
外国人ドライバー受け入れを促進
国土交通省は2025年1月9日、特定技能制度における自動車運送業分野の特定技能1号評価試験について、出張方式の試験受付を開始すると発表しました。
本試験は、トラック、タクシー、バスのドライバーとして就労を希望する外国人労働者が在留資格「特定技能」を得るために必要とされる評価試験です。すでに12月16日から、日本海事協会による出張試験の実施が始まっており、人材不足に悩む自動車運送業界にとっては大きな前進となっています。

運送業の人手不足の現状
運送業界では深刻な人手不足が続いており、2024年1月の有効求人倍率は「3.39倍」と全産業平均の1.21倍を大きく上回ります。また、2023年の人手不足による倒産件数は過去最多の260件に達し、そのうち物流業が占める割合は39件と前年の20件から倍増しました。

特定技能1号評価試験とは?
特定技能1号評価試験は、外国人が一定の専門性や技能を有しているかどうかを判断するもので、自動車運送業分野では安全運転や交通法規、接客に関する知識を含めた内容が問われます。今回導入された試験方式は大きく2種類あり、最初に行われるのが企業や団体単位で申し込みを行う「出張試験方式」です。
一定数以上の受験者をまとめて確保することで、指定会場に試験担当者が出向き、ペーパーテストを実施します。出張方式を利用すれば、より多くの企業や団体が積極的に外国人材を受け入れる準備を整えやすくなると期待されています。

一方、個別受験を希望する人は、テストセンターでコンピューターを用いて行う「CBT方式」で受験することが可能です。こちらは受験者本人が直接申請し、試験は2025年3月からの開始をめどに準備が進められています。
どちらの方式でも出題される問題の内容は同じで、関連する業界団体が公開を予定している試験テキストを基に学習することができます。試験合格後は、特定技能在留資格を取得するための大きなステップをクリアできるため、自動車運送業界での就労を目指す外国人にとっては欠かせない機会となるでしょう。
企業・団体がまとめて申請可能に!
今回開始された出張試験では、企業や団体がまとめて申請しやすい点が注目されます。独自の会場を用意し、一定数以上の受験者を確保できれば、交通費や受験調整に要する時間・労力が削減され、効率的に試験を実施できるからです。また、これに続いて予定されているCBT方式は、個人が好きな時期にテストセンターで申請して受験できるため、全国各地の受験希望者が柔軟に対応できるメリットがあります。
国土交通省は、試験の実施にあたっては安全かつ公正な環境を確保するとともに、合格者が日本で適切に就労できるよう、在留資格手続きや関連情報の周知に力を入れています。試験に関する詳細や最新情報は、同省や日本海事協会の公式サイトで確認が可能です。業界関係者や受験を検討している外国人にとっては、今後のスケジュールや申請方法を早めに把握しておくことが重要となるでしょう。
◎関連リンク → 国土交通省
