技術・人文知識・国際業務(技人国ビザ)で外国人を採用する4つの方法とポイントを徹底解説

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外国人雇用を本音で語る「リクアジの編集部」の上田です。本日は、行政書士で入管業務専門の安藤祐樹先生監修のもと、技術・人文知識・国際業務(技人国ビザ)の外国人を採用する基本についてわかりやすく解説します!本日のトピックはこちら!

・技人国ビザで働ける職種
・技人国ビザの採用方法
・確認すべきポイントと注意点

近年、海外企業との商取引が活発化し、日本国内の企業でも海外マーケティングや多言語対応を担当する外国人従業員の採用需要が高まっています。

この記事では、企業が国際化を進める上で欠かすことのできない「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で就労する外国人の採用方法、採用時に確認すべきポイント、採用後の注意点を詳しく解説します。

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技術・人文知識・国際業務(技人国)とは?

「技術・人文知識・国際業務」とは、日本国内で外国人が就労するために必要な在留資格の一種で、通称、「技人国(ぎじんこく)」と呼ばれています。

技人国ビザは、他の多くの在留資格と異なり、特定の業種や職種を分類したものではありません。そのため、技人国ビザで採用可能な人材の特徴や従事可能な業務内容を正確に理解することは簡単ではありません。

以下に、技人国ビザで就労が認められる業務の基本的なルールを解説します。

技人国ビザの業務内容と主な職種

技人国ビザで認められる業務内容は、以下の3種類です。

業務内容
  1. 技術(理系学問の素養を必要とする業務)
  2. 人文知識(文系学問の素養を必要とする業務)
  3. 国際業務(外国文化に基づく思考や感受性を必要とする業務)

「技術」「人文知識」の業務は、理系または文系分野の一定水準以上の専門的・学問的な知識を必要とし、短期間の経験だけで得られる知識では従事できないものに限られます。

「国際業務」は、日本人が一般的に持っていない外国文化に根差した特有の思考や感受性を必要とする業務で、一定水準以上の専門的能力を必要とするものに限られます。

技人国ビザで日本に滞在する外国人数

令和6年6月末時点で、「技人国ビザ」で日本に滞在する外国人の数は394,295人です。これは、全ての在留資格の中で「永住者」「技能実習」に次いで、3番目に多い在留数です。

「技人国ビザ」は、就労系の在留資格の中で最も代表的なものの一つであり、今後もその数が増加すると予想されています。

令和6年6月末現在における在留外国人数についてより、「リクアジ」が作成

技人国ビザの外国人を採用する4つの方法

技人国ビザの外国人を採用する方法は大きく分けて4つあります。

4つの方法

海外在住者を採用して日本に呼び寄せる
大学や専門学校を卒業した留学生
既に技人国ビザを持っている外国人
他の在留資格で日本に滞在している外国人

詳しく見ていきましょう。

海外在住者を採用して日本に呼び寄せる

海外在住の外国人を採用し、技人国ビザを新規取得して日本に呼び寄せることが可能です。

この場合、採用予定の外国人は、日本に新規入国するために「在留資格認定証明書交付申請」「ビザ(査証)発給申請」など、さまざまな事前手続きを行う必要があります。

その中でも、「在留資格認定証明書交付申請」は必ず日本国内の地方出入国在留管理局で申請する必要があるため、通常は外国人を雇用する企業の担当者が代理人となって手続きを行います。

また、技人国ビザで海外在住者を採用する際に知っておくべきこととして、日本国外の専門学校卒業者は、たとえ業務内容と専攻科目の関連性が高くても学歴要件を満たさないため、基本的に大卒以上の学歴を持つ外国人を採用する必要があります。

技人国ビザの取得は、実務経験の要件(技術・人文知識は10年、国際業務は3年)も存在するため、学歴要件を満たさなくても技人国ビザを取得できる場合があります。

大学や専門学校を卒業した留学生を採用する

日本国内の大学や専門学校を卒業した留学生も、技人国ビザを取得することが可能です。

この場合、留学生は基本的に「留学」の在留資格で日本に滞在しており、そのまま就労することはできないため、入社に合わせて「在留資格変更許可申請」を行います。

技人国ビザへの変更許可申請の審査期間の平均は約2カ月です。審査が完了するまでは、たとえ入社予定日になっても、就労開始することはできないため、入社予定日から逆算して余裕を持ったスケジュールで在留資格の変更手続きを行いましょう。

学歴と業務の関連性について、出入国在留管理庁は、大学卒業者が「技人国ビザ」に変更する場合、専攻科目と業務の関連性を比較的緩やかに判断しており、通常は大学の卒業をもって学歴と業務内容との関連性が認められます。

専門学校卒業者については、大学卒業者と比較して、より厳格に専攻科目と業務内容の関連性が審査されます。

既に技人国ビザを持っている外国人を採用する

既に日本国内で「技人国ビザ」で就労中の外国人を採用し、転職してもらうことも可能です。

この場合、従事させる予定の業務の内容が、入管法上、技人国ビザで認められる業務であれば、転職時に残っている在留期間の満了までは、変更や更新などの入管申請手続きをせずにそのまま雇用可能です。

ただし、外国人の学歴や実務経験と転職後の業務内容の関連性が認められない場合、在留期間満了時の更新許可申請が不許可になる可能性があります。そのため、更新許可まで見通しを立てて採用判断することが重要です。

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他の在留資格で日本に滞在している外国人を採用する

「技人国ビザ」への変更許可の条件を満たせば、他の在留資格で日本に滞在している外国人を採用することも可能です。

例えば、「特定技能1号」で就労している外国人を採用する場合、転職後の業務の内容が「技人国ビザ」の対象業務であり、学歴と業務の関連性が認められれば在留資格を変更することができます。

ただし、採用予定の外国人が技能実習生である場合、「技人国ビザ」に変更することは、原則として認められません。技能実習は技術移転や国際貢献のための制度であり、一部の例外を除いて、技能実習修了後は本国に帰国し、技術移転をしてからでなければ他の在留資格を取得することができません。

採用決定前に確認すべきポイント

技人国ビザで外国人を採用する場合、外国人の経歴と従事させる業務の関連性を採用決定前に判断する必要があります。技人国ビザの新規取得や変更のために、書類選考や面談の際に確認しておくべきポイントを解説します。

採用予定者の学歴・実務経験を確認する

技人国ビザを取得するためには、学歴または実務経験の要件を満たす必要があります。
採用予定の外国人の学歴または実務経験が以下のいずれかに当てはまっていることを確認してください。

「技術・人文知識の業務」に従事する場合

以下のいずれかに当てはまっている必要があります。

確認事項
  1. 大学(短大含む)を卒業している
  2. 日本国内の専門学校を卒業している
  3. 10年以上の実務経験がある
  4. 法務大臣が告示で定める情報処理技術の資格を持っている

参考:出入国在留管理庁|
出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令の技術・人文知識・国際業務の在留資格に係る基準の特例を定める件

「国際業務」に従事する場合

以下のいずれかに当てはまっている必要があります。

確認事項
  1. 3年以上の実務経験がある
  2. 大学(短大含む)を卒業している(翻訳、通訳、語学の指導業務のみ)

仕事の内容が技人国で認められる業務か確認する

たとえ採用予定者が学歴や実務経験の要件を満たしていても、従事する予定の仕事が技人国ビザの対象業務でない場合は、技人国ビザを取得することはできません。

出入国在留管理庁は、採用基準に「未経験可、すぐに慣れます」などの記載がある業務は技人国ビザの対象とならないと説明しています。

一般的に技人国ビザの取得基準を満たしていない日本人従業員が従事している業務も、技人国ビザの対象とはなりません。

参照元:出入国在留管理庁|「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について

日本人と同等の報酬基準で採用する

技人国ビザを取得するためには、同じ業務に従事する日本人と同等額以上の報酬を支払うことが必要です。

同じ業務に従事する日本人が社内にいない場合は、同じ地域内にある他の企業の報酬を基準とし、日本人と同等額以上であるか審査されます。

転職者を採用する場合は就労資格証明書交付申請が有効

既に技人国ビザを持っている外国人を採用する場合、在留資格の新規取得や変更などの手続きは必要ありません。ただし、転職後の業務内容が技人国ビザの対象業務でない場合、技人国ビザの外国人にその仕事をさせると、不法就労になってしまう可能性があります。

転職者の不法就労リスクを回避するためには、その外国人を採用する前に「就労資格証明書交付申請」を行うことが有効です。

就労資格証明書を事前に取得することで、安心して技人国ビザの転職者を採用できます。

就労資格証明書交付申請とは、外国人が持つ在留資格で転職後の業務に従事できるかを、法務大臣があらかじめ審査し、証明書を発行する制度です。

参考:出入国在留管理庁|就労資格証明書交付申請

アジア人材情報メディアリクアジ外国人採用への画像

採用後の注意点

技人国ビザの外国人を採用した場合、雇用を継続する限り、常に技人国ビザの対象業務に従事させる必要があります。以下に、採用後の注意点を解説します。

配置転換や昇進により業務内容が変わった場合

配置転換や昇進に伴い、技人国ビザで就労する外国人の業務内容が変わった場合、在留資格変更手続きが必要か確認しましょう。

飲食店を経営する企業で商品開発業務に従事する技人国ビザの外国人が、人事異動で店舗勤務になった場合

上記の場合、そのまま技人国ビザで雇用を継続できるか、または「特定技能1号」に在留資格を変更すべきか、異動後の業務内容から判断する必要があります。

なお、出入国在留管理庁は、技人国ビザの外国人が役員に昇進し、昇進後の業務内容が「経営・管理」の在留資格に該当する場合、在留期間満了までは技人国ビザで就労し、在留期間満了時に「経営・管理」に在留資格を変更することで問題ないと説明しています。

ただし、技人国ビザで「経営・管理」の業務に従事することは、本来は、資格外活動に該当する可能性が高いため、できる限り昇進と同時に在留資格を変更することをおすすめします。

不法就労にならないように気を付ける

技人国ビザの外国人を雇用する場合、営業、企画開発、事務作業など複数の業務に従事してもらうことが多いですが、すべての業務が技人国ビザの許可範囲内である必要があります。

もし許可範囲外の業務をさせてしまうと、外国人本人は不法就労のリスクを負うこととなり、雇用している企業は不法就労助長罪に問われる可能性があります。

技人国ビザの外国人を採用する場合は、必ず許可範囲内の業務のみ担当させるようにしましょう。

まとめ

技人国ビザは、幅広い業務に従事可能で、高度な専門性を持つ外国人を雇用できるため、国際取引の拡大を目指す企業にとって非常に有用な在留資格です。

しかし、技人国ビザで従事できない業務も知っておかなければ、外国人と企業双方に予期せぬリスクを招く可能性があります。

初めて技人国ビザの外国人を採用する場合、外国人雇用に精通した信頼できる職業紹介事業者を見つけることが採用成功の鍵となります。

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この記事の監修者

プロフィール画像

行政書士

安藤 祐樹

きさらぎ行政書士事務所代表。20代の頃に海外で複数の国を転々としながら農業や観光業などに従事し、多くの外国人と交流する。その経験を通じて、帰国後は日本で生活する外国人の異国での挑戦をサポートしたいと思い、行政書士の道を選ぶ。現在は入管業務を専門分野として活動中。TOEIC850点。趣味はプログラミングと料理。愛知県行政書士会所属(登録番号22200630号)

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