技人国ビザとは?外国人専門職を支える在留資格の概要と取得方法

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外国人雇用を本音で語る「リクアジの編集部」の上田です。本日のトピックはこちら!

「技術・人文知識・国際業務」(通称:技人国)とは
取得要件と申請の流れ
採用にあたっての注意点

高度な技術や知識を持つ外国人を受け入れるための「技術・人文知識・国際業務ビザ(技人国)」は、外国人が日本で専門的なスキルや知識を活かして働くためのビザです。本記事では、このビザの仕組みや申請手続きの流れ、採用時の注意点について詳しく解説します。ぜひ続きをご覧ください。

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「技術・人文知識・国際業務」(通称:技人国)とは

「技術・人文知識・国際業務ビザ」(通称:技人国ビザ)は、日本で外国人が専門的な職種で働くための在留資格の一つです。特に技術職やオフィスワークなどで、専門的な知識やスキルを持つ外国人が、日本企業で就職する際に必要となります。

このビザは、単純に労働力を補うためのものではなく、「自然科学」や「人文科学」などの分野で得た専門知識や技術、外国語能力や異文化理解を活かして働くためのものです。

2018年には約19万人だった技人国ビザで働く外国人は、2023年には約35万人に増え、5年間で約1.8倍に増加しています。これは、日本の企業が国際的な視点を重視し、外国人の専門知識や技術を取り入れる必要性が高まっていることを示しています。

令和5年6月末現在における在留外国人数について

対象となる業務内容

技人国ビザの仕事内容は「技術」「人文知識」「国際業務」の3つのカテゴリーに分かれており、それぞれの業務に独自の特徴があります。

技人国ビザで従事できる業務は、「専門的な知識がなければできない仕事」に限られます。工場でのライン作業や単純な接客業務は「専門的な知識」を必要としないため、このビザでは従事できません。

技術

「技術」に該当する業務は、自然科学(理学や工学など)に基づく知識が必要な仕事を指します。簡単にいうと、理系の専門知識や技術が求められる職種です。たとえば、システムエンジニアや機械設計のように、製品やシステムの開発・運用に直接関わる職業が含まれます。

具体的な職種

プログラマー、機械エンジニア、データサイエンティストなど

人文知識

「人文知識」に該当する業務は、法律学、経済学、社会学といった文系の知識に基づく仕事です。例えば、マーケティングや経理、法務といった業務が該当し、文系のバックグラウンドを活かせる仕事に従事できます。

具体的な職種

コンサルタント、営業職、人事、マーケティングなど

国際業務

「国際業務」に該当する業務は、外国語や異文化理解が求められる業務で、国際的な視点や母国文化に基づく知識が活かせる業務です。たとえば、通訳や翻訳、貿易関連業務が含まれ、外国語能力が求められる職場で活躍できます。

具体的な職種

通訳、英会話講師、海外営業、バイヤーなど

ただし、上記の職種であれば必ずしも在留資格を取得できるわけではありません。

外国人本人のこれまでの経歴と、就く予定の業務が関連しているかどうかが最も重要なポイントです。この関連性が確認できない場合、申請が不許可になる可能性が高くなります。

技人国ビザ取得のための基本要件

「技術・人文知識・国際業務ビザ」を取得するには、以下の基本要件を満たすことが必要です。初心者にもわかりやすく解説していきます。

学歴・職歴の関連性

学歴や職歴が職務内容と一致していることが求められます。エンジニアとして働きたい場合、大学や専門学校でITや工学を専攻していることが重要です。もし学歴がなくても、エンジニアとして10年以上の実務経験があれば申請可能です。また、国際業務の場合は3年以上の経験が必要です。これにより、学んだ知識が実際の仕事で活かせるかどうかが確認されます。

ただし大学等で専攻していた分野に該当する業務に就く場合は、3年経験要件が免除されることがあります

給与基準

日本人と同等、もしくはそれ以上の給与が支払われることが条件です。これは「同一労働同一賃金」の考え方に基づいています。例えば、日本人の社員が月額20万円をもらっているとすれば、同じ仕事をする外国人にも同程度の給与が必要です。

申請人(外国人側)に素行不良がないか?

過去に犯罪歴や違法行為がないことも条件です。例えば、日本でのアルバイトで週28時間の制限を超えて働いたことがあれば、それが問題視されることがあります。こうした行動がビザ取得に影響するため、慎重に守る必要があります。

ビザが不許可になる理由には、職務内容が学歴・職歴と一致しない場合や、給与が不十分な場合など、明確な理由がありますので、事前に対策をとることでスムーズな申請が可能になります。

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技術・人文知識・国際業務の在留資格申請の流れ

ビザの申請には、さまざまな書類が必要です。例えば、以下のようなものが一般的に求められます。

海外在住の人材を採用し、日本に招く場合

手順1:「在留資格認定証明書」を申請する

まず、企業が海外から外国人を呼び寄せる際には、「在留資格認定証明書(COE)」の申請を行います。これは外国人労働者が日本で働くための“入国パスポート”のようなものです。

このプロセスは以下の流れで進みます。

申請の流れ

必要書類の準備:外国人が持つスキルや経歴に関する書類を集め、会社の状況を示す書類を準備。

出入国在留管理庁へ交付申請を提出:必要書類を揃えて提出。

審査:出入国在留管理庁が申請内容を確認し、問題がなければ承認。

在留資格認定証明書の交付:審査に通れば、「在留資格認定証明書」が発行。

この証明書が交付されれば、日本で働くための準備が整ったことになります。

手順2:「在留資格認定証明書」を外国人に送付

証明書が交付されたら、企業はこの証明書を海外にいる外国人労働者へ郵送します。この書類は、日本で就労するためのビザを取得する際に必要なもので、「日本で働くための入国パス」ともいえる重要な書類です。

手順3:外国人本人が日本大使館でビザを申請

外国人労働者は、交付された「在留資格認定証明書」とその他の必要書類を持って、現地の日本大使館または総領事館にてビザの申請を行います。ビザが発行されれば、日本に入国して働く準備が完了します。

上記の流れが完了したら就業スタート!

留学生など、すでに日本に住んでいる外国人を採用する場合

すでに日本に住んでいる外国人(例えば留学生など)を採用する場合、その人は「在留資格変更許可申請」を行います。これは、今持っている在留資格(例えば「留学」ビザ)を、「技術・人文知識・国際業務ビザ」に切り替える手続きです。こうすることで、学業を終えたあとも日本で働くことができるようになります。

手続きの流れ
  1. 外国人労働者が出入国在留管理庁に申請を行います。
  2. 許可が下りると、申請者の自宅に「通知書」がハガキで届きます。
  3. そのハガキと一緒に必要な書類(申請受付表、パスポート、在留カード、4,000円の収入印紙)を持って出入国在留管理庁へ行き、新しい在留カードを受け取ります。

この方法では、既に日本に滞在しているため、ビザの申請は不要で、手続きが完了次第、就労が可能になります。

「技術・人文知識・国際業務」ビザを持っている外国人を他社で雇う場合

前職と大きく職務内容が変わらない場合は、在留資格変更許可申請は不要。ただし、業務範囲内かどうかを確認したい・証明したい場合は就労資格証明書交付申請を行います。

「就労資格証明書交付申請」は、外国人本人が自分で行います。

申請内容が出入国在留管理局で審査され、問題がなければ就労資格証明書が発行されます。これにより、新しい職場での勤務が認められます。

申請期間の目安

申請が受理されてから許可が下りるまでには、通常30日以上かかることが多く、特に海外からの採用では60~120日かかる場合もあります。このため、海外の人材を呼び寄せる場合は、余裕を持ったスケジュールを立てることが大切です。

「在留資格認定証明書」は交付されてから3か月以内に来日しないと無効になるから要注意!

採用にあたっての注意点

副業の制限

「技人国」ビザは、特定の職種に限定されているため、それ以外の職種で副業を行う場合は「資格外活動許可」が必要です。

たとえば、エンジニアとしてのビザで働いている人が、週末に外国語教師としての副業をする場合、この許可がないと違反になります。副業を計画する際には、必ず資格外活動許可を取得しましょう。

社内異動と業務内容の変更

「技人国」ビザは、特定の業務内容に基づいて発行されています。そのため、仕事内容が大きく変わる場合にはビザの変更手続きが必要になることがあります。たとえば、エンジニアから営業職に転換される際、新しい業務が「技人国」ビザの範囲に適しているか確認が必要です。

宿泊・外食業での外国人採用における注意点

宿泊業や外食業では、慢性的な人手不足を背景に「技術・人文知識・国際業務(技人国)」のビザで外国人を採用し、本来の業務とは異なる仕事内容で働かせるケースが多く見られました。

しかし、現在では審査基準が明確化され、不法就労助長罪が適用されるケースもあり、採用基準が厳格化されています。

具体的には、宿泊業での「ベッドメイキング、荷物運び、駐車場案内、レストランでの配膳」など、単純作業にあたる業務を行わせることは、明確にNGとされています。

そのため、宿泊業や外食業では「特定技能」の在留資格が適しているケースが多く、こちらのビザでの採用を検討することをおすすめします。特定技能ビザの詳細については、以下の記事をご覧ください。

まとめ

「技術・人文知識・国際業務」ビザは、専門知識や技能を持つ外国人が日本企業で働くための在留資格です。理系・文系・国際業務の三つに分かれ、学歴や給与基準を満たすことが必要。副業や社内異動では追加手続きが発生し、宿泊・外食業では特定技能が適するケースもあります。法令を守り、適正な申請・運用で多様な外国人材を活用しましょう。企業の競争力向上に加え、積極的に採用することでさらなる成長にもつながります。

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この記事の監修者

プロフィールカード
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キャリアアドバイザー
秦 秀斗

大学卒業後、経営コンサルティング会社に入社し、企業の経営支援に携わる。その後、dodaを運営するパーソルキャリアにて、様々な方の転職支援に従事。その経験を活かし、株式会社JINにて、人材事業を開始。

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