
外国人雇用を本音で語る「リクアジの編集部」の上田です。本日のトピックはこちら!
・扶養控除の条件と手続き方法
・年末調整の手順と必要書類
・国外居住親族への仕送り額に関する控除条件
「外国人労働者の年末調整でどんな書類が必要?」「海外にいる家族を扶養控除で税金を抑えたい」という方に役立つ情報です。読めば、必要な手続きをしっかり理解できます!

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扶養控除と年末調整の基礎知識
扶養控除とは
扶養控除は、家族を経済的に支えている人が受けられる税金の控除です。収入が少ない家族(例えば、年収が48万円以下の子供や親など)を養っている場合、その家族を「扶養親族」として申告することで、所得税や住民税が軽減される仕組みです。
扶養親族とは
扶養親族とは、主に納税者の生活を支えている親族を指し、その親族を支えるためにかかった費用が税控除の対象となる場合があります。日本では税制上、扶養親族として認められるためには一定の条件があり、年齢や年間所得額が基準となります。下記の例をご連ください。

特定扶養親族のポイント
- 対象年齢:控除を受ける年の12月31日時点で19歳以上23歳未満
- 控除額:63万円
- 理由:大学などの教育費が多くかかる時期のため
老人扶養親族のポイント
- 対象年齢:12月31日時点で70歳以上の父母・祖父母などの直系尊属
- 控除額:
- 同居している場合:58万円
- 同居していない場合:48万円
- 同居判定の注意
- 病気で長期入院の場合でも同居として扱える。
- 老人ホームなどに入所していると同居として扱われないが、扶養控除は適用可能
国外居住親族とは
国外居住親族は、日本国外に居住している親族で、扶養控除の対象となる場合があります。外国人労働者や日本人で海外に親族を持つ人がこれに該当することが多いです。ただし、国外居住親族が扶養控除の対象となるためには、税務署に「親族関係書類」と「送金関係書類」を提出する必要があります。
具体例として、日本で働く外国人が母国にいる両親に仕送りをしている場合、適切な書類を提出すれば、両親を扶養親族として年末調整の扶養控除対象にすることが可能です。
居住区分の違いで変わる税金の仕組み
日本の税制では「居住者」「非永住者」「非居住者」という分類があり、どの分類に該当するかで税控除の対象範囲が異なります。
分類 | 定義 | 課税対象範囲 |
---|---|---|
居住者 | 日本国内に住所がある、または1年以上の居住を目的としている人 | 日本国内および国外の全所得が課税対象 |
非永住者 | 日本に住所があり、日本での滞在が5年以下、かつ生活の本拠が日本以外にある人 | 日本国内の所得と、日本国外からの送金所得が課税対象 |
非居住者 | 日本国内に住所がなく、1年以上の継続的な居住目的がない人 | 日本国内源泉の所得のみが課税対象 |

扶養控除を受けるための条件(令和5年の改正を含む)
扶養控除を受けるためには、扶養親族が以下の条件を満たす必要があります。令和5年の改正で一部基準が見直されているため、最新情報に注意しましょう。
国外扶養親族の扶養控除で求められる年齢条件と必要書類
国外扶養親族が扶養控除を受ける場合、16歳以上という年齢条件に加えて、以下のような証明書類が必要です。
送金関係書類
留学ビザ等書類(国外で留学中の扶養親族の場合)
【書類①】親族関係書類
国外居住親族を扶養親族として控除を受ける場合、親族関係を証明する書類が必要です。これには、納税者と扶養親族が親族関係にあることを証明するための書類として、戸籍謄本や国外で発行された出生証明書、住民票の写しなどが該当します。日本国外で発行された書類は、日本語の翻訳が求められることがあるため、準備に注意が必要です。
日本で働く外国人労働者が母国にいる両親を扶養控除に含める際には、この書類を提出することで親族関係を証明し、控除が適用される可能性が高まります。
【書類②】送金関係書類
国外居住親族を扶養親族と認めてもらうためには、実際に生活費や学費として仕送りを行っていることを証明する「送金関係書類」も必要です。この書類には、銀行の送金明細書や振込記録などが該当し、送金の金額と頻度が確認できるものでなければなりません。
【例外】留学ビザ等書類(国外で留学中の扶養親族の場合)
国外にいる扶養親族が学生の場合、追加で「留学ビザ等の証明書類」が求められることがあります。この書類には、国外の学校が発行する在学証明書や留学ビザのコピーなどが含まれ、扶養親族が学業に専念している証拠として必要です。
国外の大学に通っている子供が扶養控除の対象となる場合、この証明書類を提出することで、学業に専念しているため扶養が必要だと認められ、控除が受けられる可能性が高くなります。
年間38万円以上の仕送りで扶養控除が可能に
国外扶養親族への仕送り額が年間38万円以上であれば、扶養控除の適用が可能です。
この額は「生計を一にしている」ことの証明と見なされるため、必要な基準となります。
例えば、毎月3万円を海外の親に仕送りしている場合、年間36万円にしかならないため、38万円以上の基準には達しません。毎月3万5千円の送金なら年間42万円となり、扶養控除が適用可能です。
この条件を満たすことで、年末調整時に扶養控除の申請が通り、所得税負担が軽減される効果が期待できます。
年末調整に必要な書類
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
給与所得者の保険料控除申告書
給与所得者の基礎控除申告書、配偶者控除等申告書
年末調整で必要となる書類の一つが「給与所得者の基礎控除申告書」です。この書類では、基礎控除を受けるために必要な情報を記載し、給与所得者が年間所得48万円以下であれば適用されます。また、配偶者控除や配偶者特別控除を受ける場合は、同時に「配偶者控除等申告書」の提出が求められます。
これらの書類を年末調整時に正しく提出することで、控除が適用され、納税負担を軽減できます。
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
扶養親族がいる場合、年末調整では「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」が必要です。この書類には、扶養している親族の情報や異動内容(例:転居や新たな扶養者の追加)を記載します。特に国外居住の親族を扶養控除に含める場合には、親族関係書類や送金証明書を添付し、正確な申告が重要です。
給与所得者の保険料控除申告書
「給与所得者の保険料控除申告書」も年末調整に必要な書類です。これは、生命保険料や社会保険料などの控除を受けるために記入し、年間の保険料に応じた控除を申請するものです。この控除により、さらに税負担が軽減されます。
例えば、年間で10万円の生命保険料を支払っている場合、この申告書に記入することで生命保険料控除が適用され、所得税と住民税が軽減されることになります。
年末調整の手順

扶養控除や控除額の確認
年末調整では、まず扶養控除やその他の控除額の確認が重要です。
扶養親族がいる場合、扶養控除によって所得税が軽減されますが、扶養親族に関する情報が正確でなければ控除の対象外になる場合もあります。年収の範囲内で適用される控除(基礎控除、配偶者控除など)の確認も併せて行うことで、正しい納税額が計算できます。
必要書類の準備と提出方法
次に、年末調整に必要な書類を準備しましょう。通常、以下の書類が必要です。
これらの書類には、正確な情報を記入し、必要な証明書類(国外居住親族の扶養申請には親族関係書類や送金証明など)を添付することが求められます。提出する書類に不備があると控除が適用されないため、慎重に確認しましょう。
年末調整の書類提出時期と雇用主への提出方法
年末調整の書類は通常、年内に雇用主へ提出します。具体的な締め切り日は会社によって異なるため、雇用主からの案内に従い、早めに準備を整えましょう。多くの企業では、11月から12月の間に提出が求められることが一般的です。

国外居住親族に係る扶養控除の注意点
非居住者の場合の対応
非居住者である外国人従業員は、日本での年末調整の対象外となり、通常は確定申告が必要です。ただし、国内で得た収入の源泉所得にのみ課税され、一律20.42%の源泉徴収で課税関係が完了するため、年末調整や確定申告が不要になるケースもあります。この税額は、翌月10日までに納める必要があります。
また、非居住者に対する源泉徴収では、租税条約の有無にも注意が必要です。下記に詳細を説明するので次の項目をご覧ください。
租税条約による特例が適用されるケース
租税条約は二重課税の防止や課税の安定を目的とした条約で、日本と外国人従業員の出身国が締結している場合、所得税の免除が適用されることがあります。日本は約150カ国と租税条約を結んでおり、アメリカやドイツ、カナダ、ブラジルなどが含まれます。条約の適用を受けるには、雇用主を通じて税務署に「租税条約に関する届出書」を提出する必要があります。
例えば、フィリピンやベトナムのように租税条約が結ばれている国の一部親族については、控除が受けやすくなる場合があります。ただし、適用される条件は国ごとに異なるため、税務署に確認し、必要書類を整えることが重要です。
よくある質問
国外扶養親族の扶養控除についてのFAQ
国外扶養親族を扶養控除に含められるかどうかは、一定の条件を満たしているかがポイントです。主な質問とその回答を以下にまとめました。
技能実習生と特定技能外国人の年末調整
技能実習生や特定技能外国人も、日本で給与所得を得ているため年末調整の対象となります。主な質問と回答をまとめました。
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この記事の監修者

大学卒業後、経営コンサルティング会社に入社し、企業の経営支援に携わる。その後、dodaを運営するパーソルキャリアにて、様々な方の転職支援に従事。その経験を活かし、株式会社JINにて、人材事業を開始。