ネパール人材を採用するなら知っておきたい基礎知識と最新情報

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外国人雇用を本音で語る「リクアジの編集部」の上田です。本日のトピックはこちら!

・ネパール人労働者の特徴
・日本とネパールの関係性
・職場での共生と信頼関係の築き方

ヒマラヤ山脈に抱かれた神秘の国ネパールから、2022年には118,196名、2023年には145,587名の外国人労働者が来日しました。以前はインド料理店で見かける程度だったネパール人も、今では様々な場所で活躍しています。ネパールから見ると、日本は技術や教育、経済発展が進んだ憧れの国です。向上心を持って来日する彼らがさらに日本を好きになれるよう、受け入れる側として理解と環境づくりが大切です。

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ネパールの基本情報

まずはネパールの基本情報をまとめました。北にはチベット自治区、南はインドに接し、国土は北海道の約1.8倍の広さを持っています。エベレストを含むヒマラヤ山脈が有名な、ネパールの基礎データを含めた表です。

項目内容
国名ネパール(Nepal)
国土14.7万平方キロメートル(北海道の約1.8倍)
首都カトマンズ
人口3,054万7,580人(2022年、世界銀行)
民族パルバテ・ヒンドゥー、マガル、タルー、タマン、ネワール等
言語ネパール語、他少数民族言語
平均年齢24.63歳
宗教ヒンドゥー教徒(81.3%)、仏教徒(9.0%)、イスラム教徒(4.4%)他

ネパールの歴史と国旗の意味

ネパールは2008年まで「ネパール王国」として君主制を敷いていましたが、2001年に王宮内で銃乱射事件が発生し、国王夫妻と複数の王族が死亡。この事件を機に王国は終焉を迎え、連邦民主共和国として新たな歴史を歩み始めました。

ネパールの国旗は、世界で唯一、二つの三角形が繋がった独特な形を持ちます。この形は、ネパールを象徴するヒマラヤ山脈や、国民が信仰するヒンドゥー教と仏教を表しています。赤色は国花シャクナゲの色で「勇気」と「勝利」を、青色は「平和」を象徴。また、白抜きの月と太陽は、永続性と自然の調和を意味しています。この国旗には、ネパールの自然や文化、国民の精神が込められています。

2020年に正式国名を「ネパール」に変更した歴史があります。

昨年増加率3位!増え続けるネパール人の現状

令和5年10月末時点の「外国人雇用状況」によると、ネパールからの労働者の対前年増加率は23.2%と、インドネシア(56.0%増)、ミャンマー(49.9%増)に次いで第3位となりました。ネパールでは母国の賃金水準が低く、出稼ぎが一般的であるため、日本での高収入が大きな魅力となっています。また、近年増加率が横ばいとなっているベトナムに代わり、ネパールを含む他国の存在感が高まっています。

「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(厚生労働省)

ネパールの宗教

ネパールは宗教的に多様で、ヒンドゥー教徒が人口の81.3%を占める主流派です。仏教徒は9.0%で、採用において重要なポイントとなる場合があります。詳しく見ていきましょう。

イスラム教徒は4%ほど。その7割は南部平原「マデス」に住んでいます。インドからイスラム教徒が国境を越え、ネパールに定住している例もあります。

ヒンドゥー教

アジア人材情報メディアリクアジ日本の外国人労働者とのトラブル文化摩擦を避けるためには2つ目の画像

国民の8割がヒンドゥー教であることから、ネパールではヒンドゥー的な価値観が大事にされています。ヒンドゥー教徒は輪廻転生や業(カルマ)を信じ、ヨガや瞑想を行います。ヒンドゥー教には多種多様な神様がいるのですが、ネパールではシヴァ神を信仰する人が多いそうです。

また、カースト制度があるのもヒンドゥー教の特徴です。名字や出身地、職業などで出身カーストがわかってしまうケースもあります。結婚は基本的に同じカースト内で行い、違うカーストの人と同じテーブルで会食することは滅多にありません。左手は「不浄の手」とされているため、物を渡したり握手するときは必ず右手で行ってください。

ヒンドゥー教では牛は食べません。また、豚肉や魚を避けるカーストや民族もいます。料理に牛が含まれないか確認が重要です。

仏教

ブッダ生誕の地でありながら、ネパールの仏教徒は国民の1割にも満たない少数派です。ネパールで信仰されている仏教は、おもにネワール仏教・チベット仏教・上座部仏教など。ネワール仏教はネワール族が信仰している密教で、カースト制もあります。チベット仏教はチベットからの移民が信仰しています。上座部仏教は初期仏教に分類される、戒律の多い仏教です。

ネパール人の国民性と仕事観

とても親切で忍耐強く、年上を敬うネパールの人々。地震などの天災も多く、次々に襲い掛かる困難に打ち勝ってきたネパール人は、何があっても何度でも立ち上がる日本の国民性とも近いと言われています。

歌やダンスが好きな人が多く、陽気で明るい一面もあります。1人でいるよりは皆と一緒にいることを好み、喜びを分かち合ったり助け合ったり。問題が生じても、皆で協力し何とか解決に持っていきます。

多様性を尊重する価値観

ネパールは約130の民族集団からなる多民族国家で、異文化や宗教への寛容さが特徴です。出稼ぎ経験者も多く、他者を受け入れ認め合う文化を持つため、多国籍な環境でも共生しやすいと言えます。一方で、文化や信仰の強要には苦手意識があるため、相互尊重が重要です。助け合いや年長者を敬う価値観は、職場の多様性を促進し、イノベーションや組織活性化をもたらす可能性があります。理解と尊重が共生の鍵です。

ネパール人と日本人の時間感覚の違い

ネパール人を含む開発途上国では、時間や期限を守る意識が日本ほど強くありません。政治的な問題や交通事情、戦争・紛争などで計画が白紙になることが多く、その場で柔軟に対応する文化が根付いています。こうした背景から、時間に対しておおらかな「ネパリタイム」という言葉も存在します。採用や日常生活では、「日本では時間を守ることが重要」と説明し、理解を深めてもらうことが大切です。

視聴率80%!ネパール人が愛した「おしん」

1992年、ネパールで初めて放映された外国のテレビ番組は日本の「おしん」でした。どんな困難でもひたすら頑張る主人公の姿に自分を重ね合わせる人が多く、視聴率は80%を超えていたそうです。ネパールの人々もおしん同様、真面目に正直に働くことを美徳とし、どんな困難があっても何とかやり遂げようと頑張ります。

ネパール人と一緒に働くときの注意点

ネパール人は、相手を気遣い断ることが苦手で、つい能力以上の仕事を引き受けてしまうことがあります。そのため、仕事量を調整し、無理のない範囲で取り組めるようサポートすることが重要です。

また、ジェスチャーの違いに注意しましょう。ネパールはじめインド文化圏の国に多いのですが、「イエス」の時に首を傾げたり横に振るしぐさをします。日本では「ノー」の時のジェスチャーですが「イエス」のことなので間違えないようにしてください。

さらにネパールでは、食事は1日2食といわれています。朝食は9時か10時ごろ、夕食は19時から21時くらいの間にとるのが一般的です。昼食が全くないというわけではなく、15時ごろに軽食を少しとります。できれば、10時と15時に食事休憩を与えると良いでしょう。

食事や宗教への配慮が信頼の鍵

食事の内容にも気を付けましょう。ネパールには宗教的理由もあり菜食主義者が多いため、肉やエキスの入った食べ物に注意が必要です。肉食できたとしても、何の肉を食べることができるのか必ず聞いてください。食べられない肉を騙して食べさせてはいけません。

また、自分の国や宗教に誇りを持っているのでそれを傷つけないように。宗教やカーストについて問い詰めたり馬鹿にするのは慎みましょう。人前で叱らないよう気を配ることも大事です。

カースト制の理解

ネパールのカースト制度は、伝統的に職業や役割を規定してきた歴史的背景があります。現在は自由な職業選択が可能ですが、中には農民生まれの方が清掃業を嫌がる場合もあります。これは彼らの文化的背景によるものであり、決して悪いことではありません。採用企業としては、こうした背景を理解したうえで接し、適切な業務を提案しながら、働きやすい環境を整えることが大切です。相手の価値観を尊重する姿勢が、信頼関係を築く鍵となります。

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ネパール人の対日感情

日本の外務省はネパールを「伝統的な親日国」と位置付けています。以前は王室と皇室の親交があり、国王が東大に留学したこともあります。王室が消滅してしまった今でも、民間や政治の交流は続いており、対日感情はとても良く日本人に親近感を抱いています。

ネパールの人々は日本が仏教国だということを知っています。仏教を興したブッダがネパールのシャキャ族の皇子だったことから、仏教国日本とネパールとは深くつながっていると考えているのです。

また、日本のアニメが日常的にテレビで流れており、それを観て育った人も大勢います。最近ではSNSなどインターネットで日本の情報を集める若者も多く、日本語を学ぶ人も増加。多くのネパール人は、日本を「安全でテクノロジーが発達した、清潔で衛生的な国」、日本人を「能力が高く、礼儀正しい親切な人々」と考えているようです。

日本とネパールの関係

日本とネパールが国交を樹立したのは1956年のこと。しかしそれ以前から、日本とネパールの関係は良好でした。ネパールは2008年までは「ネパール王国」だったということもあり、日本の皇室とも親交がありました。

また、ネパールと日本の関係が始まったのは1899年のこと。 河口 慧海(かわぐち えかい)というお坊さんが、 日本人として初めてネパールに足を踏み入れました。滞在中に首相に招かれ、国造りについてアドバイスを求められたそうです。

1902年、ネパール政府は国の発展のため、初めて外国に留学生を派遣しました。その行先は西欧諸国ではなく、日本でした。明治天皇の存在や明治維新など、日本には学ぶ点がとても多いと判断したのです。8名の青年が来日し、様々な分野を学んでネパールの発展に大きく尽力しました。その時日本から持ち帰った藤・菊・栗・柿の種や苗木はネパールに根付き、今ではごく普通に見られる花と果物になったそうです。

1969年、日本はネパールの発展のためにODA(政府開発援助)による開発援助をスタートさせました。その実績は2022年10月現在、有償資金協力(低金利で資金貸し出し)1313億円、無償資金協力(返却の必要ない資金提供)2247億円、技術協力839億円です。主要インフラ整備や貧困削減事業、教育・医療など多岐にわたる分野で協力しています。

ひらめきくん

最後に、日本で働くネパール人の声をまとめました!

日本で働くネパール人の声

「ずっと憧れていた日本で働くのは誇らしいです」「せっかく来日できたので、できるだけ技術を身に着けたいです」「一日でも早く役に立つ存在になりたい」「ネパールが、どうやったら日本のような国になれるのか、考えながら仕事をしています」「頑張って働いて、少しでも多く家族にお金を送りたい」

まとめ

東京とカトマンズは直線距離で5,167㎞。日本から見たネパールは遠く、8,000m級の山々に囲まれた秘境です。しかしネパールの人々は日本をよく知っていて、とても身近に感じてくれています。勤勉なネパールの人々が日本で安心して働くことができるよう、私たちもネパールについて理解を深め、注意すべきポイントを押さえましょう。

【参考資料】
厚生労働省:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(令和5年 10 月末時点)
厚生労働省:「外国人雇用状況」の届出状況【概要版】(令和5年 10 月末時点)
外務省:ネパール基礎データ
外務省:最近のネパール情勢と日ネパール関係

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この記事の監修者

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キャリアアドバイザー
秦 秀斗

大学卒業後、経営コンサルティング会社に入社し、企業の経営支援に携わる。その後、dodaを運営するパーソルキャリアにて、様々な方の転職支援に従事。その経験を活かし、株式会社JINにて、人材事業を開始。

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