外国人雇用の注意点:不法就労助長罪とビザ不許可の実例を解説

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外国人雇用を本音で語る「リクアジの編集部」の上田です。本日のトピックはこちら!

・不法就労助長罪の基礎知識と具体的なケース
・不法就労助長罪が成り立つ条件とリスクを避ける方法
・ビザ不許可事例から学ぶ注意点と雇用主が徹底すべき対策

「不法就労や就労ビザの不許可事例が知りたい」「自社が不法就労助長罪に問われるリスクを避けたい」とお悩みではありませんか?本記事では、外国人労働者の雇用で注意すべき点や具体的な不許可事例を、長年現場経験を持つ筆者がわかりやすく解説。ぜひ最後までお読みください。

不法就労助長罪とは?基礎知識を知ろう

不法就労助長罪は、知らずに違反してしまうリスクもある重要な法律です。この罪に問われる条件や、企業が注意すべきポイントを押さえておくことが必要です。以下で詳しく解説します。

不法就労助長罪の定義

不法就労助長罪とは、出入国管理及び難民認定法(以下、入管法)第73条の2に基づく犯罪です。この法律は、日本国内での外国人の就労を適正に管理するためのもので、以下のような行為を犯罪として規定しています。

犯罪例
  • 不法滞在者に労働させること
  • 在留資格に反する活動を許容して労働させること
  • 不法就労を助長するための仲介や斡旋

不法就労助長罪は、非常に重い罰則が科される法律です。この法律の目的は、不法就労を抑制することで、適法に働く外国人労働者の雇用環境を守ることにあります。

「不法就労」と「不法就労助長罪」の違い

不法就労とは、「日本で働く資格がない外国人が、日本で仕事をすること」を指します。例えば、以下の場合が該当します。

不法就労の例
  • 在留資格がない状態で働く
  • 就労制限のある在留資格で許可されていない仕事をする
  • 規定された時間を超えて働く(留学生アルバイトなど)

「不法就労助長罪」とは、不法就労を行った外国人本人だけでなく、その就労を手助けした企業や雇用主が問われる犯罪です。この罪に該当する行為には、不法就労と知りながら雇用すること、適切な在留資格を確認せずに働かせることなどが含まれます。

不法就労助長罪の例
  • 不法就労を知りながら雇用する
  • 虚偽の情報を基に労働契約を結ぶ
  • 労働契約を通じて不法就労を支援する

確認不足や手続きミスなど、意図的でなくても過失がある場合、不法就労助長罪で処罰される可能性があります。

不法就労助長罪にあたる3つのケース

不法就労助長罪が適用されるケースは主に以下の3つです。

適用されるケース
  1. 不法滞在者を雇用した場合
  2. 在留資格外活動を許可した場合
  3. 不法就労を支援する行為

以下に詳しく見ていきましょう。

不法滞在者を雇用した場合

不法滞在者とは、密入国や在留期限切れなどで日本に合法的に滞在していない外国人を指します。これには、退去強制が決定している人や在留資格を更新せず期限が切れた人も含まれます。不法滞在者を働かせることは法律で禁じられており、雇用した場合は雇用主も処罰対象となるため、外国人を採用する際は在留資格の確認が重要です。

在留資格外活動を許可した場合

就労可能な在留資格でも、認められた活動や時間の範囲を超えると不法就労となります。例えば、「技術・人文知識・国際業務」の資格で客室清掃を行わせたり、留学生を週28時間以上働かせる場合が該当します。また、就労できない在留資格を持つ外国人を働かせると、不法就労助長罪となる可能性があります。在留資格ごとの制限を正確に把握し、適切な管理が求められます。

不法就労を支援する行為

不法就労を支援する行為とは、在留資格がない、または就労が許可されていない外国人を意図的に働かせることや、それを手助けする行為を指します。具体的には、在留資格を確認せずに採用する、資格外活動を知りながら黙認する、または虚偽の契約書を作成する行為などが該当します。外国人を雇用する際は、在留資格と活動内容を正確に確認することが必要です。

「在留資格等不正取得罪」との関連

「在留資格等不正取得罪」とは、外国人が虚偽情報で在留資格を取得する行為を指し、不法就労助長罪と密接に関連します。雇用主が虚偽の契約書を提出し、外国人に在留資格を取得させた後、不法就労させた場合も処罰対象です。2023年には、在留資格の不正取得に関与した雇用主の摘発件数が前年より20%増加しており、取り締まりが強化されています。

不法就労助長罪を防ぐために企業が取るべき対策と罰則内容

不法就労助長罪を防ぐには、在留カードの原本確認や就労資格の適切な管理が重要です。違反時には罰則が科されるため、慎重な対応が求められます。詳しく見ていきましょう。

不法就労を防ぐための確認ポイント

外国人労働者を採用する際、不法就労を防ぐための適切な確認手順は企業にとって必須です。不法就労が発覚した場合、企業の信頼が損なわれるだけでなく、罰則が科される可能性があります。不法就労を防ぐには、雇用時に以下の手順を徹底することが重要です。

確認ポイント
  • 在留カードの確認
    • 偽造が疑われる場合は、出入国在留管理庁や専門機関に相談してください。
  • 有効期限の確認
    • 初回の雇用契約時だけでなく、定期的にカードの期限を再確認する仕組みを作りましょう。
  • 外国人雇用状況の届け出
    ハローワークへの外国人雇用状況報告は法律で義務付けられています。

不法就労助長罪の罰則

企業が不法就労助長罪に該当すると、以下のような厳しい罰則が科される可能性があります。罰則内容としては、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が定められており、場合によってはその両方が科されることもあります。対象となるのは、不法就労を知りながら雇用した雇用主や、資格外活動を助長した者、不法就労を斡旋・仲介した者です。

近年では、留学生の超過労働を許容した事例が多く摘発されています。

不法就労が発覚した場合の対応策

万が一、不法就労が発覚した場合、迅速かつ適切な対応が求められます。以下の手順を迅速に実施してください。

STEP
事実確認

労働者の在留資格や雇用実態を調査します。不法就労が確認された場合は、雇用契約の見直しを行います。

STEP
関係機関への報告

違法行為が判明した場合、速やかに管轄の出入国在留管理庁に報告してください。

STEP
再発防止策の実施

内部監査を実施し、確認体制の不備がないか点検します。また、在留資格確認のルールを再整備し、スタッフへの周知を徹底します。

不法就労助長罪と就労ビザ不許可の事例

不法就労助長罪や就労ビザ不許可の事例は、企業にとって大きなリスクとなります。これらを防ぐための具体的な対策や注意点について、詳しく見ていきましょう。

解体業者によるカンボジア人の不法就労

神奈川県で解体業を営む社長(35歳)が、在留資格を持たないカンボジア人5人を不法に雇用していたとして逮捕されました。この雇用は、2022年4月から2023年9月にわたり行われ、「給料が安いから雇った」と供述しています。このケースでは、安価な労働力を求めた結果、入管難民法違反(不法就労助長)に該当しました。こうした行為は、適切な雇用管理体制が整っていない中小企業で発生しやすいとされています。

出典: 神奈川新聞 – kanaloco.jp

中国人留学生を風俗店で不法就労させたケース

東京都内で風俗店を経営する中国籍の女性(32歳)が、在留資格のない中国人留学生を違法に雇用し、性的サービスを提供させていたとして逮捕されました。この店は、中国人客を主な対象とし、約5億円もの売上を違法に上げていました。こうしたケースでは、就労資格の確認不足だけでなく、社会的道徳や法的責任が軽視されています。

出典: 朝日新聞

中国人作業員の不法就労を助長した事例

中国籍の永住者と定住者である2人が、不法残留中の中国人3人を建設現場で雇用し、入管難民法違反(不法就労助長)で逮捕されました。働いていた3人も同時に不法残留で摘発されています。この事例では、長期間にわたり偽造された在留資格が使われ、雇用主側の確認不足が原因となりました。

出典: Good Solution Visa Support

まとめ

これらの事例から、不法就労助長罪を防ぐためには、企業が在留カードの確認や労働条件の適正管理を徹底し、法令遵守に努めることが重要です。外国人労働者の雇用は企業にとって大きな可能性を秘めていますが、その一方で適切な対応が求められます。適法な雇用管理で、リスクを回避しながら信頼される企業運営を目指しましょう。

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この記事の監修者

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キャリアアドバイザー
秦 秀斗

大学卒業後、経営コンサルティング会社に入社し、企業の経営支援に携わる。その後、dodaを運営するパーソルキャリアにて、様々な方の転職支援に従事。その経験を活かし、株式会社JINにて、人材事業を開始。

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