
外国人雇用を本音で語る「リクアジの編集部」の上田です。本日のトピックはこちら!
・外国人労働者の雇用における注意点
・労働条件の明確化と配慮
・外国人労働者の雇用メリット
日本の労働人口は年々減少しており、労働力不足が深刻化しています。そこで、企業にとって外国人労働者は重要な労働力となりますが、その雇用と労務管理には特有の注意点があります。本記事では、外国人労働者を雇用する際のポイントや労務管理の注意点について、初心者でも理解しやすいように詳しく解説していきます。
日本における外国人労働者の現状
日本の厚生労働省のデータによると、令和6年6月末の在留外国人数は、358万8,956人(前年末比5.2%増)で、過去最高を更新の外国人労働者が在留しています。これは、日本国内の少子高齢化の進行に伴い、企業が人手不足の解消策として積極的に外国人を受け入れていることが背景にあります。外国人労働者の数は増加傾向にあり、特に特定技能制度の導入後、建設や農業、介護分野などでの外国人の需要が高まっています。


外国人労働者の労務管理における基本ポイント
ポイント①:在留資格と契約期間の確認
外国人労働者が日本で働くためには、業務内容に応じた在留資格を取得する必要があります。在留資格には、それぞれの活動内容や滞在期間が設定されています。また、在留期間と雇用契約期間が一致しない場合は、外国人労働者が安心して働けるように、契約更新のスケジュールや更新の見込みについても適切に説明することが求められます。
在留資格 | 主な仕事内容 | 雇用側の注意点 |
---|---|---|
技術・人文知識・国際業務 | 専門知識を活かした仕事 (例:IT、通訳など) | 日本の大学や専門学校卒業、又は実務経験 |
特定技能1号 | (例:介護、建設など) | 指定された14分野の仕事業務内容が決まっているため、変更に注意 |
特定技能2号 | 建設、造船など熟練が必要な仕事 | 熟練が求められるため、採用基準が厳しめ |
高度専門職(1号・2号) | (例:研究、技術開発) | 高度な専門知識・技術系ビザ更新がしやすい |
技能実習 | 技能習得を目的とした実習 (例:製造、農業) | 指導や訓練が前提。技術移転が目的 |
(資格外活動許可が必要) | 留学(例:週28時間以内のバイト) | 学業に影響しない範囲でのアルバイト必ず資格外活動許可を確認し、時間管理に注意 |
該当者は少ないけど、下記在留資格もチェックしておこう!
経営・管理:企業の経営や管理ができる。
家族滞在:扶養に支障のない範囲でのアルバイトができる。
の目的に基づいた活動(例:ワーキングホリデー、企業内転勤)

ポイント②:賃金などの労働条件
日本では、給与は毎月1回以上、決められた期日に支払うことが法律で義務付けられています。外国人労働者も日本人と同じ労働基準法が適用され、最低賃金や労働時間、残業手当が守られます。賃金は日本人従業員と同等以上で、差別的な扱いは違法です。
また、外国人労働者が日本の銀行口座を持たない場合、送金方法や振込手数料に配慮する必要があります。これにより、企業の信頼性が高まり、長期的な雇用が促進されます。【全国の最低賃金一覧】

フィリピンやアメリカでは、給与日が月に2回に分かれて支払われることもあるよ!
ポイント③:雇用契約書と労働条件の明示
外国人労働者を雇用する際には、雇用契約書を締結し、労働条件を明確に示すことが必要です。ここで重要なのは、外国人労働者が契約内容や労働条件をしっかりと理解できているか確認することです。言葉の壁がある場合には、母国語での書面を用意したり、簡単な日本語で表記するなどの工夫を行いましょう。
ポイント④:就業規則や労務慣行の共有
外国人労働者にも、日本の就業規則に基づいて業務を行うことが求められます。しかし、日本語で書かれた就業規則は難解な場合があり、理解に時間がかかることがあります。そのため、母国語や簡単な日本語で要点をまとめたバージョンを用意し、重要なルールや会社の方針を明確に伝えることが大切です。
また、暗黙のルールや労務慣行(たとえば「朝の挨拶」「整理整頓の重要性」など)も、外国人労働者には伝わりづらい場合があります。暗黙のルールを明文化することで、外国人労働者が職場の文化に早く適応し、スムーズに業務を遂行できるようサポートしましょう。
ポイント⑤:労災保険・社会保険の加入
外国人労働者であっても、日本での就業条件を満たす場合は、社会保険や労災保険への加入が義務付けられています。社会保険(健康保険や厚生年金保険)については、週の労働時間が20時間以上、かつ1年以上の勤務が見込まれる場合に加入が必要です。
労災保険は、労働時間に関係なく、原則すべての労働者が対象となります。したがって、万が一職場で事故が起きた際には、外国人労働者も適切な手続きを通じて労災保険を利用できるようにしておきましょう。
ポイント⑥:人事異動、退職、解雇
外国人労働者には、人事異動、退職、解雇に関する特別な配慮が必要です。誤解を避けるために、事前にしっかり説明しておきましょう。
日本はメンバーシップ型雇用で異動が一般的ですが、海外はジョブ型雇用が主流であるため、外国人労働者には異動の可能性を事前に説明することが重要です。また、在留資格の制約で異動できない場合があることも理解しておく必要があります。
退職時には退職の通知期間(退職希望する際は何日前までに会社に伝えなければいけない)や手続き(健康保険や年金の切り替えなど)をきちんと説明しましょう。これにより、退職後の不利益を防げます。
解雇には整理解雇、懲戒解雇、普通解雇がありますが、外国人労働者も正当な理由があれば解雇できます。解雇基準や過去の事例を説明し、納得してもらうことが重要です。
ポイント⑦:定期健康診断
外国人労働者も日本で働く場合、労働安全衛生法に基づき、入社時および年に1回の健康診断を受けることが義務付けられています。もし健康診断を実施しなかった場合、企業は労働安全衛生法に違反し、是正勧告や罰則を受けるリスクがあります。特に、外国人労働者が健康診断の必要性を理解していない場合もあるため、その重要性を事前にしっかりと説明することが大切です。
健康診断のスケジュールを立てて、全員が定期的に受診できるように管理し、健康状態の把握を怠らないようにしましょう。


外国人労働者の雇用メリット
外国人労働者を採用することには、多くのメリットがあります。以下では、外国人雇用の具体的なメリットをわかりやすく説明します。
【メリット①】人材不足の改善
日本は少子高齢化の影響を受けており、労働力不足が年々深刻化しています。特に、同じような求人を出している他の企業と人材を取り合うことになりがちです。しかし、外国人労働者を受け入れることで、採用の幅が広がり、人材を確保するための競争に悩まされることが少なくなります。特定技能制度を活用すれば、即戦力となる専門的な知識や技術を持った外国人労働者を採用できるため、事業運営に必要な人材を安定的に確保でき、仕事に集中できます。



若者不足で、今後ますます採用単価が上がると言われてるよ!
【メリット②】助成金を使った雇用
外国人労働者を雇用することで、いくつかの助成金を活用することが可能です。例えば、以下のような助成金があります。
トライアル雇用助成金(試用期間のための助成金)
人材確保等支援助成金(外国人を正規雇用し、1年以上の雇用改善計画に取り組んだ場合)
人材開発支援助成金(外国人労働者への職業訓練経費)
これらをうまく活用することで、人件費を抑えつつ優れた人材を確保できる可能性があり、特に予算に制限がある企業にとっては大きな助けとなります。
【メリット③】新しい技術やアイディアの創造
外国人労働者を雇うことで、異なる文化や価値観に触れることができ、新しい視点やアイディアを得ることができます。日本人と異なるバックグラウンドを持つ外国人労働者が働くことで、業務改善のアイデアや創造的な解決策が生まれやすくなります。さらに、外国人労働者に業務を教える中で、日本人スタッフも新たな発見をすることがあり、チーム全体の成長に繋がります。外国人労働者は意欲的で向上心が高い場合が多く、周囲の従業員にも良い刺激を与え、活気ある職場環境を作ることができます。
外国人労働者の労務管理上の注意事項
文化の違いへの理解と配慮
外国人労働者を雇用する際に最も重要なのは、文化の違いを理解し、配慮することです。日本と他国では、コミュニケーションのスタイルや価値観が異なるため、誤解や摩擦が生じることがあります。日本では「時間厳守」が非常に重視されますが、他の国では少し遅れても問題ないと考える文化もあります。
そのため、事前に文化的な違いを説明し、外国人労働者がどのように感じるかを考慮することが重要です。また、日本の企業文化や働き方についても説明し、お互いに尊重し合う関係を築くことが求められます。


不法就労の防止策
外国人労働者に対して、在留資格を超えた業務を行わせることは不法就労助長罪に該当し、企業に重大なリスクをもたらします。例えば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で働く外国人に製造業など許可されていない業務をさせると、不法就労として処罰される可能性があります。
不法就労が発覚した場合、企業には最大3年の懲役または300万円の罰金が科されることがあります。不法就労を防ぐためには、在留資格の確認と業務内容の管理を徹底し、必要であれば専門家のアドバイスを受けリスクを避ける体制を整えましょう。
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この記事の監修者


大学卒業後、経営コンサルティング会社に入社し、企業の経営支援に携わる。その後、dodaを運営するパーソルキャリアにて、様々な方の転職支援に従事。その経験を活かし、株式会社JINにて、人材事業を開始。