
外国人雇用を本音で語る「リクアジ編集部」の上田です!本日は、元行政書士の監修による信頼性の高い情報をもとに、外国人雇用に関するトピックを分かりやすく解説します。
・外国人従業員の在留カードの確認を事業主が行う理由
・在留カードとパスポートの違い
・在留カードの更新手続きは2つに分かれている
「在留カードが期限切れ、どうすれば…」「そもそも在留カードって何?」「いつから在留カードの更新申請ができるの?」こんな疑問やお悩みを解決します。
本記事では、まず事業主が知らなかったでは済まされない事態について、丁寧に解説していきます。

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在留カードの更新申請は事業主側が管理すべき理由
外国人労働者を雇用している場合、在留カードの有効期限をきちんと把握できていますでしょうか?
在留カードや在留期間の更新手続きについては、本人任せにせず、事業主として積極的に案内やサポートを行うことが大切です。
手続きを忘れると、在留カードの期限切れだけでなく、オーバーステイ(不法滞在)となり、強制退去のリスクが生じます。
さらに、強制退去となった場合、最低5年間の入国禁止となり、それまでに費やした採用活動や研修・教育の費用と時間が無駄になってしまいます。
これまで意識していなかった事業主の方は、雇用している外国人がいれば、全員呼び出して、在留カードを確認してください。万が一、期限切れになっていた場合は、速やかに管轄の出入国在留管理庁に連絡し、指示に従うようにします。
全員、有効期限まで余裕があるなら、在留カードやその更新について以下、解説していきますので、理解を深め、手続きを管理するようにしてください。

在留カードについて概要などを解説

在留カードは、2012年(平成24年)から日本の出入国在留管理庁長官によって外国人に交付されている重要な公文書です。このカードは、外国人が日本で合法的に滞在する際の身分証明書として機能し、在留資格や滞在期間などの情報が記載されています。
以下で、その詳細について詳しく見ていきましょう。
在留カードの交付タイミング
日本に中長期在留しようとする外国人が上陸許可を受けたとき、在留期間更新の許可を受けたときなどに交付されます。
上陸許可を受けた際、以下の空港で降り新規入国を果たせば、その空港で在留カード交付となります。
上記以外の空港や、海港を経由して入国したときは、入国後速やかに、お住まいの市区町村に「転入届」を提出すれば、自宅宛に郵便で在留カードが届くようになっています。
在留期間の更新の許可が出たときは、住所地を管轄する地方出入国在留管理官署で新しい在留カードを受け取れます。
在留カードの性格・役割
上陸時に発行される在留カードには、許可を受けた在留資格と在留期間が記載されており、その内容で適法に日本に入国した外国人であることを証明できる「証明書」という意味合いがあります。
また、在留期間更新時に発行される在留カードは、その許可をもって交付されることから、「許可証」という意味合いもプラスされます。
在留カード記載事項

画像:出入国在留管理庁
在留カードには、顔写真(16歳以上)のほか氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地、在留資格、在留期間、就労の可否などが記載されています。上の画像を参照ください。
外国人を雇用しようとする事業主は、採用面接の際、本人に在留カードの提示をお願いし、それを確認すれば、就労が可能かどうかが一目でわかるようになっています。
詳細は後述しますが、外国人は常時、在留カードを所持しているはずです。提示を拒んだときは、就労不可と書かれている可能性もあります。
在留カードの発行条件と有効期間のポイント
在留カードの発行条件や有効期間について、発行されない場合や交付される場合の具体的な基準を簡潔に整理しました。また、有効期間についても「永住者」や「高度専門職2号」などの条件に応じた違いをわかりやすくまとめています。
項目 | 内容 |
---|---|
発行されないケース | 2. 在留資格「短期滞在」「外交」「公用」 3. 特別永住者 | 1. 在留期間3カ月未満
交付されるケース | 1. 在留期間3カ月以上 2. 在留資格「短期滞在」「外交」「公用」以外 3. 特別永住者ではない方 |
有効期間(16歳以上) | 2. 上記以外:在留期間満了日まで | 1. 「永住者」または「高度専門職2号」:交付日から7年


在留カードとパスポートの違い

発行国が違う
どちらも外国人の身分を証明するものとなりえますが、根本的に違うことは、在留カードは日本国が発行するもの、パスポートは外国人が(出生もしくは帰化して)国籍を有している国が発行するものです。
使用場面や目的が違う
日本に中長期在留する外国人にとってパスポートは、国籍を有する国に帰省(帰国)するもしくは日本に再入国を果たすために必要となる公文書にすぎず基本、空港の出入国手続きで使用するものです。
稀に航空券を購入し、搭乗便を予約する際にパスポートの番号が必要となるケースもあります。
在留カードは上陸許可の証であるほか、日本での生活の第一歩となる転入届など役所のさまざまな手続きで使用できます。
また、パトロール中の警官に適法在留者であることを、事業主に就労できることを証明するため、口座開設、クレジットカード使用など国内での経済活動を円滑に行うために必要不可欠なものでもあります。
携帯所持義務が違う
外国人の在留カードとパスポートの携帯所持義務は、下表のとおりです。
在留カード:交付を受けたら常時携帯所持する
パスポート:在留カード交付後は携帯義務なし(交付前などは常時携帯所持する)
外国人は日本国内では、在留カードまたはパスポートを携帯するように義務付けられています。
街で警官に呼び止められた際は、求めに応じて在留カードとパスポートを見せることになります。
その際パスポートを自宅で保管していて、携帯していなくても在留カードを提示できれば問題ありません。在留カードの交付を受けた外国人は、パスポートの携帯義務を免れるからです(入管法23条)。
しかし、パスポートのみを持ち歩き、在留カードを自宅に置いたまま外出した場合は、在留カード不携帯で20万円以下の罰金を科されます(入管法75条の3)。
また発行された在留カードを受領しない、提示を拒んだ場合は、1年以下の懲役または20万円以下の罰金となり、量刑が重たくなります(入管法75条の2)。
そのため在留カードは肌身離さず常時、持ち歩く必要があります。
在留期間の更新手続き中は、在留カードの裏面にその旨が書かれますが、取次者などに預けた場合は、
・パスポート
・在留カードの預かり証
・在留カードの写し(コピー)
を携帯するようにします。
在留カード・在留期間の更新については、次章以降に譲ります。

在留カード2つの更新手続き
在留カードの更新には、2つのパターンがあり、それぞれに対応方法が異なります。
1.7年もしくは16歳の誕生日
2.在留期間満了日
雇用している外国人の在留カードの有効期限を確認してから以下、読み進めてください!

在留カードの有効期間の更新申請
パターン①7年もしくは16歳の誕生日
このパターンは、在留資格「永住者」「高度専門職2号」「在留カード有効期間満了日が16歳の誕生日」の方の手続きです。
申請可能期間
16歳以上の永住者、在留資格「高度専門職2号」の方は、有効期間満了日の2カ月前から有効期間満了日まで申請が可能です。16歳の誕生日が有効期間満了日なら、誕生日の6カ月前から誕生日当日まで申請できます。
項目 | 内容 |
---|---|
必要書類 | 申請書、写真1葉、パスポート、現在有効な在留カードなど |
申請先 | 住所地を管轄する地方出入国在留管理官署 |
交付までの日数 | 申請があったその日(原則即日) |
在留期間更新許可申請に伴う在留カードの更新
在留カード記載の在留資格で、引き続き日本で生活することを望む外国人を対象とした手続きです。
以下に内容を表形式でまとめました。
項目 | 内容 |
---|---|
申請可能期間 | 在留期間満了日の3カ月前から在留期間満了日まで |
手数料 | 4,000円(収入印紙) |
必要書類 | (技能実習の場合)申請書、写真1枚、パスポート、現在有効な在留カード、住民税課税(非課税)証明書、年間総所得と納税状況が記載された納税証明書 |
申請先 | 住所地を管轄する地方出入国在留管理官署 |
交付までの日数 | 2週間~1カ月 |
最後に、全国にある在留カード・在留期間更新の申請先について、触れておきます。
出入国在留管理庁の場所と管轄
地方局・支局名 | 届出を管轄する都道府県 |
---|---|
札幌出入国在留管理局 | 北海道 |
仙台出入国在留管理局 | 青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県 |
東京出入国在留管理局 | 茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、新潟県、山梨県、長野県 |
東京出入国在留管理局 横浜支局 | 神奈川県 |
名古屋出入国在留管理局 | 富山県、石川県、福井県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県 |
大阪出入国在留管理局 | 滋賀県、京都府、大阪府、奈良県、和歌山県 |
大阪出入国在留管理局 神戸支局 | 兵庫県 |
広島出入国在留管理局 | 鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県 |
高松出入国在留管理局 | 徳島県、香川県、愛媛県、高知県 |
福岡出入国在留管理局 | 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮城県、鹿児島県 |
福岡出入国在留管理局 那覇支局 | 沖縄県 |
そのほか出張所もありますので、ホームページでご確認ください。申請先まで遠く多額の交通費がかかる、仕事の都合で出入国在留管理局に行くために休めない場合は、前もって行政書士といった取次者などに依頼すると、なにかとスムーズで、費用も抑えられる場合があります。
まとめ
警察庁のデータによると、不法就労助長事案は例年400件近く、検挙されています。
事業主として検挙されたことが報道されたり、噂が広まったりしてしまうと、会社の信用問題につながります。
外国人人材をこれから雇用しようとお考えであれば、入管法を学ぶほか、外国人人材の採用やサポートを実施している企業に支援をお願いすることを検討されてみてください。
そうすることで、大切な人材を不法滞在者にしたり、強制退去で失ったり、会社の信用までもが失墜することはないでしょう。
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この記事の監修者

大学卒業後、経営コンサルティング会社に入社し、企業の経営支援に携わる。その後、dodaを運営するパーソルキャリアにて、様々な方の転職支援に従事。その経験を活かし、株式会社JINにて、人材事業を開始。