モンゴル人材の採用ガイド|国民性・文化・働き方を徹底解説

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外国人雇用を本音で語る「リクアジの編集部」の上田です。本日のトピックはこちら!

・モンゴルの基本情報と国民性の理解
・日本でのモンゴル人労働者の現状
・採用・受け入れる際の注意点とメリット

我々日本人ととてもよく似た顔立ちのモンゴル人。チンギス・ハーンや相撲、最近話題のドラマのロケ地など、日本におけるモンゴルの認知度は高まりつつあります。しかし、文化や社会情勢など把握していないことも沢山あるでしょう。今回は、モンゴル人労働者を受け入れる際に知っておくべき、モンゴルの基本情報や国民性、一緒に働くときの注意点、日本との関係などについてまとめました。

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モンゴルの基本情報

中国とロシアという大国に挟まれたモンゴル。海が無く標高の高い内陸国で、年間平均気温は4度と低く、とても乾燥しています。寒いせいで冬場は石炭を使うことが多く、首都では大気汚染の問題が非常に深刻です。

国土は日本の4倍ですが人口は横浜市よりも少なく、人間よりも家畜のほうが多いと言われるほど。世界一の遊牧国としても知られています。人口密度は1平方キロメートルに約2人で、世界で一番人口密度が低い国です。

ひらめきくん

詳しい情報については、以下の表をご参照ください。

項目詳細
国名モンゴル国(Mongolia)
国土156万4,100平方キロメートル(日本の約4倍)
首都ウランバートル
人口約350.5万人(2023年、モンゴル国家統計局)
民族モンゴル人(全体の95%)、カザフ人等
言語モンゴル語(国家公用語)、カザフ語
平均年齢28.18歳
宗教チベット仏教、シャーマニズムなど
1人あたりGDP5,875米ドル(2023年モンゴル国家統計局)

モンゴルの歴史と国旗の意味

モンゴルがチンギス・ハーンによって統一され、モンゴル帝国となったのは13世紀のこと。帝国は拡大し続け、日本を襲来したこともあります。17世紀には清朝に支配され、20世紀に独立。旧ソ連の影響を受けて社会主義国家となりましたが、1990年に民主化して現在に至ります。

モンゴルの国旗は赤・青・赤に三分割されています。赤は進歩と繁栄、独立のために戦った先祖の犠牲を表し、青はモンゴルの空と永遠を表す伝統色だと言われています。

左側に描かれている図形は「ソヨンボ」と呼ばれる模様で「幸福の炎」「太陽と月」「地に刺さる矢と槍」「正義と正直さ」「陰陽」などの意味が込められています。

日本で働くモンゴル人の現状

日本とモンゴルは2014年、自由貿易協定(FTA)および経済連携協定(EPA)を締結しました。これを契機に、モンゴルから日本へ来る労働者の数は徐々に増加しています。
日本で働くモンゴル人といえば、相撲界の力士が最も知られていますが、近年は他の分野でも活動の幅を広げているのが現状です。

また、モンゴルの人材は世界的にも注目を集めています。その理由として、科学技術分野で高い学歴を持つ人材を、インドなどと比べて比較的安価に確保できる点が挙げられます。モンゴルの大学進学率は約65%で、日本よりやや高い水準です。さらに、モンゴル政府がデジタル/ICT(情報通信技術)産業の強化に力を入れてきたことから、優秀な人材が豊富に存在しています。

法務省の発表によると、2024年6月時点で日本に在留しているモンゴル人は20,416人で、そのうち2,000人弱が就労目的で来日しています。

在留資格別にみるモンゴル人の在留状況

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在留資格人数
技術・人文知識・国際業務3,898人
特定技能1,104人
技能実習2,671人
留学4,729人
家族滞在4,240人
特定活動541人
永住者1,522人
日本人の配偶者等455人
定住者507人
その他(300人以下の在留資格)749人

在留外国人統計(旧登録外国人統計)統計表

モンゴル人の宗教

モンゴルでは、ダライ・ラマを頂点とするチベット仏教の信者が多いと言われています。そして遊牧民の多くはシャーマニズムを信仰しています。少数ながらキリスト教やイスラム教徒も存在しています。最近では、首都ウランバートルに住む若者の中に「無宗教」が増えているそうです。

モンゴルのチベット仏教は、チベットから入ってきたものがモンゴル風にアレンジされたもの。遊牧民が昔から進行しているシャーマニズムの考え方や教義がミックスされたため、「モンゴル仏教」と呼ばれることもあります。

遊牧民は、あらゆる自然に神が宿ると信じています。力を持ったシャーマンが存在し、神からのメッセージを人間に伝えます。病気を治したり呪ったりするのもシャーマンの役割です。

食生活は信仰の深さにより個人差が大きいため、本人に確認し対応することが大切です。

モンゴル人の国民性と仕事観

親切で忍耐強い国民性

モンゴルの人々は、忍耐強く謙虚で、孤独にも負けない強い精神力があるとされています。社交性があり親切で、困った人を放っておけません。遊牧民の移動式住居(ゲル)に特有のおもてなし文化があるように、客人をもてなすのが大好きです。

また、モンゴル人であることに誇りを持ち、自分の国だけでなく他国の伝統文化も大事にします。温厚でマイペース、いつもニコニコしていますが、勝負事には真剣で、相手をとことん倒そうと非情になることも。女性も男性に負けず強気なところがあると言われています。自分の意見をしっかり持ち、はっきり主張するという一面もあります。

チームワーク重視の仕事観

モンゴル人の仕事観として特徴的なのは、チームワークを大事にすること。皆で協力し目標達成することを好みます。仕事を早く覚えようと真剣に取り組み、どんな環境にもすぐに順応します。無駄な争いは好まず、職場を和やかな雰囲気にするのが得意です。

その一方で、時間に対してとてもルーズで、時間厳守が難しい傾向にあると言われています。その理由のひとつに、モンゴルには30分以下の時間をあらわす言葉が無い、という説があります。時間を30分単位で考えるため、10分や20分の遅れを「遅刻」と感じないのだとか。時間に関しては、来日した際に、日本は分単位で動く文化であることをしっかり伝えましょう。

モンゴル人と一緒に働くときの注意点

文化への理解とコミュニケーション

モンゴル人は見た目が日本人に似ているため、「中身も同じだろう」と誤解されがちです。しかし、価値観や習慣はまったく異なるので、日本特有の「察する」文化が通じないことなどを意識しましょう。厳しい口調ではなく、ユーモアを交えて話すとスムーズに受け入れてもらいやすくなります。

また、モンゴルの国や文化に対して敬意を持ち、決して馬鹿にしないことが大切です。頭を触ったり、足で人を指す行為はタブーとされているため、日常のやり取りでも十分に注意しましょう。

自己主張と労働条件への配慮

モンゴルの人々は、男女問わず自己主張が強く、はっきり意見を言う傾向があります。日本とは違い、自分の考えをしっかり表明する文化だという点を受け入れ側が理解し、同僚となる社員にも周知しておけば、現場での摩擦を減らせるでしょう。

さらに、モンゴルでは週5日・40時間労働が基本です。日本で働く際もこれに準じる形を意識し、もし時間外労働が必要になる場合は事前に本人の了解を得るようにしてください。

モンゴル人の対日感情

モンゴルの人々は対日感情がとても良いとされています。同じ顔で同じ仏教の国、という親近感を持っているそうです。モンゴルの誰もが、日本の相撲界でモンゴル人力士が大活躍しているのを知っています。「ジャパニーズドリーム」という言葉があり、自分もいつか日本に行ってみたい、日本で仕事したい、力士のように成功したい、という夢を持っています。

その一方で、中国に対して複雑な感情を抱く人も多く、モンゴルでは日本人が中国人と間違われて襲われる事件も発生しています。

モンゴル人が選ぶ“親しくすべき国”は日本!

外務省が平成16年にモンゴルで実施した対日世論調査の結果は次の通りです。

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項目結果
最も好きな国(ぜひ行ってみたい国)1位:アメリカ / 2位:日本 / 3位:韓国
最も親しくすべき国1位:日本 / 2位:アメリカ / 3位:ロシア
日本に対する親しみ度「とても」「やや」合わせて 72.8%
日本のイメージ1位:経済力・技術力が高い / 2位:豊かな伝統と文化 / 3位:自然が美しい
日本人のイメージ1位:勤勉 / 2位:礼儀正しい / 3位:従順
日・モンゴル関係「非常に良い」「おおむね良い」合わせて 59.3%
モンゴルに対する援助で最も力を入れている国1位:日本 / 2位:アジア開発銀行 / 3位:ロシア
日本の援助はモンゴルの役に立っているか「とても役に立っている」「まあまあ役に立っている」合わせて 93.6%
日モンゴル関係の将来「さらに良くなる」65.0%

調査結果を踏まえ、外務省は次のように総括しています。

「社会主義時代には反日的な教育が行なわれていた時期があったにもかかわらず、今般の調査でこのような高い親日度が結果として表れたことは、民族的な親近感に加えて、モンゴルの民主化以降、日本が営々と行なってきた真摯な市場経済化・民主化支援の成果であると考察され、今後もアジアにおける貴重な親日国として、引き続き健全な対日感情の維持・促進に努めることが必要である。」(外務省ゴルにおける対日世論調査(概要)より引用)

日本とモンゴルの関係

モンゴルは1990年に社会主義国から脱し、民主化しました。日本はモンゴル支援の最大の援助国として、1991年に世界銀行とともに東京で「第1回モンゴル支援国会合」を開催。以来今日までずっと、モンゴルの持続可能な経済成長と社会の安定的発展を目指し、様々な角度から支援を実施しています。

モンゴルは中国とロシアに挟まれていることから、地政学的に重要な位置を占めています。モンゴルが民主主義国家として発展していくことは、日本の安全保障にとっても重要なのです。また、モンゴルは銅・ウラン・レアメタルなど豊富な地下資源を持っており、日本への安定的な資源やエネルギーの供給国でもあります。

2021年までのモンゴル国に対する政府開発援助(ODA)実績は、円借款(低金利の資金貸し出し)1,829.44億円、無償資金協力(返済しなくてよい資金協力)1,254.34億円、技術協力557.29億円です。モンゴルにとって、日本は最大の援助国なのです。

ひらめきくん

最後に、日本で働くモンゴル人の声をまとめました!

日本で働くモンゴル人の声

「国の家族にお金を送るために頑張っています」「早く日本の習慣に慣れたいです」「日本のテレビでモンゴルが映ると誇らしく思います」「日本の人々にモンゴルのことをもっと知ってほしいです」「日本の高い技術力を身に着け、モンゴルの役に立ちたいです」

まとめ

日本人と顔がそっくりなモンゴル人は、考え方や習慣も日本人そっくりだと思われがちです。しかし、国が違えば文化が違うのは当然のこと。教育水準が高く、チームワークも得意なモンゴルの人々が日本でその能力を十分発揮できるよう、受け入れ環境を整えてください。相互理解につとめ、職場のひとりひとりがモンゴルと日本の懸け橋になるよう心がけましょう。

参考資料
外務省:モンゴル基礎データ
国土交通省:モンゴルの基礎情報
外務省:モンゴルにおける対日世論調査(概要)
外務省:モンゴルにおける対日世論調査(結果

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この記事の監修者

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キャリアアドバイザー
秦 秀斗

大学卒業後、経営コンサルティング会社に入社し、企業の経営支援に携わる。その後、dodaを運営するパーソルキャリアにて、様々な方の転職支援に従事。その経験を活かし、株式会社JINにて、人材事業を開始。

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