製造業における特定技能完全ガイド|必要な情報を徹底解説

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外国人雇用を本音で語る「リクアジの編集部」の上田です。本日のトピックはこちら!

・特定技能「工業製品製造業」の概要と対象業務
・2024年改定で拡大した業務範囲
・受け入れ企業に必要な条件と支援体制

特定技能「工業製品製造業」は、日本の製造業を支える外国人材のための在留資格です。2024年の改定で業務範囲が拡大し、その可能性がさらに広がっています。その魅力と活用方法を解説します!

特定技能「工業製品製造業」とは?

特定技能「工業製品製造業」は、外国人材が日本の製造業で働くための在留資格です。この分野では、機械金属加工業や電気電子機器組立業、金属表面処理業など、製造業の重要な工程に関わる職種が対象です。

2024年には新たな業務区分の追加が閣議決定され、従事可能な業務が大幅に拡大しました。この改定により、さらに多くの企業が特定技能外国人を活用しやすくなっています。

日本の「工業製品製造業」分野が直面する課題

日本の製造業は、深刻な人手不足と若年層の就業減少に直面しています。過去20年間で若年就業者数は大幅に減少しており、代わりに高齢就業者数が増加しているのが現状です。一方で、34歳以下の若年就業者数は近年横ばい傾向にあり、減少幅が縮小しているものの、依然として若年層の参入は課題です。

2024年版 ものづくり白書から「リクアジ」が作成

特定技能「工業製品製造業」で従事可能な職種

特定技能「工業製品製造業」では、機械金属加工や電気電子機器組立て、金属表面処理など、多岐にわたる職種で外国人材が活躍できます。以下では、各職種の詳細や必要な技能について解説します。

機械金属加工業

機械金属加工業は、工業製品製造業分野の基盤を支える重要な業務区分です。この分野では、金属部品の切削、研磨、溶接、曲げ加工など、製品の精密な形状を作り出すための多様な技能が求められます。これらの工程は、自動車部品、産業機械、家電製品など、幅広い産業で必要不可欠です。

特定技能外国人は、CNC(コンピュータ数値制御)機械の操作や高精度な加工技術を習得しており、事前に評価試験に合格しているため、即戦力として期待できます。

機械金属加工業に含まれる技能
  • 鋳造 機械加工
  • ダイカスト
  • 金属プレス加工
  • 鉄工 仕上げ
  • 工場板金 機械検査
  • 機械保全 電気機器組立て
  • プラスチック成形
  • 塗装
  • 溶接
  • 工業包装
  • 金属熱処理
  • 強化プラスチック成形

新たに金属熱処理と強化プラスチック成形が追加されました。結果、より多様な技能を持つ外国人材の活躍が期待されています。

電気電子機器組立業

電気電子機器組立業は、電気や電子部品を使った製品の組み立てや検査を行う重要な作業です。家電製品や通信機器、産業用機械など、幅広い製品が対象となります。作業には、電子基板の配線や部品の取り付け、製品の動作確認など、正確で精密な技術が必要です。

電気電子機器組立業に含まれる技能
  • 機械加工
  • 仕上げ
  • 機械検査
  • 機械保全
  • 電気機器組立て
  • 電子機器組立て
  • プラスチック成形
  • プリント配線板製造
  • 工業包装
  • 強化プラスチック成形

金属表面処理業

金属表面処理業は、金属製品の耐久性や外観を向上させるための加工を行う分野です。塗装やメッキ、防錆処理、研磨加工などが主な作業に含まれます。これらの工程は、自動車部品や建築資材など、多岐にわたる製品の品質向上に貢献します。

金属表面処理業に含まれる技能
  • めっき
  • アルミニウム陽極酸化処理

特定技能外国人を雇用するための企業要件

継続して製造業を行っていること

受け入れ企業は、直近1年間に製造業(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業)に分類される事業を継続的に行い、製造品出荷額などが発生している必要があります。「製造品出荷額等」には、出荷額や加工賃、くず廃物の出荷額、その他収入が含まれ、事業の実績が明確に示されることが求められます。

事業者所有の原材料を使用している

もう一つの要件として売り上げを得た製品は、事業者が所有する原材料を使用して製造されている必要があります。次のケースも製造出荷に含まれます。

製造出荷に含まれるケース

1. 同一企業内の他事業所への引き渡し:本社工場で製造した部品を、組み立てを担当する別の工場に送るケース。この場合、外部に販売されていなくても、製造品として「出荷額」に含まれる扱いとなります。

2. 自家使用された製品:工場内で使用する機械の一部を自社で製造し、そのまま使用する場合がこれに該当します。

3. 委託販売に出した製品(未販売分や返品を除く):自社の製品を他社に預けて販売してもらう形態を指します。ただし、実際に販売されていない未販売分や返品された製品は、出荷額には含まれません。

特定技能協議会への加入

特定技能協議会への加入は、適正な受け入れを促進し、外国人材の支援体制を整える役割を担っています。加入することで、受け入れ企業は必要な情報提供や支援プログラムを活用でき、外国人材が安心して働ける環境を整えることが可能です。また、協議会への参加は、在留資格申請の前提条件でもあります。

企業は、加入手続きを通じて労務管理の適正化や法的基準の遵守を確保し、トラブルを未然に防ぐことができます。協議会は、特定技能制度を円滑に運用するための重要なパートナーです。

労働条件や支援計画の要件

特定技能外国人を受け入れる際には、適切な労働条件と支援計画を整備する必要があります。労働条件については、日本人労働者と同等以上の給与や福利厚生を提供することが求められます。また、支援計画では、生活や就労に関する具体的な支援内容を事前に策定する必要があります。具体的には、住居の確保、日常生活のサポート、日本語学習の機会提供が含まれます。この支援体制の整備方法には、自社で対応する方法と、登録支援機関に委託する方法の2つがあります。

自社で支援体制を構築する場合、過去2年間に外国人材を受け入れた実績が求められるほか、外国人材との円滑なコミュニケーションを図るために通訳を雇うなど、追加の準備が必要になることもあります

特定技能外国人の雇用は派遣が禁止され、直接雇用が必須です。受け入れ企業は責任を持って労務管理と支援を行い、法令を遵守する必要があります。

「紡織製品製造」「縫製」の追加要件について

「紡織製品製造」および「縫製」分野では、過去の技能実習制度において時間外労働の賃金不払いやその他の違反が多発していました。これを受け、特定技能制度では以下の追加要件が設けられています。

追加要件
  • 国際的な人権基準の遵守
  • 勤怠管理の電子化
  • パートナーシップ構築宣言の実施
  • 給与の月給制

これらの要件により、不正を防ぎ、適切な労働環境を整える仕組みが強化されています。

特定技能1号「製造業」の取得方法

特定技能1号「製造業」を取得するには、日本語能力試験(N4以上)と技能評価試験の合格が必要です。技能実習2号を修了している場合は、試験免除で移行可能です。以下に詳しく解説します。

日本語能力試験の合格

特定技能外国人として働くには、日本語能力試験(JLPT)N4以上もしくは国際交流基金日本語基礎テスト(A2レベル以上)に合格が必要です。この要件は、職場での基本的なコミュニケーションや安全管理をスムーズに行うために設けられています。

試験は国内外で実施されており、特定技能外国人を目指す多くの人が受験しています。企業にとっても、合格者を採用することで、職場でのトラブルを減らし、生産性向上が期待できます。

技能評価試験の合格

特定技能1号評価試験は、学科と実技の両方で構成されており、国内外の試験会場で実施されています。試験は業務区分ごとに異なり、従事を希望する区分の試験を受験する必要があります。

この試験は、分野ごとの実務に必要な知識や技術を評価し、即戦力としての能力を測定するものです。製造業では、機械操作や加工技術、品質管理などが評価対象となり、特定技能外国人が職場でスムーズに業務を遂行できるかが確認されます。

技能実習2号修了者からの移行条件

特定技能1号「製造業」を取得するもう一つのルートは、「製造業分野の技能実習2号から移行する」ことです。この場合、技能測定試験および日本語試験を受験することなく特定技能1号へ移行することができます。

しかし、下記の要件を満たしていることが前提になります。

移行に必要な主な要件
  1. 技能実習2号を良好に修了すること
  2. 技能実習の職種・作業内容と特定技能1号の職種が一致していること

製造業の特定技能評価試験の内容と受験方法

特定技能評価試験は、製造業で即戦力として活躍できる外国人材を評価する重要なプロセスです。以下に詳細とポイントをまとめました。

項目詳細
試験名称製造分野特定技能2号評価試験
試験方法コンピューター・ベースド・テスティング(CBT)
試験内容学科(安全性、知識)、実技(専門スキル)
問題数20問
合格基準60%以上
申し込み方法オンラインポータルで必要書類を提出
受験資格確認番号取得実務経験証明書の提出、事務局による確認後に番号を取得

実技試験の例題

問題例 : 電気電子機器組立て

以下の手順で部品を取り付ける際に適切でないものを選びなさい。

選択肢
A. 部品の極性を確認しながら配線する。
B. 余ったケーブルは束ねて固定する。
C. 部品の接続前に動作確認を行う。
D. ねじや部品が緩んでいても、そのまま次の工程に進む。

正解: D
解説: 緩んだ部品は事故の原因になるため、確実に固定してから作業を進める必要があります。

特定技能への対象に「縫製」が追加決定!

特定技能「縫製」は、2024年3月に新たな業務区分として追加され、9月から受け入れが開始された在留資格です。この資格では、衣料品や寝具、インテリア製品などの製造に関する業務が対象です。具体的な作業には、布の裁断や縫い合わせ、ボタン付け、刺繍、仕上げ作業、検品などが含まれます。

日本の縫製業は長年人手不足に直面しており、2023年の有効求人倍率は2.66倍と、他職種を大きく上回る水準にあります。以前から技能実習生を受け入れていましたが、特定技能では、即戦力となるスキルを持った働き手として外国人を雇用できる点が特徴です。

まとめ

特定技能「工業製品製造業」は、日本の製造業における人手不足を補い、外国人材の力を活用するための重要な制度です。近年の改定や業務区分の拡大により、より多様な業務での活躍が期待されています。適切な受け入れ体制と支援計画を整え、外国人材が安心して働ける環境を作ることで、企業と労働者の双方にとって有益な結果をもたらすことが期待できます。

製造業の特定技能に関するお問い合わせはこちら

株式会社JINが運営する「リクアジ」では、外国人材の採用やサポートに精通した経験豊富なスタッフが無料でご相談に応じています。どのような小さな疑問やお悩みでも、お気軽にお問い合わせください。採用のプロが丁寧にお答えし、企業様に最適なソリューションをご提案いたします。

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この記事の監修者

プロフィール画像
キャリアアドバイザー
秦 秀斗

大学卒業後、経営コンサルティング会社に入社し、企業の経営支援に携わる。その後、dodaを運営するパーソルキャリアにて、様々な方の転職支援に従事。その経験を活かし、株式会社JINにて、人材事業を開始。

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