
外国人雇用を本音で語る「リクアジの編集部」の上田です。本日のトピックはこちら!
・外国人労働者の現状と動向
・ベトナム人労働者が多い理由と課題
・今後注目すべき国と受け入れ体制の課題
日本で働く外国人労働者は年々増加し、今や労働市場を支える重要な存在となっています。本記事では、最新データを基に、国別の動向や在留資格の現状を詳しく解説。また、なぜベトナムやインドネシアなどの国から多くの労働者が来日しているのか、その背景や将来性にも迫ります。最後までお見逃しなく!
「何を知りたいか」によって読み取り方を変えましょう!
「在留資格に関する正確な数」を知りたい場合: 出入国管理庁のデータを信じるべき。
「実際に働いている人数や傾向」を知りたい場合: 厚生労働省のデータは雇用状況に近い。

記事内では、データの出典によって1位が異なります。
この点を頭に入れて、ぜひ記事を読み進めてみてください。
日本で働く外国人労働者の現状
令和5年10月時点で、日本の外国人労働者数は2,048,675人、外国人を雇用する事業所数は318,775所となり、いずれも過去最高を記録しました。外国人労働者数は前年同月比で12.4%増加し、特に製造業が全体の27.0%を占めています。また、建設業では24.1%の増加率を記録するなど、外国人労働者の活躍が広がっています。


外国人労働者の国別割合(2024年最新データ)
令和5年10月時点で、外国人労働者の国籍別割合を見ると、ベトナムが最多で518,364人(全体の25.3%)を占めています。次いで、中国が397,918人(19.4%)、フィリピンが226,846人(11.1%)となっており、これら3カ国で全体の半数以上を占めています。また、対前年増加率が最も高いのはインドネシア(56.0%増)で、次いでミャンマー(49.9%増)、ネパール(23.2%増)と、これらの国々からの労働者の増加が目立っています。


なぜベトナム人労働者が日本で多いのか
日本でベトナム人労働者が増加している背景には、いくつかの要因があります。まず、ベトナムに比べて日本の収入水準が高く、1人当たりの平均年収で日本は約453万円とベトナムの約61万円を大きく上回ります。さらに、2019年に両国で特定技能に関する二国間協定が締結され、手続きが円滑化されるとともに、労働者の保護も強化されました。また、親日的な文化や日本への憧れ、高い技術力を学びたいという意欲も、日本での就労希望者が増える要因となっています。




在留資格別に見る在留外国人の割合
在留資格として発行されている中で最も多いのは「永住者」で、全体の26.1%を占める891,569人です。次いで「技能実習」が11.9%の404,556人、「技術・人文知識・国際業務」が10.6%の362,346人と続きます。その他には「留学」や「家族滞在」などが含まれ、在留外国人の多様な背景が反映されています。


在留資格別の現状:発行数は中国が1位
厚生労働省のデータによれば、労働者数で見るとベトナムが最も多い一方で、出入国管理庁のデータでは在留資格の発行数では中国が一位となっています。特に中国人は永住者が多く、長期間にわたり日本に住んでいる人が多い点が特徴です。
国籍・地域 | 総数 | 永住者 | 技能実習 | 技術・人文知識・国際業務 | 留学 | 特定技能 |
---|---|---|---|---|---|---|
総数 | 3,410,992 | 891,569 | 404,556 | 362,346 | 340,883 | 208,462 |
中国 | 821,838 | 330,810 | 28,860 | 92,141 | 134,651 | 13,468 |
ベトナム | 565,026 | 24,505 | 203,184 | 93,391 | 43,175 | 110,648 |
韓国 | 410,156 | 75,675 | 0 | 24,125 | 14,671 | 246 |
フィリピン | 322,046 | 139,534 | 35,932 | 9,632 | 2,927 | 21,367 |
ネパール | 176,336 | 7,145 | 2,199 | 32,862 | 55,604 | 4,430 |
インドネシア | 149,101 | 7,632 | 74,387 | 6,675 | 7,741 | 34,255 |
ミャンマー | 86,546 | 2,963 | 26,352 | 10,511 | 12,177 | 11,873 |
ベトナムは「特定技能」「技能実習」ともに一番多い
ベトナムは「特定技能」と「技能実習」の分野で最も多くの在留外国人が日本で働いています。その背景には、日本とベトナム間で締結された2国間協定が円滑な人材受け入れを可能にしている点が挙げられます。また、2019年7月には、特定技能外国人を適切に送り出し・受け入れるための協力覚書(MOC)が交換され、特定技能のベトナム人労働者は今後も増加すると予想されています。さらに、ベトナムからの労働者は比較的若い世代が多く、平均年齢は20代から30代が中心で、日本の労働市場に活力をもたらしています。
今後注目される外国人労働者の出身国
今後注目される外国人労働者の出身国として、インドネシア、ミャンマー、ネパールが挙げられます。これらの国々について、社会的背景や労働市場での特徴を詳しく説明します。
急増するインドネシア人労働者
令和5年10月末時点の「外国人雇用状況」によると、対前年増加率が最も大きかった国はインドネシア(56.0%増)、次いでミャンマー(49.9%増)、ネパール(23.2%増)です。これらの国々に共通するのは、母国の賃金水準が低く、出稼ぎが一般的であること。日本で働くことで、より高い収入を得られる点が大きな魅力となっています。一方で、かつて増加率が高かったベトナムは近年横這いが続き、インドネシアが増加率でトップの座を占めています。




ミャンマー人労働者の将来性
ミャンマー人労働者の将来性は、日本の労働市場において非常に高いポテンシャルを持っています。ミャンマー語(ビルマ語)は日本語の文法や語順と似ているため、ミャンマー人労働者は日本語の習得が非常に早いという特徴があります。さらに、ミャンマー語は280音で構成され、日本語の50音と類似する発音も多いため、日本語の発音の習得にも適していると言えます。
また、ミャンマー人は日本の高い技術を学ぶ意欲が強く、これを母国に還元したいという希望を持つ人も多いため、日本企業にとっても国際的な人材育成の一環として価値があります。日本とミャンマー間の二国間協定や、引き続き高い需要が見込まれる「特定技能」「技能実習」分野での活躍を通じて、長期的な人材供給源としての役割が期待されています。


外国人労働者の未来と直面する課題
外国人労働者を取り巻く環境には、賃金や労働条件の競争力低下、職場でのコミュニケーション不足、安全対策の不十分さなど多くの課題があります。日本の労働市場の未来に向けた改善策や可能性について詳しく解説します。
日本の年収が諸外国より低い現状
日本は諸外国との年収比較で選ばれにくい状況が続いています。日本の平均年収は停滞している一方で、ベトナムでは2023年の1人当たりの年収が6.2%増加。インドネシアでも2024年には6.5%の増加が予測されており、アジア平均の5.2%を上回る成長率を示しています。こうした背景から、日本は賃金の競争力が弱まり、労働力確保において他国に後れを取る可能性が高まっています。
順位 | 国・地域名 | 2023年平均年収(円) | 年収増減率 |
---|---|---|---|
1 | ルクセンブルク | 10,263,120円 | 3.6% |
2 | アイスランド | 9,765,360円 | -2.7% |
3 | スイス | 9,504,480円 | -0.9% |
21 | 韓国 | 5,725,800円 | -0.7% |
24 | 日本 | 5,054,160円 | -2.6% |
1ドル=120円。出典:【2023年】世界の平均年収ランキング(OECD)
外国人労働者に対する受け入れ体制の課題
外国人労働者の受け入れ体制には多くの課題があります。特に、最低賃金違反や割増賃金不払いが技能実習生の失踪原因となり、賃金面の改善が求められます。また、過酷な労働環境では労災事故が多発しており、安全衛生教育の徹底が急務です。さらに、日本語能力や日本人社員とのコミュニケーション不足が、職場での課題として頻繁に挙げられています。加えて、年功序列に依存した昇進・昇給制度は、能力主義を好む外国人労働者にとって魅力に欠ける要因となっています。これらの課題を解決するためには、賃金や労働環境の改善、文化的背景を考慮したサポート体制の強化、そして柔軟な制度改革が必要です。


法整備と不正雇用の防止
外国人労働者の受け入れには、適切な法整備と不正雇用の防止が欠かせません。最低賃金違反や不正な労働契約が原因で、技能実習生の失踪やトラブルが多発しています。法的には、雇用契約段階で日本人と同等の賃金条件が求められ、「同一労働同一賃金」も適用されていますが、実際には監視が行き届いていないケースもあります。不正雇用を防ぐためには、受け入れ企業の適正な運用、監督機関の強化、そして外国人労働者が法的保護を十分に受けられる仕組みが必要です。


まとめ
外国人労働者の受け入れは、日本の労働市場にとって欠かせない存在となっていますが、賃金や労働環境の課題、安全衛生、文化的なサポート体制の改善が求められています。また、法整備の強化と不正雇用の防止は、外国人労働者が安心して働ける環境を作る上で不可欠です。本記事を通じて、日本と外国人労働者がともに成長できる社会の実現に向けた課題と可能性を考えるきっかけとなれば幸いです。
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この記事の監修者


大学卒業後、経営コンサルティング会社に入社し、企業の経営支援に携わる。その後、dodaを運営するパーソルキャリアにて、様々な方の転職支援に従事。その経験を活かし、株式会社JINにて、人材事業を開始。