
外国人雇用を本音で語る「リクアジの編集部」の上田です。本日のトピックはこちら!
・特定活動の制度の仕組み
・申請、更新の具体的な手順
・指定書の重要性と確認ポイント
特定活動は、日本の在留資格の中で最も柔軟性が高い制度の一つであり、他の在留資格では対応できない特殊なケースを想定しており、活動内容が幅広く多岐にわたります。この記事では、在留資格特定活動の概要、具体的な種類、申請プロセス、指定書の確認方法について、初めての方にもわかりやすく解説します。
特定活動とは?
特定活動とは、他の在留資格では対応できない特定の活動に従事する外国人に与えられる在留資格です。わかりやすく言えば、現行の在留資格に当てはまらない外国人を受け入れるための柔軟な仕組みといえます。
通常、新しい在留資格を設けるには「出入国管理及び難民認定法(入管法)」を改正する必要がありますが、「特定活動」に関しては、法務大臣が個別に指定することができます。

よく聞く【特定技能】とは何が違うんだろう?


特定活動の特徴
特定活動は、他の在留資格に該当しない活動を行う外国人に付与される特別な在留資格です。法務大臣の裁量により個別に指定されるため、柔軟に対応できるのが特徴です。
この資格は、法定活動・告示活動・告示外活動の3つに分かれ、それぞれ就労可否や活動内容に制限があります。在留カードや指定書に記載された内容を遵守する必要があり、活動範囲を逸脱すると違法となります。期間は6か月から3年程度で、更新時には厳格な審査が行われます。
特定活動の種類をわかりやすく解説
特定活動は、その根拠や基準によって大きく以下の3つに分類されます。それぞれの特徴を簡潔にまとめながら、具体例を挙げて説明します。
分類 | 主な対象者 | 具体例 |
---|---|---|
入管法に規定 (3種類) | 高度人材や専門職、扶養家族 | 研究者、ITエンジニア、扶養家族 |
(46種類) | 告示特定活動特定分野や政策に基づく活動を行う外国人 | ワーキングホリデー、造船業の技能者 |
告示外特定活動 (3種類) | 特例的な事情を持つ外国人 | 災害などにより帰国が困難な方、出国準備中の外国人 |
【分類①】入管法に規定された特定活動(3種類)
これは「出入国管理及び難民認定法(入管法)」によって直接規定されている特定活動で、専門的なスキルや研究分野に従事する外国人やその家族が対象です。以下の3種類があります。
特定研究活動
一定の条件を満たす日本国内の公私の機関(大学、研究所、企業など)と契約し、その機関で研究、指導、または教育を行う活動を対象とした在留資格です。教育活動に関しては、大学や高等専門学校などで行われる場合に限られます。
・博士号など高度な知識を持つ研究者
・研究分野での専門的な実績を有する個人
特定情報処理活動
情報処理に関連する業務に従事する外国人向けの在留資格です。対象となるのは、自然科学または人文科学の分野に属する高度な技術や知識を必要とする業務です。企業が直接雇用契約を結ぶことが条件となります。
・IT分野で専門的なスキルを持つエンジニア。
・システム設計やプログラム開発の経験を持つ人材。
特定研究等家族滞在活動および特定情報処理家族滞在活動
上記の「特定研究活動」または「特定情報処理活動」に従事する外国人の扶養家族(配偶者や子ども)が日本に滞在するための資格です。
・主たる活動を行う外国人の配偶者
・主たる活動を行う外国人の子ども
【分類②】告示特定活動(46種類)
告示特定活動は、法務大臣が告示で指定した活動に該当する外国人が対象となります。現在、46種類の活動が指定されており、これらは政策や社会情勢に応じて柔軟に変更されるのが特徴です。以下のような活動が対象になります。
ワーキングホリデー:短期間働きながら日本で観光する制度
インターンシップ:外国に在籍する学生が、日本企業で職業体験をする。
起業準備活動:日本でビジネスを始めるための準備期間中の滞在
造船業・漁業での技能者就労:造船業、漁業などで特定の技能を持つ外国人に就労を許可
一時的な特例措置(新型コロナウイルス):コロナ禍で帰国困難となった外国人への一時的な在留許可
【分類③】告示外特定活動
告示外特定活動は、既存の在留資格や告示特定活動に該当しないケースで、法務大臣が個別に認めた活動が対象となります。この活動は個別事情を考慮して柔軟に対応するためのものです。
日本人配偶者の離婚後の滞在や災害などにより帰国が困難な場合など
在留資格「特定活動」の申請プロセス
特定活動ビザの申請手続きは、初めての方でも理解しやすいステップに分かれています。以下に、具体的な流れを詳しく説明します。


【ステップ①】必要書類の準備
申請には、下記の書類が必要になります。これらはすべての申請者が共通して必要とする書類です。
活動内容に関する書類
活動内容を証明するための書類が必要で、目的や受け入れ体制、活動の詳細が明確に示されることが求められます。
申請者の経歴証明書類



場合によるが、健康診断書や身分証明書を求められる事もあるよ!
【ステップ②】地方出入国在留管理局への書類提出
提出については、地方出入国在留管理局(通称:入管)で行います。書類提出は原則として申請者本人が行いますが、場合によっては代理人による申請も認められています。代理人としては、受け入れ機関の担当者(雇用主など)や法定代理人(弁護士・行政書士)が対応することが可能です。
【ステップ③】審査の実施
特定活動ビザの審査期間は通常1〜2か月ですが、書類に不備がある場合や申請内容が複雑で追加調査が必要な場合には、さらに時間がかかることがあります。審査中に入管から追加書類の提出を求められることがあり、例えば活動計画の詳細や雇用契約の補足資料などが必要になる場合があります。
また、審査では申請された活動内容が特定活動の基準に合致しているか、提出書類に矛盾や誤りがないかが重点的に確認されます。これらを踏まえ、書類の正確性と整合性を事前にしっかりチェックしておくことで、審査期間の短縮やスムーズな結果通知が期待できます。
【ステップ④】在留資格の発行
審査通過後、認定結果は郵送で通知されます。その後、地方出入国在留管理局で在留カードを直接受け取るか、郵送で受け取ります。
在留資格の付与が完了すれば、指定された活動を正式に開始できます。この手続きが完了することで、法的に認められた活動を安心して進められます。
特定活動の更新手順
特定活動の在留資格を更新する際は、、有効期限が切れる前に手続きを行うことが重要です。更新手順は初回発行と同様で、必要書類として現在の指定書、パスポートのコピー、在留カードのコピー、更新申請書を準備します。これらを地方出入国在留管理局に申請人本人が提出し、場合によっては現在の活動状況や今後の計画について説明が求められます。
審査には通常1〜2ヶ月かかり、追加書類の提出が必要な場合もあるため迅速に対応しましょう。審査を通過すると、新しい指定書が発行され、活動を継続できます。指定書は管理局で受け取るか郵送で送付されます。


就労可能かどうかは「指定書」を必ず確認する
特定活動を持つ外国人が就労可能かどうかを判断する際、指定書は最も重要な書類です。特定活動といっても、活動内容や就労の可否は人によって異なるため、指定書の確認が欠かせません。ここでは、指定書の確認ポイントと実際に確認すべき具体的な内容について詳しく説明します。


なぜ指定書の確認が必要なのか?
特定活動を持つ外国人には、それぞれ異なる活動が許可されています。例えば、ある人は特定業務での就労が可能である一方、別の人は収入を伴う活動が認められていない場合があります。
指定書には、このような個別の条件が詳細に記載されており、これを確認することで、雇用者は以下のような重要な情報を把握できます。
これらの確認を怠ると、違法就労や行政指導のリスクが生じるため、指定書の確認は雇用前に必ず行う必要があります。
指定書の確認ポイント
指定書を確認する際、特に注意すべき点を以下にまとめました。
- 基本情報の一致
- 外国人の名前、国籍、在留資格が在留カードと一致しているか
- 活動内容の確認
- 「特定の業務に従事することができる」と記載されていれば、指定された範囲内で就労可能。
- 「報酬を受ける活動を除く」と記載されている場合は、就労は認められません。
- 就労範囲の制限
- 指定された業種や仕事内容が明確に記載されているため、その範囲外の業務を行わせることは違法
- 有効期限の確認
- 在留期間内で活動が可能かを確認
- スタンプの有効性
- 指定書に押されたスタンプの日付が最新の在留カードと一致しているか確認
確認不足によるリスクとは?
指定書の確認が不十分だと、以下のようなリスクが発生します。
違法就労のリスク:指定された範囲外の業務を行わせた場合、雇用者側が処罰の対象となります。
行政指導や罰則:出入国在留管理庁から行政指導を受ける場合があります。
雇用契約の無効化:指定書の内容に基づかない業務内容での雇用は、法的に無効となる可能性があります。
特定活動に関する注意点を初心者向けに解説
指定書をなくした場合に取るべき行動
特定活動の指定書が見つからない場合は、以下の手順で対応します。まず、地方出入国在留管理局に連絡し、指定書の有無や再発行の可否、必要な手続きや書類を確認します。もし再発行ができない場合は、代替手段として就労資格証明書の取得を検討します。この証明書は、外国人が日本で収入を伴う活動を行う資格を証明する公式な書類であり、特定活動内容の確認にも役立ちます。
許可取得の難しさを認識する
特定活動の取得は、審査基準が非公表であることや制度が細かく要件が分かりづらいことから、許可の確実性が低い場合があります。申請者がポイントを押さえた書類を準備できないと、不許可になるリスクが高まります。特定活動の申請は、一般的に難易度が高いとされており、不許可になる可能性があることを理解したうえで慎重に対応することが重要です。専門家のサポートを受けることで許可の可能性を高められるため、相談を検討しましょう。
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この記事の監修者


大学卒業後、経営コンサルティング会社に入社し、企業の経営支援に携わる。その後、dodaを運営するパーソルキャリアにて、様々な方の転職支援に従事。その経験を活かし、株式会社JINにて、人材事業を開始。
告示特定活動46種類一覧
以下に、特定活動46種類を表形式でまとめました。
番号 | 説明 | 備考 |
---|---|---|
1号 | 外交官・領事官の家事使用人 | |
2号 | 特定活動2号の2:高度専門職が雇用する家事使用人 | 特定活動2号の1:高度専門職・経営者等が雇用する家事使用人報酬は月額20万円以上という規定あり |
3号 | 台湾日本関係協会の在日事務所職員とその家族 | |
4号 | 駐日パレスチナ総代表部の職員とその家族 | |
5号 | 特定活動5号の1:ワーキングホリデー 特定活動5号の2:台湾人のワーキングホリデー | 旅行資金を補う範囲での就労可能 |
6号 | 国際的な競技会に出場したことのあるアマチュアスポーツ選手 | 日本の公私の機関に月額25万円以上の報酬で雇用される必要がある |
7号 | 特定活動6号のアマチュアスポーツ選手に扶養されている配偶者や子 | |
8号 | 国際仲裁事件の代理を行う外国人弁護士 | |
9号 | インターンシップ | 報酬ありで実習を行う場合が対象 |
10号 | イギリス人ボランティア | 福祉関係に係る場合 |
12号 | 短期インターンシップを行う外国の大学生 | |
15号 | 国際文化交流を行う外国の大学生 | 地方公共団体が行う国際文化交流事業で、報酬を受けて行う講義が対象 |
16号 | インドネシア人看護研修生 | |
17号 | インドネシア人介護研修生 | |
18号 | 特定活動16号のインドネシア人看護研修生の家族 | |
19号 | 特定活動17号のインドネシア人介護研修生の家族 | |
20号 | フィリピン人看護研修生 | |
21号 | フィリピン人介護研修生(就労あり) | |
22号 | フィリピン人介護研修生(就労なし) | |
23号 | 特定活動20号のフィリピン人看護研修生の家族 | |
24号 | 特定活動21号のフィリピン人介護研修生の家族 | |
25号 | 日本の病院で入院・治療を受ける活動 | |
26号 | 特定活動25号で治療を受ける者の日常生活の世話をする活動 | |
27号 | ベトナム人看護研修生 | |
28号 | ベトナム人介護研修生(就労あり) | |
29号 | ベトナム人介護研修生(就労なし) | |
30号 | 特定活動27号のベトナム人看護研修生の家族 | |
31号 | 特定活動28号のベトナム人介護研修生の家族 | |
32号 | 技能実習が修了した外国人のオリンピック・パラリンピック関連施設設備等の建設業務 | 帰国困難者に対する措置あり |
33号 | 在留資格「高度専門職」で在留している外国人の配偶者の就労 | |
34号 | 高度専門職外国人もしくはその配偶者の親 | |
35号 | 技能実習が修了した外国人の造船業務 | 帰国困難者に対する措置あり |
36号 | 研究・教育者あるいは、研究・教育に関する経営者 | |
37号 | 情報処理技術者 | |
38号 | 特定活動36号、37号の活動で在留する者が扶養する配偶者や子 | |
39号 | 特定活動36号、37号で在留する者とその配偶者の親 | |
40号 | 観光・保養のために滞在する外国人 | 預貯金額について条件あり(一人あたり3,000万円以上) |
41号 | 特定活動40号で在留する外国人の家族 | |
42号 | 経済産業大臣が認定した製造業の受入事業における特定外国従業員 | |
43号 | 他の在留資格に当てはまらない日系4世 | |
44号 | 外国人起業家で「外国人起業活動管理支援計画」の認定を受けたもの | |
45号 | 特定活動44号の扶養を受ける配偶者または子 | |
46号 | 日本の4年制大学または大学院を卒業し、N1以上の日本語力がある外国人 | 一般的なサービス業務や製造業も可能 |
47号 | 特定活動46号で在留する外国人の扶養を受ける配偶者や子 | |
48号 | 東京オリンピックの関係者 | |
49号 | 特定活動48号で在留する外国人の扶養を受ける配偶者や子 |