
外国人雇用を本音で語る「リクアジの編集部」の上田です。本日のトピックはこちら!
・特定技能「介護」の基礎知識と制度概要
・介護外国人材の受け入れに必要な手続きと準備の流れ
・支援方法やよくある質問
「介護外国人材の受け入れに関心があるけど、どこから始めれば良いのかわからない」「特定技能『介護』の制度を知りたい」とお悩みではありませんか?この記事では、特定技能「介護」についての基本情報から、手続きや準備のポイント、制度の利点と課題まで、すべて網羅的に解説していきます。
特定技能「介護」とは
特定技能「介護」の定義と概要
特定技能「介護」は、日本の介護業界で外国人労働者が働ける在留資格の一つです。この資格は、特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホーム等の福祉施設での介護業務を担う外国人が取得するものです。
一般的に、日本の介護施設では、日常生活でサポートが必要な高齢者に対し、食事や入浴、移動の補助を行うなどの支援を提供します。特定技能「介護」資格を持つ人材は、これらの業務を通じて、日本国内で長期間就労できる道が開かれています。
任せられる業務は、身体介護等のほか、これに付随する支援業務とされています。
介護業界における外国人材受け入れの背景
介護業界における外国人労働者の受け入れは、日本の少子高齢化による労働力不足が大きな要因です。
厚生労働省のデータによると、日本の65歳以上の人口は年々増加しており、2050年には総人口の約38%を占めると予測されています。このため介護職員の需要が急増している一方で、国内の人材供給は追いついていないのが現状です。
そのため、介護施設や企業が安定的に運営を続けるためには、外国人労働者の力が必要不可欠とされています。

受け入れ人数の上限
受け入れ人数には、事業所単位で上限が設けられています。具体的には、各事業所で受け入れ可能な特定技能1号の外国人の数は、その事業所における日本人等の常勤介護職員の総数を上限としています。
ここで「日本人等」とは、日本人のほか、永住者や日本人の配偶者等の在留資格を持つ外国人、在留資格「介護」を有する外国人、EPA介護福祉士などを指します。一方、技能実習生や特定技能外国人、EPA介護福祉士候補者、留学生などはこの「日本人等」には含まれません。
この制限は、特定技能外国人の受け入れに際し、適切な人員配置とサービス品質の維持事業所は、受け入れ人数が上限を超えないよう、常勤介護職員の数を確認し、適切な受け入れ体制を整えることが求められます。
特定技能「介護」外国人材の雇用に必要な条件
雇用形態の条件
特定技能「介護」人材の雇用形態には、直接雇用が義務づけられています。
派遣やアルバイト形式の雇用は認められていません。
この条件は、特定技能「介護」人材が安定して働ける環境を提供し、長期的な職場定着を促す目的から設けられています。
日本語能力試験と技能試験の要件
特定技能「介護」人材には、日本語能力試験(JLPT)のN4レベル以上の合格が求められます。また、技能試験として「介護技能評価試験」に合格する必要があります。
これらの試験は、日常会話や介護に必要な基礎的な日本語力および技能が備わっていることを証明するもので、日本で円滑に介護業務を行うために必要不可欠です。
試験は国内外で実施されており、外国人材が本国で資格を取得してから日本に渡航するケースも増えています。
試験免除の対象者
特定技能「介護」の試験免除対象者には、技能実習生として3年間の介護職務経験を持つ者が含まれます。
彼らは、実務経験に基づいて一定のスキルが身についていると見なされるため、日本語能力試験および介護技能評価試験の受験を免除されます。
この仕組みは、特定技能資格への移行を円滑に行うために設けられており、技能実習生から特定技能へのステップアップを推奨しています。

特定技能「介護」以外の在留資格(技能実習・EPA・在留資格「介護」)
外国人が日本で介護の仕事に従事するための在留資格には、「特定技能」以外にも「技能実習」「EPA(経済連携協定)」「在留資格『介護』」があります。
技能実習: 日本での介護技術習得を目的とした資格
EPA(経済連携協定): フィリピン、インドネシア、ベトナムとの協定に基づく制度で、これらの国の介護人材が一定の条件のもとで日本で働ける資格です。(最大4年間)
在留資格「介護」: 介護福祉士資格を取得した外国人が永続的に働ける在留資格です。
項目 | 特定技能「介護」 | 在留資格「介護」 | EPA | 技能実習 |
---|---|---|---|---|
業務の制限 | 訪問系サービス不可 | 制限なし | 制限あり (介護福祉士取得で一部可) | 訪問系サービス不可 |
在留期間 | 上限5年 | 制限なし | 原則4年、資格取得後は制限なし | 最長5年 |
日本語能力 | 入国前に技能・日本語の試験 | N2レベルを求めるケースが多い | インドネシア・フィリピンN5、ベトナムN3 | 入国時N4以上 |
学歴・能力要件 | 特になし | 特になし | 看護系卒業または介護士認定 | 監理団体の選考基準 |
メリット | 短期間の講習で現場に出られる、報告頻度が少ない | 日本語力が高い、訪問系サービスも可能 | 一定の人材の質、国の支援がある | 監理団体のサポートあり |
デメリット | 登録支援機関に料金がかかる場合あり | 訪問系が不可、採用活動を介護施設が自主的に行う必要 | 現場に出るまでに1年程度の講習が必要 | 訪問系不可、3ヶ月講習、頻繁な報告が必要 |
外国人材受け入れ事業所の手続き・準備
手続きの流れ(試験合格から就労まで)
外国人材が特定技能「介護」の在留資格で日本で就労するためには、まず、日本語能力試験や介護技能評価試験に合格する必要があります。
試験合格から就労までの手続きは、一般的に登録支援機関が支援を行い、雇用開始までスムーズに進むようサポートします。
試験に合格してから実際に就労が開始されるまでの平均期間は、3〜6ヶ月程度かかります。
雇用契約の締結条件
外国人材を雇用する際の契約では、労働条件を明示し、法定労働時間や給与、休日などを明記することが求められます。特に、特定技能「介護」の資格で働く外国人材は、日本人と同等の労働条件が義務づけられています。
厚生労働省の規定に基づき、最低賃金や労働保険の適用なども徹底されており、これによって外国人材が安心して働ける環境を確保することができます。
支援計画書の作成
特定技能「介護」外国人材を受け入れる事業所は、彼らの日本での生活や仕事に対する支援を行う「支援計画書」を作成する義務があります。
支援計画書には、住居の提供、生活習慣の説明、日本語のサポートなどの項目が含まれます。
そして、出入国在留管理庁に提出されるため、内容が充実していることが求められます。

出入国在留管理庁への届出と特定技能協議会への参加
特定技能「介護」外国人材を雇用する事業所は、出入国在留管理庁へ所定の届出を行う必要があります。また、「特定技能協議会」に参加することも求められます。特定技能協議会は、外国人材の適正な就労を確保するために情報を共有する場であり、事業所同士が協力しながら問題解決に取り組むことができます。
こうした届出や協議会参加により、事業所は適切な受け入れ環境を整え、外国人材が長期的に働ける体制を確保しています。

特定技能「介護」の取得手順
海外在住の外国人の採用手順
特定技能「介護」で海外在住の外国人を採用する手順は、まず介護技能評価試験と日本語能力試験の合格が必要です。
合格後、現地でのビザ申請を行い、在留資格「特定技能」が交付されれば来日できます。さらに、出入国在留管理庁への手続きが必要です。これにより、特定技能「介護」人材として正式に就労できるようになります。
国内在住の外国人の採用手順
国内に既に在住している外国人を特定技能「介護」で採用する場合も、日本語能力試験と介護技能評価試験に合格する必要があります。ただし、技能実習生として3年以上の介護経験がある場合には、試験が免除される場合もあります。
採用手続きが完了した後、在留資格を「特定技能」に変更する申請を出入国在留管理庁に行います。
国内在住者の場合、試験を受けてから採用までの期間が短く、事業所にとって迅速な人材確保が可能です。
採用時に必要な費用と注意点
特定技能「介護」外国人を採用する際には、渡航費やビザ申請費用、そして登録支援機関へのサポート費用などがかかります。さらに、生活支援の一環として住居の手配費用も発生する場合があります。
費用負担を軽減するために、一部の費用は外国人本人に負担してもらうこともありますが、労働条件に関しては厚生労働省が定める基準を守ることが必要です。

外国人介護人材への支援と教育
登録支援機関の役割
外国人介護人材の支援には、「登録支援機関」が重要な役割を果たします。
この機関は、外国人労働者が日本で円滑に働き、生活できるようサポートを提供する専門の組織です。具体的には、住居の手配や日常生活のアドバイス、就労先とのコミュニケーション支援などを行います。
厚生労働省の定める基準により、登録支援機関のサポート体制が整えられており、外国人介護人材の定着率向上にもつながっています。

学習用コンテンツとテキスト(日本語学習、介護専門用語)
外国人介護人材のスキル向上には、日本語学習や介護専門用語の習得が欠かせません。
多くの登録支援機関や事業所では、日本語の教材や介護の専門用語が含まれたテキストを活用し、研修プログラムを提供しています。例えば、簡単な会話から専門的な用語までカバーする教材を用意することで、業務中のコミュニケーションがスムーズになり、利用者の安心感も高まります。さらに、オンラインの学習ツールも充実しており、外国人材が自分のペースで学べる環境が整備されています。
指導・教育に関する注意点
外国人介護人材の教育においては、日本の文化やマナーも含めた指導が必要です。
日本の介護業界特有の丁寧なサービスや敬意を払った対応について理解を深めることで、利用者との信頼関係が築きやすくなります。加えて、指導者は外国人材の理解度や進捗に応じて柔軟に対応することが求められます。
コミュニケーション不足や文化の違いによる誤解を避けるため、定期的にフィードバックを行い、改善点や成功事例を共有することが効果的です。
よくある質問(在留資格、退職手続など)
特定技能「介護」に関するよくある質問には、在留資格の更新、求人や求職の手続き、そして退職時の手続きが含まれます。
在留資格は一般的に1年、6か月、4か月ごとの更新が必要で、出入国在留管理庁での申請が必要です。
求人については、ハローワークや各種人材紹介サービスを活用することが推奨されています。
退職の際は、転職先が見つかっている場合でも在留資格の変更や手続きが発生するため、早めの準備が重要です。
介護業界での外国人材の活用における将来展望と注意点
介護業界では今後、さらに多くの外国人材の受け入れが進むと予測されています。
少子高齢化の影響で介護人材不足が深刻化する中、外国人材の活躍が期待されていますが、長期的な定着には日本語教育や生活支援の充実が求められます。
今後、介護業界全体が外国人材の受け入れ環境をさらに整備し、日本での就労がよりスムーズになるような制度改革も期待されています。

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この記事の監修者

大学卒業後、経営コンサルティング会社に入社し、企業の経営支援に携わる。その後、dodaを運営するパーソルキャリアにて、様々な方の転職支援に従事。その経験を活かし、株式会社JINにて、人材事業を開始。