面でも接点を持つことになります。具体的には、生活面を含めた包括的なサポートが必要です。
言語や文化、気候などすべてが母国と異なる環境で働く外国人労働者にとって、日本での生活は生きるだけでも難しさがあります。
そのため、企業は住居の手配や銀行口座の開設、保険や年金の手続きなど、日常生活に必要な準備をサポートしましょう。そうすることで、労働者がスムーズに日本での生活に適応できます。
その他にも、以下のようなサポート体制を整えることで、外国人労働者の長期的な定着に繋がります。
・緊急時に備えたサポート
・日本語学習の支援
・職場文化を理解させるための説明会など
注意点④:国籍・人種への言及は募集段階でも禁止されている
外国人労働者を雇用する際、採用プロセスのなかで国籍や人種に基づいた差別的な取り扱いをすることは法律で禁じられています。
なぜなら、外国人を採用する際には、求めるスキルや経験に基づいて公平に選考を行わなければいけないからです。
そのため、求人票に「〇〇出身の人歓迎」といった記載をすることは、労働基準法や雇用機会均等法に抵触する恐れがあります。
企業としては、外国人労働者に対しても、日本人労働者と同等の基準で労働条件を明示し、適切な労働環境を提供する義務があることを覚えておきましょう。
外国人労働者の採用フローを解説
外国人労働者を採用する際には、日本人とは異なる特別な手続きや確認事項が必要です。特にビザの確認や、労働者の適応を考慮したサポート体制の整備は欠かせません。
ここでは、外国人労働者の採用を自社リソースのみで行う際の基本的なフローを計6STEPで解説します。
ひとつずつ見ていきましょう。

STEP①:求人募集
外国人労働者を採用する際、最初に行うのは求人募集です。
この段階では、職種が外国人の在留資格に適しているかを確認し、労働条件や仕事内容を明確に提示することが重要です。
また、特定技能ビザや技能実習ビザを利用する場合は、労働省のガイドラインに沿って業務内容やスキル要件を正確に設定する必要があります。
STEP②:選考
選考では、通常の面接や書類審査に加え、応募者の在留資格と日本語能力を確認することが大切です。
パスポートや在留カードを確認し、該当する資格で業務が行えるかを慎重にチェックしましょう。
特にビザの種類によっては従事できる業務が限られるため注意が必要です。この段階で確認することで、企業と労働者双方にとって無駄な時間のロスを防げます。

STEP③:内定
選考が終わり採用が決まったら、内定を出します。この際、労働条件などの詳細を説明します。
賃金や労働時間、福利厚生については、曖昧な点がないようにし、丁寧に説明することが大切です。
齟齬が無いようにし、通訳を交えて内容を伝える事をお勧めします。
また、外国人労働者がスムーズに入社準備を進められるよう、日本の生活情報や労働環境に関する資料を提供できると良いでしょう。
STEP④:在留資格(就労ビザ)の申請・変更
外国人労働者を正式に雇用する際は、在留資格(就労ビザ)の申請・変更が必要です。
特に海外からの採用ではこの手続きが不可欠になります。国内に既に在住している外国人の場合でも、業務内容に応じてビザの変更が求められます。
ビザ申請では書類不備や遅延を防ぐことが重要です。企業は、雇用契約書や業務内容の詳細を提出し、労働者が適切なビザを取得できるよう準備を整えます。
STEP⑤:入社準備
入社が決まった後、技能実習生の場合、住居手配や社会保険の加入など、外国人労働者の生活基盤を整えるための準備を行います。
また、職場への適応を助けるため、在留資格に応じた事前研修やガイダンスも実施しましょう。住居や銀行口座の開設など、生活に関わる手続きをサポートすることで、労働者が安心して働ける環境を提供することが、長期的な就労定着には必要不可欠です。
STEP⑥:雇用開始
最後に、正式に雇用が開始されます。この時点で、ハローワークへの届出や、必要な機関への報告を行い、企業としての法的手続きを完了させます。
入社後も定期的なフォローアップを行い、仕事・生活の両面でサポートを続けてください。これにより、外国人労働者が安心して働き続けられる環境が整います。
以上が、外国人労働者を採用するまでの大まかなフローでした。外国人労働者の採用にはメリットが多い一方で、このような採用フローには手間・コストがかかります。
特に中小企業などは、採用プロセスにかけられるリソースも限られていることでしょう。
まとめ
外国人労働者の雇用には、人手不足の解消や企業成長など多くのメリットがある一方、言語や文化の違いによる課題も伴います。本記事ではそのメリット・デメリット、採用時の注意点を解説し、在留資格の確認や生活面のサポートなど、必要なフローを整理しました。十分な準備と継続的なフォローにより、外国人雇用は企業の新たな可能性を広げる大きな一歩となるでしょう。

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この記事の監修者

大学卒業後、経営コンサルティング会社に入社し、企業の経営支援に携わる。その後、dodaを運営するパーソルキャリアにて、様々な方の転職支援に従事。その経験を活かし、株式会社JINにて、人材事業を開始。