外国人労働者を雇う前に知りたい|法律と指針を知る完全マニュアル

  • URLをコピーしました!

外国人雇用を本音で語る「リクアジ編集部」の上田です!本日は、元行政書士の監修による信頼性の高い情報をもとに、外国人雇用に関するトピックを分かりやすく解説します。

・法律と同じくらい大切な外国人労働者の雇用・労働条件に関する指針
・外国人を雇用する事業主が知っておくべき法律
・雇用した外国人労働者に教えておくべきルール

「既に」「これから」外国人を雇用する事業主は「どのような法律を知っておき、遵守すべきか再確認」また「自社で雇用した外国人らにどういったルールを教えておくと有益か」という視点で、解説していきます。

外国人採用完全ガイド
これさえ読めば安心!『外国人採用完全ガイド』

外国人採用を検討するなら必読!特定技能制度の基礎から最新情報までを網羅した解説資料を無料でお届け!5分で読める内容にまとめており、採用計画をスムーズに進めるための必読資料です。

外国人労働者の雇用・労働条件に関する指針とは?

外国人労働者の雇用・労働条件に関する指針は、厚生労働省が公表しているガイドラインです。

法律も大切ですが、まずはこの指針を参考にして、外国人労働者を雇用すれば、職場で起こりがちな多くの問題やトラブルは未然に防げる可能性が高くなるでしょう。

では、はじめに指針の概要を解説していきます。

外国人労働者の雇用・労働条件に関する指針の概要

厚生労働省が発表する指針では、以下の7つのテーマについて、事業主が知っておくべきことを示しています。

7つのテーマ

1,趣旨
2,外国人労働者の範囲
3,外国人労働者の雇用及び労働条件に関して考慮すべき事項
4,外国人労働者の雇用状況の報告
5,外国人労働者の雇用労務責任者の選任等
6,技能実習生に関する事項
7,職業安定機関、労働基準行政機関その他関係行政機関の援助と協力

上記のように7つの切り口で、事業主に考慮すべき事項を示しています。詳しく見ていきましょう。

1.趣旨

趣旨については、以下のような内容が記されています。
外国人労働者は以下の特性を持つことから、トラブルなどが生じている。

・国内に生活基盤を有していない
・日本語や我が国の労働慣行に習熟していない

トラブルを未然に防ぐためには、事業主は外国人の雇用管理を改善し、適正な労働条件、安全衛生を確保し、労働者を使用することが重要になります。

2.外国人労働者の範囲

外国人労働者の範囲について、次の2点が示されています。

・外国人労働者には、永住者及び特別永住者は含まれない
・技能実習生も外国人労働者でありこの指針が適用される

3.外国人労働者の雇用及び労働条件に関して考慮すべき事項

指針のなかで最も重要なセクションで、以下の内容が記されており、事業主は必ず全文を読解し、考慮していく必要があります。

考慮すべき事項

・募集及び採用
・労働条件
・安全衛生
・労災保険
・雇用の安定
・福祉の充実

4.外国人労働者の雇用状況の報告

事業主は以下を遵守するよう、示されています。

・毎年6月1日時点の外国人労働者雇用状況を公共職業安定所に報告する

5.外国人労働者の雇用労務責任者の選任等

事業主は、外国人労働者を常時10人以上雇用する場合、指針遵守を強化するために人事担当者を「雇用労務責任者」として選任することなどが求められています。

6.技能実習生に関する事項

事業主は、技能実習生、技能実習の予定のある研修生のあっせんを受け入れるときは、職業安定法に留意し、職業紹介事業許可業者から受け入れるよう明記しています。

7.職業安定機関、労働基準行政機関その他関係行政機関の援助と協力

事業主は、職業安定機関などから必要な援助と協力を得て、指針の内容を実施すべき旨で締めくくられています。

いずれも外国人労働者を問題やトラブルから守るだけではなく、会社の通常業務に支障をきたさないために、大切なことが書かれていますので、必ずチェックされてください。

指針については以上ですが、次章以降、

事業主は、外国人労働者について、職業安定法、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(以下「労働者派遣法」という。)雇用保険法、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法、健康保険法、厚生年金保険法等の労働関係法令等を遵守するとともに、特に、以下1~5について適切な措置を講ずるべきである。

上記のように指針内で出てくる法律などについて解説していきます。

外国人雇用で必ず押さえたい11の重要法律

外国人労働者を雇用する事業主が、必ず確認しておくべき11の法律とその対応方法を詳しく解説します。

法律1.職業安定法

外国人労働者を人材会社からの紹介で採用する場合は、職業安定法をチェックしておく必要があります。

人材会社は通常、職業安定法に基づき厚生労働大臣から職業紹介事業の許可を得ている、または届出を行っている事業者のことを指します(職業安定法第3章)。

自社が、悪質なブローカーから人材の紹介を受けたり、あらぬトラブルに巻き込まれたりしないよう、許可番号や届出番号が確認できた人材会社とあっせん契約を結ぶなどの自衛が必要です。

法律2.労働者派遣法

外国人労働者を派遣で受け入れようとするなら、厚生労働大臣の許可を受けた派遣会社(労働者派遣事業者)と契約を締結する必要があります(労働者派遣法5条)。

法律3.雇用保険法

外国人労働者は、後述する健康保険、厚生年金についても法令上、日本人労働者と同等に適用されることとなります。

適応条件

・1週間の所定労働時間が20時間以上
・31日以上雇用されることが見込まれる(雇用保険法6条

上記条件で外国人労働者を採用したら、後述する雇用対策法に基づきハローワークに届け出ます。

法律4.労働基準法

外国人労働者にも労働基準法が適用されることは、前出の指針のとおりです。事業主であれば理解されていると思いますが、再確認の意味を込め2点、解説します。

国籍や信条などによる差別の禁止(均等待遇)

事業主は国籍や信条などを理由に賃金、労働時間その他の労働条件について差別的な取り扱いをしてはなりません労働基準法3条)。

強制労働・賠償予定契約・前借金相殺・強制貯金の禁止

事業主は、以下の禁止行為をしてはなりません。

禁止行為

・暴行などにより精神や身体の自由を不当に拘束し意思に反して労働を強制(労働基準法5条
・労働契約不履行について違約金や賠償額を予定した契約(労働基準法16条
・お金を貸す条件として働かせる、働くことを条件としてお金を貸す契約
・支払うべき賃金を支払わず前借金の弁済分として相殺すること(労働基準法17条
・労働とセットでの貯蓄契約
・貯金の管理を行う契約(労働基準法18条

法律5.最低賃金法

外国人労働者にも、最低賃金法が適用されます。事業主は、外国人労働者にも最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません(最低賃金法4条)。

法律6.労働安全衛生法

工場や現場で働かせる場合など、労災事故を招かないように、外国人労働者に対しても安全衛生教育・特別教育を実施します。

安全衛生教育・特別教育

事業主は、外国人労働者を雇い入れたとき、作業内容を変更したときは安全衛生教育を、危険または有害な業務につかせるときは特別教育を行なわなければなりません(労働安全衛生法59条)。

労働者死傷病報告

労働者死傷病報告(労働安全衛生法100条)では、外国人労働者が当事者の場合、国籍・地域、在留資格を併せて報告する必要があります。

法律7.労働者災害補償保険法(労災保険法)

在留資格や雇用形態にかかわらず(たとえ不法就労やアルバイトだったとしても)、日本国内で働く外国人すべてに労災保険法が適用されます。

労災保険で補償給付される内容は、以下のとおりです(労災保険法7条)。

補償給付される内容

1.業務上の負傷、疾病、障害または死亡(業務災害)
2.複数事業労働者の2以上の事業の業務を要因とする負傷、疾病、障害または死亡
3.通勤時の負傷、疾病、障害または死亡(通勤災害)
4.二次健康診断等給付

通勤時とは、具体的には自宅から職場への往復や、業務上必要な職場間の移動が該当します。これらの移動は労災保険の対象となる通勤災害に該当する可能性があります。

法律8.健康保険法

外国人労働者は、健康保険適用事業所に採用された日もしくは事業所が健康保険適用事業所になった日などに、被保険者の資格を取得します(健康保険法35条)。

発行された健康保険証を提示すれば、外国人でも医療機関の受診や薬の処方を受けられます。

法律9.厚生年金保険法

常時5人以上の従業員を使用する厚生年金の適用事業所などに雇用された70歳未満の外国人労働者は、厚生年金保険の被保険者となります(厚生年金保険法9条

法律10.出入国管理及び難民認定法(入管法)

外国人を雇用する事業主としては最低限、在留カード、不法就労助長罪については熟知し、慎重に対応しなければなりません。

在留カードの記載事項

在留カードには氏名、在留資格、在留期間などのほか「就労制限の有無」が記されています入管法19条の4)。

不法就労助長罪

事業主が、外国人に不法就労活動をさせた場合、不法就労をさせるために外国人を自己支配下に置いた場合、外国人不法就労あっせんを業とした場合は、いずれも3年以下の懲役か300万円以下の罰金、併科となることもあります(入管法73条の2)。

外国人の採用面接の際、在留カードで就労が認められているかどうかと、在留期間を確認し、適切に運用すれば、知らず知らずのうちに不法就労に加担することを防げます。

法律11.雇用対策法

外国人労働者を雇用する事業主は、雇用対策法もチェックしておく必要があります。

外国人労働者雇用時・離職時の届出義務

事業主は、新たに外国人を雇用した場合や、外国人が離職した場合、その氏名や在留資格、在留期間などを確認し、厚生労働大臣(ハローワーク)に届け出る義務があります。(雇用対策法28条)。

届け出事項

・氏名
・在留資格
・在留期間
・その他厚生労働省令で定める事項

優越的関係を背景とする言動に関する相談体制など

事業主は、職場での上司や同僚との力関係を利用した不適切な言動によって、労働者の働きやすさが損なわれないようにする義務があります。そのために、労働者からの相談を受け付け、適切に対応する仕組みを整える必要があります。

さらに、事業主は、労働者が相談をしたり、事実を話したりしたことを理由に解雇したり、不利益な扱いをしたりすることを禁止されています(雇用対策法30条の2)。

ここまで外国人労働者を雇用する事業主として、把握しておくべき法律をご紹介してきました。

最後に、自社で雇用する外国人労働者に教えておくべきルールについて、お伝えします。

アジア人材情報メディアリクアジ外国人採用への画像

外国人労働者に教えておくべきルール

事業主は、自社で雇用する外国人労働者が法律やルールを知らないために、入院、死亡、逮捕、さらには強制退去といった事態に陥らないよう、しっかりと支援すべきです。

なぜなら、外国人労働者の採用や研修、教育に費やした時間や費用が、このような事態によって一瞬で無駄になる可能性があるからです。

以下に具体例を挙げますが、事業主の皆様も、外国人労働者に知っておいてもらいたいルールがあれば、積極的に伝えるよう心がけてください。

自転車を安全に使うための5つのルール

外国人労働者が日本で安全に自転車を利用するためには、母国のルールとの違いを理解することが大切です。以下の5つの基本ルールを守りましょう。

5つのルール

1,車道が原則、左側を通行、歩道は例外、歩行者を優先
2,交差点では信号と一時停止を守って、安全確認
3,夜間はライトを点灯
4,飲酒運転は禁止
5,ヘルメットを着用

引用:警視庁

自転車保険への加入

自転車を安全に利用するだけでなく、万が一の事故に備えて自転車保険への加入も重要です。自転車で事故を起こし相手にケガをさせた場合、状況によっては逮捕されることもあり、相手が死亡した場合には民事裁判で1億円前後の賠償命令が下される可能性もあります。

自転車保険に加入しておけば、賠償責任が生じた際に保険が負担してくれるため、大きな経済的リスクを回避できます。特に外国人労働者の方は、日本の保険制度を理解し、安心して生活を送るためにも加入を検討しましょう。

まとめ

外国人労働者を雇用しているものの、コミュニケーションに不安を感じている方や、これから外国人労働者の採用を検討しているが、対応方法がわからないという方もいらっしゃるかもしれません。

そのような場合は、外国人人材紹介会社に相談することをおすすめします。専門的なサポートを受けることで、自社のメリットを最大化し、リスクを最小限に抑えることができます。

日本で働く外国人労働者の多くは、まじめで勤勉な方が多いため、ぜひプロの力を借りて、自社にとって最適な採用を実現してください。

外国人採用について無料相談する

株式会社JINが運営する「リクアジ」では、外国人材の採用やサポートに精通した経験豊富なスタッフが無料でご相談に応じています。どのような小さな疑問やお悩みでも、お気軽にお問い合わせください。採用のプロが丁寧にお答えし、企業様に最適なソリューションをご提案いたします。

このフォームに入力するには、ブラウザーで JavaScript を有効にしてください。
名前

この記事の監修者

プロフィール画像
キャリアアドバイザー
秦 秀斗

大学卒業後、経営コンサルティング会社に入社し、企業の経営支援に携わる。その後、dodaを運営するパーソルキャリアにて、様々な方の転職支援に従事。その経験を活かし、株式会社JINにて、人材事業を開始。

  • URLをコピーしました!