
外国人雇用を本音で語る「リクアジの編集部」の上田です。本日のトピックはこちら!
・特定技能『介護』の受け入れが可能な施設一覧
・受け入れ施設が満たすべき要件と注意点
・受け入れ対象外の施設とその理由
本記事では、特定技能『介護』人材の受け入れについて、専門家が実務経験をもとに分かりやすく解説します。対象施設や準備の流れ、注意点を具体的に紹介。受け入れ体制を整えれば、外国人材とともに施設運営の新たな可能性が広がります。ぜひ最後までお読みください!

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特定技能介護の受け入れが可能な施設一覧
特定技能「介護」を受け入れ可能な施設は、厚生労働省によって定められています。具体的には、介護福祉士の受験資格要件において実務経験として認められる施設であり、業務内容に介助業務が含まれることが条件です。
カテゴリー | 施設・事業名 |
---|---|
児童福祉法関係の施設・事業 | 肢体不自由児施設、重症心身障害児施設の委託指定医療機関、児童発達支援、放課後等デイサービス、障害児入所施設など |
障害者総合支援法関係の施設・事業 | 短期入所、障害者支援施設、生活介護、就労移行支援、共同生活援助(グループホーム)、福祉ホームなど |
老人福祉法・介護保険法関連 | 老人デイサービスセンター、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、指定通所リハビリテーションなど |
生活保護法関連の施設 | 救護施設、更生施設 |
その他の社会福祉施設等 | 地域福祉センター、隣保館デイサービス事業、ハンセン病療養所、原爆被爆者養護ホームなど |
病院又は診療所 | 病院、診療所 |
以下で特定技能労働者を受け入れることができる施設の種類について、詳しく見ていきましょう。

児童福祉法関係の施設・事業
児童福祉法に基づく一部の福祉施設でも、特定技能介護の受け入れが可能です。特に以下の施設が対象です。
障害児入所施設
障害児入所施設は、身体障害、知的障害、発達障害などを持つ児童が入所し、日常生活支援や身体介護、学習支援を受ける施設です。児童の成長や発達をサポートするため、日常生活動作(ADL)の訓練や自立支援プログラムが中心業務となります。特定技能外国人材は、食事・入浴・排泄の介助、遊びや学習活動の見守りを担当し、児童一人ひとりの発達段階に合わせた支援が求められます。
児童発達支援センター
児童発達支援センターは、発達に課題を抱える未就学児童に対し、機能訓練や療育プログラムを提供する施設です。
言語訓練や身体機能の向上を目指す活動が行われ、特定技能外国人材は、児童の遊びを通じた訓練や基本的な生活動作の支援を担います。
障害者支援施設
障害者支援施設は、身体や知的障害を持つ成人が生活支援や自立訓練を受ける場です。特定技能外国人材は、食事や入浴の介助、レクリエーションの補助を通じて、入居者の社会参加と自立を支援します。施設は障害者総合支援法に基づき運営され、個々に合ったケアを提供しています。
就労継続支援B型事業所
就労継続支援B型事業所は、一般企業での就労が難しい障害者に働く機会を提供する施設です。特定技能外国人材は、利用者の軽作業のサポートや日常生活の補助を担当し、作業時の見守りや生活支援を行います。報酬は生産活動の収益から支払われるため、施設は生産性の向上を図りながら、利用者の自立支援にも注力しています。
これらの施設は、介護職員の不足が特に顕著で、特定技能人材が重要な役割を果たしています。
老人福祉法・介護保険法関係の施設・事業
特定技能「介護」の外国人材は、老人福祉法や介護保険法に基づく以下の施設で受け入れが可能です。
特別養護老人ホーム(特養)
特別養護老人ホーム(特養)は、要介護3以上の高齢者が入所し、日常生活全般にわたる介護を提供する施設です。主に社会福祉法人や地方自治体が運営し、食事や入浴、排泄の介助に加え、生活支援や心のケアも重視されています。高齢化が進む中、厚生労働省のデータによれば特養は全国に約8,000施設ありますが、多くの入所待機者が存在します。安定した運営のためにも、外国人材の受け入れと適切な支援体制の整備が求められています。
介護老人保健施設(老健)
介護老人保健施設(老健)は、高齢者が在宅復帰を目指してリハビリテーションを受ける施設です。理学療法士や作業療法士によるリハビリ指導の補助や、食事・入浴・排泄の介助が主な業務です。特定技能外国人材は、身体介護や生活支援を担当し、チームケアの一員として施設運営に貢献します。また、短期入所(ショートステイ)サービスを提供し、利用者と家族のニーズに柔軟に対応しています。
認知症高齢者グループホーム
認知症高齢者グループホームは、認知症の進行を遅らせるため、少人数(定員5〜9人)で共同生活を行う施設です。特定技能外国人材は、見守りや認知症高齢者とのコミュニケーションを通じ、安心感のある生活をサポートします2025年には認知症高齢者が約700万人に達すると予測され、需要が高まる一方、人材不足が課題となっています。
通所介護(デイサービス)
デイサービスは、要介護1~5の高齢者が日帰りで利用し、介護サービスや機能訓練、レクリエーションを受ける施設です。特定技能外国人材は、送迎補助や入浴・食事介助、機能訓練の補助を担当し、レクリエーション活動や利用者との会話を通じた心のケアにも貢献します。デイサービスは全国で約4万件あり、需要が年々増加する一方、介護職員の確保が追い付かず、人材不足が深刻です。特定技能人材は現場で即戦力として期待され、利用者に寄り添ったケアを提供するだけでなく、施設の雰囲気を活性化し、サービス向上にも寄与しています。

生活保護法関係の施設
生活保護法に基づき設置された以下の施設でも、受け入れが認められています。
救護施設
救護施設は、生活困窮者や身体・精神上の理由で生活が困難な方に対し、生活支援や自立支援を提供する施設です。特定技能外国人材は、食事、入浴、排泄など日常生活の介助を行い、利用者の健康的な生活をサポートします。また、生活リハビリや社会復帰支援の活動を補助し、利用者が自立した生活を取り戻せるよう支援します。
更生施設
更生施設は、生活保護受給者を対象に、自立を促進するための生活支援や介護を行う施設です。特定技能外国人材は、利用者の日常生活動作の支援や健康管理の補助を担当します。施設では、生活リズムの確立や社会参加を促すためのプログラムが実施されており、利用者が自立した生活を送るためのサポートが重視されています。
その他の社会福祉施設等
上記以外にも、社会福祉施設の中で特定技能人材が活躍できる場があります。
軽費老人ホーム(ケアハウス)
軽費老人ホームは、比較的自立した生活が可能な高齢者向けの施設で、食事提供や生活支援が中心です。
ケアハウスには、身体的に介護が必要となった場合にも対応できる介護型と、主に自立した生活をサポートする一般型があります。特定技能外国人材は、日常生活動作の支援や見守り、食事提供の補助などを担い、高齢者が安全かつ快適に過ごせる環境づくりに貢献します。
養護老人ホーム
養護老人ホームは、経済的な理由や家庭環境によって自宅での生活が困難な高齢者を対象とする施設です。身の回りの支援が中心となり、特定技能外国人材は、食事や入浴、掃除、洗濯といった日常生活支援を行います。
施設内では、高齢者が健康的で自立した生活を送れるように支援し、社会参加の促進や生活リハビリの一環として、軽作業やレクリエーション活動のサポートも行います。
病院または診療所
医療機関でも、介護職員が担う業務範囲内であれば、特定技能介護の人材を受け入れることが可能です。
療養病床
療養病床は、長期的な療養や介護が必要な患者が入院する病床で、主に医療機関に併設されています。特定技能外国人材は、患者の食事介助や入浴介助、体位変換などの日常的な介護業務を行います。また、看護師や医療スタッフと連携し、患者の生活支援を担います。
老人保健施設併設病院
老人保健施設(老健)に併設された病院では、医療と介護の両面から高齢者を支援します。特定技能外国人材は、リハビリ補助や身体介護、日常生活の支援を行い、在宅復帰を目指す患者のサポートを担当します。
病院と施設の機能が連携しているため、患者の回復過程に合わせたケアが提供され、外国人介護人材も重要な役割を果たしています。
特定技能介護の受け入れが対象外の施設
特定技能『介護』の受け入れが対象外となる施設も存在します。具体的にどのような施設が対象外なのか、詳しく見ていきましょう。
カテゴリ | 対象施設・事業 |
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児童福祉法関係 | 知的障害児施設、自閉症児施設、知的障害児通園施設、盲児施設、ろうあ児施設、難聴幼児通園施設、肢体不自由児施設、肢体不自由児通園施設、肢体不自由児療護施設、重症心身障害児施設、重症心身障害児(者)通園事業 |
障害者総合支援法関係 | 障害者デイサービス、児童デイサービス、ケアホーム、知的障害者援護施設(更生施設・授産施設など)、身体障害者援護施設(更生施設・療護施設など)、精神障害者社会復帰施設、居宅介護、重度訪問介護、移動支援事業など |
老人福祉法・介護保険法関係 | 指定訪問入浴介護、サービス付き高齢者向け住宅、第1号訪問事業、指定訪問介護、夜間対応型訪問介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護など |
その他の社会福祉施設等 | 原爆被爆者家庭奉仕員派遣事業、家政婦紹介所(家庭で介護業務を行う場合) |
出典:厚生労働省
訪問系介護サービス
訪問系介護サービスは、利用者の自宅を訪問し、身体介護や生活支援を行うサービスですが、特定技能「介護」の外国人材は対象外です。これは、訪問系サービスにおける業務が個人宅で行われるため、外国人材が一人で対応する際のコミュニケーションの難しさや緊急時の対応が懸念されるためです。
- 訪問介護(身体介護、生活援助)
- 訪問入浴介護
- 訪問看護
2024年3月22日の検討会で、特定技能も従事可能とする方針が了承され、緩和していくとされております。

住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームは、主に生活支援サービスを提供する高齢者向けの施設ですが、特定技能「介護」の受け入れ対象外となっています。住宅型は、施設内で提供されるサービスが「介護保険法に基づく介護サービス」とは異なるため、特定技能制度が適用されないのが理由です。
サービス付き高齢者向け住宅
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、高齢者が安心して暮らせる賃貸住宅であり、特定技能「介護」の受け入れは認められていません。主に「住まい」としての機能が強く、施設が提供するサービスが介護保険法に基づく「施設介護」とは異なるからです。

特定技能「介護」の業務範囲
任せられる業務内容
特定技能「介護」で受け入れた外国人介護人材は、以下の業務を任せることができます。
- 身体介護業務:入浴、排泄、食事の介助、着替え、移動のサポートなど
- 生活支援業務:居室の掃除や洗濯、買い物の同行など
- レクリエーション活動の支援:高齢者や障害者向けのレクリエーション活動の企画・運営や、活動中のサポートも業務
- 記録業務:介護記録の作成や、利用者の状態の報告などの基本的な記録業務など
任せられない業務内容
特定技能「介護」で受け入れた外国人材には、以下の業務を任せることはできません。
- 医療行為:医師や看護師が行うべき医療行為
- 訪問系介護業務:訪問介護や訪問看護など
- 施設運営・管理業務:介護事業所の管理者や施設長としての業務は、対象外
- 専門的な介護計画の策定:ケアプランの策定や、介護報酬請求に関わる業務
- 高度な日本語能力を要する業務:契約内容の説明や、法的な手続きを伴う業務、家族との重要な面談も含まれます。
このように、特定技能「介護」の対象業務は、基本的に日常の介護業務に限定されています。
介護職員の一員として施設の中で活躍することが前提となっており、専門的・法的な責任が伴う業務は対象外です。
まとめ
特定技能『介護』の受け入れには、施設の要件を満たし、適切な準備が必要です。本記事で紹介した施設一覧や注意点を参考に、外国人介護人材を迎える体制を整えましょう。特定技能人材の活用は、人材不足の解消だけでなく、施設運営の効率化やサービス向上にもつながります。一方で、対象外となる業務や施設もあるため、制度の正しい理解が重要です。受け入れを検討する際は、法令やガイドラインを遵守し、適切なサポートを提供する環境づくりを目指しましょう。
特定技能『介護』受け入れに関するお問い合わせ
特定技能『介護』の受け入れについてご不明な点やご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。施設の要件や準備の流れ、具体的なサポート内容について専門スタッフが丁寧にご案内いたします。貴社のニーズに合った解決策をご提案し、円滑な受け入れ体制の構築をサポートします。お問い合わせは、下記フォームまたはお電話にて承ります。
この記事の監修者

大学卒業後、経営コンサルティング会社に入社し、企業の経営支援に携わる。その後、dodaを運営するパーソルキャリアにて、様々な方の転職支援に従事。その経験を活かし、株式会社JINにて、人材事業を開始。