
外国人雇用を本音で語る「リクアジの編集部」の上田です。本日のトピックはこちら!
・在留資格と手続きの確認方法
・雇用契約とビザ申請の流れ
・採用後の注意点
外国人労働者を雇用する際、入社前に確認すべきことや必要な手続きは意外と多く、戸惑う方も少なくありません。本記事では、在留資格の確認方法や雇用契約書の作成、ビザ申請のポイントなど、採用をスムーズに進めるための具体的な手順をわかりやすく解説します。
外国人を採用する前に確認すべきこと
外国人を採用する場合、就労ビザ(正式には在留資格)の取得が必須です。内定を出した後でも、ビザが取得できなければ採用者は入社することができません。採用する外国人が国内在住か海外在住かによって確認すべきポイントが異なることを理解し、それぞれに適切な対応を行うことが重要です。
就労可能な在留資格かを確認
採用を検討している外国人材について、まずは現在の在留資格で就労可能か確認しましょう。在留資格があるだけでは就労が可能とは限りません。就労が認められている在留資格でない場合、雇用することは違法となるため注意が必要です。

チェックポイント①
就労制限の有無欄 | 就労できる活動の範囲 | 代表的な在留資格 |
---|---|---|
就労制限なし | どんな仕事も可能 | 永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者 |
在留資格に基づく就労活動のみ可 | 在留資格の範囲内でのみ就労可能 | 技術・人文知識・国際業務、高度専門職、特定技能など |
指定書により指定された就労活動のみ可 | 採用後の業務内容が許可されている活動に該当するか、指定書で確認が必要 | 特定活動 |
就労不可 | 基本不可だが資格外活動許可があれば条件付き可能 | 留学、家族滞在など |
チェックポイント②:在留カード表面「有効期間」欄
- 在留カードには有効期限があるので、確認しましょう。
チェックポイント③: 裏面の「資格外活動許可欄」
「就労不可」と記載されている場合でも、裏側に「許可」があれば条件付きで雇用可能です。特に「留学」の在留資格では週28時間以内の就労が許可されていることがあります。
在留カードの偽造チェック
雇用時に在留カードで就労可否を確認する際、偽造されていないかも確認しましょう。偽造された在留カードで雇用した場合、企業が不法就労助長罪に問われる可能性があります。
確認方法として、出入国在留管理庁が提供する無料の「在留カード等読取アプリケーション」を活用しましょう。このアプリでは、在留カードや特別永住者証明書のICチップに記録された情報を読み取ることで、偽造や改ざんの有無を簡単に確認できます。
実際のニュース:偽造在留カードを使った疑い、ベトナム国籍の作業員を逮捕

入社前に外国人採用で必要な手続き
次に、入社前に必要な手続きについて説明します。必要な手続きは、外国人が海外在住か日本在住かなどの状況に応じて異なります。
雇用契約書の作成と締結
内定を通知した後は、労働契約の締結が必要となります。この際に用意する書類として「雇用契約書」または「労働条件通知書」があります。どちらを使用しても問題ありません。
これらの書類には大きく2つの目的があります。1つ目は、就労ビザ(在留資格)申請時の必要書類としての役割です。2つ目は、外国人労働者との間で起こり得るトラブルを未然に防ぐ役割です。
トラブルを防ぐためには、できるだけ求職者が理解できる言語で書類を作成することが重要です。また、契約には「停止条件」を盛り込むことをおすすめします。たとえば、「在留資格認定証明書が交付された場合に雇用契約が発効する」という内容を明記することで、在留資格が取得できなかった場合のリスクを回避できます。
日本国内在住の外国人を採用する場合
国内で働く外国人を中途採用する際、現在の在留資格が転職先の業務に適合しているか確認が必要です。前職と同じ職種であれば、通常は資格変更不要ですが、「就労資格証明書交付申請」を行い、自社での採用可否を入管に確認することをお勧めします。職種変更や新たな資格が必要な業務に就く場合は「在留資格変更許可申請」が必要です。
申請には、予定される業務内容に対応する就労ビザを選定し、それに応じた必要書類を準備します。
就労資格証明書交付申請の必要書類一覧
必要書類または項目 | 詳細 |
---|---|
申請書 | 指定の申請書を記入して提出 |
資格外活動許可書 | 資格外活動許可を受けている場合、提示が必要 |
在留カードまたは特別永住者証明書 | 在留カードや特別永住者証明書を提示 |
在留カードの写し | 申請人以外が申請する場合、在留カードの写しを携行します。 |
旅券または在留資格証明書 | 旅券または在留資格証明書を提示します。 |
理由書 | 在留資格証明書を提示できない場合、その理由を記載 |
身分を証する文書等 | 申請取次者が申請を行う場合に提示 |
海外在住の外国人を採用する場合
海外在住の外国人を日本で雇用する場合、「在留資格認定証明書交付」の申請が必要です。この手続きは内定後すぐに開始し、入社までに3~6か月かかることがあります。以下に手続きの流れをまとめます。
手続きの流れ
企業が「在留資格認定証明書交付申請書」を入国管理局に提出。
「在留資格認定証明書」が発行されたら海外の求職者に送付。
求職者が現地の日本大使館で就労ビザを申請(通常1~3か月)。
ビザを取得後、証明書発行から3か月以内に日本へ入国。
企業が準備するもの
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 日本での活動に応じた資料
求職者が準備するもの
- 卒業証明書または職務経歴書
- パスポートのコピー
留学生を正社員やアルバイトで採用する場合
留学生を新卒採用する際には、留学ビザから就労ビザへの変更手続きが必要です。この手続きは、通常、入社の1〜3ヶ月前から申請が可能で、留学生本人が地方入国管理局などで申請を行います。申請には、卒業見込証明書などの書類が必要であり、審査には約1〜2ヶ月を要します。手続き完了後、留学生は正式に就労可能な在留資格を取得し、働き始めることができます。雇用側としても、円滑な手続きのために必要なサポートを提供し、ビザ変更のスケジュールを計画的に進めることが求められます。


入社後に必要な手続き
入社後には、日本人と同様の手続きに加え、外国人特有の手続きも必要です。以下に、主な手続きをまとめました。
各種保険手続き
外国人を雇用する際は、日本人と同様の手続きに加え、特有の届出が必要です。特別永住者や在留資格「外交」「公用」の方を除き、雇用保険の被保険者となる場合は「雇用保険被保険者資格取得届」を、ならない場合は「外国人雇用状況届出書」を提出します。
さらに、中長期在留者を受け入れる際には健康保険と厚生年金への加入手続きが必要です。この際、「被保険者資格取得届」を日本年金機構へ5日以内に提出します。出入国在留管理庁への届出も求められる場合がありますが、「外国人雇用状況の届出」が済んでいれば不要です。これらの手続きは、企業が責任を持って行う必要があり、外国人労働者が安心して働ける体制を整える重要なステップです。
外国人が転職・退職した場合
外国人が転職・退職した際には、日本人と同じ手続きに加えて、14日以内に出入国在留管理局への届出が必要です。この届出は通常、本人が行います。具体的には「活動機関に関する届出」と「契約機関に関する届出」の2種類があり、ビザの種類に応じてどちらかを提出します。これを忘れるとビザの更新や次の雇用に影響が出る可能性があるため、必ず期限内に手続きを行いましょう。
外国人雇用における主な手続きまとめ
手続き名 | 手続きの内容 | 提出先 | 期限 |
---|---|---|---|
活動機関に関する届出 | 教授や技能実習など特定の在留資格保持者が届出を行う。 | 地方出入国在留管理局 | 入社日から14日以内 |
契約機関に関する届出 | 技術・人文知識・国際業務や特定技能などの在留資格保持者が届出を行う。 | 地方出入国在留管理局 | 入社日から14日以内 |
外国人雇用状況の届出 | 外国人雇用状況届出書を提出(雇用保険被保険者資格取得届の提出で代替可) | ハローワーク | 雇用翌月の末日まで |
雇用保険加入手続き | 雇用保険被保険者資格取得届を提出。 | ハローワーク | 雇用翌月の10日まで |
健康保険・厚生年金加入手続き | 被保険者資格取得届を提出。 | 日本年金機構 | 雇用日から5日以内 |
住居地の届出 | 外国人が住居を定めた場合や変更した場合に住居地届出書を提出。 | 市区町村の窓口 | 変更日から14日以内 |
在留期間更新許可申請 | 在留期間を超えて滞在する際に更新許可申請を提出。 | 地方出入国在留管理局 | 在留期間が満了する前 |
外国人雇用における注意点
最後に、外国人雇用する際の注意点を確認しておきましょう。
外国人社員のビザ情報の管理と業務従事の注意点
外国人社員の入社後には、ビザ情報を適切に把握し、管理することが重要です。在留カードのコピーを取得し、厳重に保管することで、必要な手続きが円滑に進むよう備えましょう。
また、外国人社員を業務に従事させる際には、現在の在留資格で認められた活動範囲内であることを確認する必要があります。たとえば、特定技能ビザ「外食業」で採用された社員を調理業務から接客業務に異動させることは可能ですが、単純作業であるレジ打ち専任に異動させることは認められません。このような場合、在留資格に反する業務に従事させると不法就労に該当し、企業が罰則を受ける可能性があります。
さらに、就労資格証明書の申請にあたっては、不備対応の時間を考慮し、余裕を持ったスケジュールを立てることが重要です。不明点がある場合は、出入国在留管理庁や専門家に相談することをおすすめします。
日本語レベルと特別手続きの確認
外国人を採用する際には、日本語力の確認と国籍ごとの特別手続きに注意が必要です。日本語力が不足していると、職場での円滑なコミュニケーションが難しくなり、能力を十分に発揮できない可能性があります。面接時の会話や取得資格を基に日本語レベルを判断し、自社で独自の日本語テストを導入することも効果的です。
また、国籍によっては雇用前に特別な手続きが必要な場合があります。たとえば、フィリピンでは海外雇用許可証(OEC)の取得が求められ、インドネシアでは海外就労カード(KTKLN)、ミャンマーではスマートカード(OWIC)の発行が必要です。各国の制度は変更される可能性があるため、最新情報を常に確認することが重要です。

まとめ
外国人労働者を採用する際には、在留資格の確認や雇用契約書の締結、必要手続きの準備が欠かせません。適切な準備をすることで、企業側のリスクを軽減し、外国人労働者が安心して働ける環境を提供できます。また、ビザや在留カードの管理、保険加入手続きも忘れず対応しましょう。専門家や支援機関を活用することでスムーズな採用を実現し、長期的な雇用関係を築く基盤を整えられます。外国人採用のポイントを押さえて、円滑な運用を目指しましょう。
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この記事の監修者

大学卒業後、経営コンサルティング会社に入社し、企業の経営支援に携わる。その後、dodaを運営するパーソルキャリアにて、様々な方の転職支援に従事。その経験を活かし、株式会社JINにて、人材事業を開始。