
外国人雇用を本音で語る「リクアジの編集部」の上田です。本日のトピックはこちら!
・特定技能2号《農業》の概要と要件
・試験や申請手続きの具体的な流れ
・特定技能2号で可能な仕事と雇用条件
「特定技能2号《農業》」は、日本で長期的に働き、家族と生活を共にしながらキャリアを築くチャンスです。この記事では、特定技能2号の取得要件や試験内容、申請方法までをわかりやすく解説します。続きを読んで、未来を切り拓くヒントを手に入れましょう!

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特定技能2号とは
特定技能2号は、特定技能1号よりも熟練した技能と実務経験を持つ外国人材が得られる在留資格です。この資格を取得した外国人は、さらに高度な業務に従事できるようになります。
農業分野では、「耕種農業全般(栽培管理や農産物の集出荷・選別等)」および「当該業務に関する管理業務」が対象とされています。その他、以下のような共通の特徴があります。
- 在留期間の更新に上限がない
- 家族帯同が可能
- 永住権取得の要件を満たせる可能性がある
- 長期滞在が可能になり、キャリア計画を立てやすくなる

農業分野が追加された背景

令和5年6月の閣議決定により、農業分野が特定技能2号の対象に追加されました。それまで特定技能2号は建設分野と造船・舶用工業分野のみが対象でしたが、深刻な人手不足を受け、農業を含む9つの分野が新たに加わりました。
日本の農業は後継者不足と高齢化が深刻で、農業従事者の68%が65歳以上、49歳以下はわずか11%にとどまります。過去10年間で農業労働力は約100万人減少し、平均年齢も67歳を超える状況です。こうした課題に対応するため、農業分野が追加されました。
農業分野で特定技能2号を取得する条件
特定技能2号「農業」の在留資格を申請するには、いくつかの要件を満たす必要があります。まず、2号農業技能測定試験に合格することが必須です。この試験は「耕種」と「畜産」に分かれており、受験には現場での経験を証明する書類が求められます。
また、申請には以下のいずれかの経験が必要です。
①2号農業技能測定試験の合格
- 「耕種」「畜産」のどちらかを選択して受験。
- 現場経験を証明する書類が必要。
②以下のいずれかの経験
- 2年以上の作業工程管理や作業員指導の経験(技能実習での管理経験は含まない)。
- 3年以上の現場での実務経験(技能実習での経験を含む)。
※技能実習からの移行時、特定技能1号は試験免除の場合がありますが、特定技能2号は必ず試験に合格する必要があります。また、経験分野(耕種・畜産)が試験と一致していることが条件です。

農業分野の特定技能2号で出来る仕事
特定技能2号の農業分野では、以下の業務に従事することができます。詳しく見ていきましょう。

耕種農業区分
耕種農業区分では、栽培管理や農産物の集出荷、選別などの農作業に加え、管理業務を行います。以下に、主な業務内容と関連業務を簡単に説明します。
・土壌づくり:作物に適した土壌の準備
・施肥作業:適切な肥料を使用した栄養補給
・種子・苗木の取扱い:種まきや苗の育成
・資材・装置の管理:農業用器具の操作と保守
・安全衛生業務:作業環境の安全確保
・管理業務:農場の運営、品質管理、人材育成など
また関連業務には、加工・製造、運搬・販売、冬季の除雪作業などが含まれます。ただし、関連業務だけを任せることは適切ではなく、日本人が通常行う作業と同じ基準で業務配分を行うことが求められます。
畜産農業区分
畜産農業区分では、飼養管理や畜産物の集出荷、選別などの農作業、および管理業務が含まれます。これらは畜産業務全般を支える重要な役割を担います。
- 器具の取扱い:各畜種に応じた器具の操作やメンテナンス。
- 個体管理:家畜の観察や健康管理。
- 飼養管理:家畜の餌やりや環境整備。
- 生産物の取扱い:乳製品や肉類の処理・梱包。
- 安全衛生業務:作業環境の衛生管理。
- 管理業務:農場運営、品質管理、人材育成など
こちらも同様に関連業務には、副産物の処理・加工、運搬・販売が含まれます。ただし、外国人材に関連業務だけを任せることは、本来の受け入れ目的に反し、適切な運営を損なう可能性があります。業務バランスを考慮し、主業務での技術習得を促進しつつ、成長できる環境を整えることが重要です。
特定技能2号「農業」の在留資格申請方法
特定技能2号「農業」の在留資格を取得するためには、一定の条件を満たし、適切な手続きを行う必要があります。以下に、その基本的な申請の流れと具体的な方法を説明します。
特定技能2号「農業」の申請の流れ
特定技能2号の在留資格を取得するには、以下の3つのステップが基本となります。書類が受理され、審査が完了すると在留資格が取得できます。
特定技能1号として2年以上の工程管理や作業指導の実務経験、または3年以上の作業経験を積む必要があります。
農業分野における高度な知識やスキルを問う試験です。受験時には①の経験を証明する書類が必要です。
必要書類を準備し、最寄りの出入国在留管理局・支局(空港支局を除く)に提出します。
特定技能2号「農業」の申請方法
特定技能2号「農業」を申請するには、事前に必要書類を準備することが重要です。また、受け入れ機関が適切な体制を整えていることを証明する資料も含まれます。これらの書類を揃えた後、最寄りの出入国在留管理局に提出します。
・雇用契約書
・2号農業技能測定試験の合格証明書
・日本語能力試験の合格証明書
・受け入れ機関の書類(受け入れ体制が適切であることを証明する資料)も準備します。
審査が完了し、条件を満たしていれば特定技能2号の在留資格が付与されます。この資格を取得することで、申請者は農業分野で管理的な業務や高度な技術を伴う業務を担うことが可能となります。

農業分野の特定技能2号測定試験の流れ
試験の申込み手続きは以下の手順で進めます。各ステップをわかりやすく解説します。
農業技能測定試験の申し込みには、「実務経験証明書」(様式第1号)と「誓約書」(様式第2号)が必要です。書類は、公式サイトからダウンロードできます。書類は、全国農業会議所の提出フォームから必要情報と共に送信してください。
提出された書類は全国農業会議所で確認されます。内容に問題がなければ、約7~10日後にアプリケーションナンバーがメールで送付されます。
試験の申し込みは、アプリケーションナンバーを使いプロメトリックの試験予約サイトで行います。まず、初回利用の場合は公式サイトでプロメトリックIDを作成し、試験予約や結果確認に備えます。その後、顔写真をアップロードし、クレジットカードやPayPayなどで受験料15,000円を支払うと予約が完了します。
予約が完了すると、試験日時や会場の詳細が確認できる画面が表示されます。ログイン後のマイページからも予約内容を確認できます。
試験範囲と合格基準
2024年9月の試験結果では、受験者数429人中155人が合格しました。試験区分別の合格率は以下の通りです。耕種農業全般の合格率は約31%、畜産農業全般では約57%と、試験内容によって大きく異なります。
試験区分 | 試験範囲(学科) | 試験範囲(実技) | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|---|
耕種農業全般 | 耕種農業一般、栽培作物の品種・特徴、栽培環境(施設・設備等)、栽培方法・管理 | 肥料・農薬の取り扱い、種子の取り扱い、環境管理、資材・機械の取り扱い、栽培作業 | 345人 | 107人 | 約31% |
畜産農業全般 | 肥料・農薬の取り扱い、種子の取り扱い、環境管理、資材・機械の取り扱い、病害虫 | 個体の取り扱い、観察、飼養管理、器具の取り扱い、繁殖・生理 | 84人 | 48人 | 約57% |
これらの内容にはマネジメント能力も含まれ、イラストや写真を用いた判断が求められるなど、実務的なスキルが重要視されます。試験準備にあたっては、試験要領をよく確認し、的確に対策を行うことが重要です。
試験結果の確認方法
試験はCBT方式で実施され、終了後すぐに画面で結果を確認できます。試験後5営業日以内にマイページで「結果通知書」を確認可能で、特定技能2号の申請に必要な「合格証明書」として利用できますので、印刷を忘れずに。試験結果データは全国農業会議所で5年間保存され、専用サイトからいつでも取得可能です。
特定技能2号「農業」の注意点

特定技能2号「農業」を取得し、働く上で知っておくべき注意点とポイントを理解することは非常に重要です。資格取得に必要な条件を事前に確認し、準備を進めることが成功のカギとなります。
詳しく見ていきましょう。
日本人労働者と同等の雇用条件
特定技能2号「農業」の雇用条件は、外国人労働者の権利を保護するために厳格に設定されています。
まず、労働時間や報酬は日本人労働者と同等以上である必要があります。また、社会保険への加入も必須です。健康保険や厚生年金への加入により、労働者は病気や怪我、老後の生活に備えることができます。
さらに、雇用契約書の内容を明確にすることも重要で、賃金や労働時間、休日などの詳細を記載することで、トラブルを未然に防ぐことができます。これらの雇用条件は、外国人労働者が安心して働くための基盤となるため、受け入れ機関が遵守する必要があります。

家族帯同が可能
特定技能2号では、家族帯同が認められている点が大きな特徴です。この資格を持つ外国人労働者は、配偶者や未成年の子どもを日本に呼び寄せ、一緒に生活することができます。
家族帯同が可能であることは、労働者の生活基盤を安定させる重要な要素となります。また、帯同する家族の在留資格手続きも必要となるため、計画的な準備が欠かせません。家族が一緒に生活できることで、外国人労働者の日本での生活の質が向上し、長期的な就労を支える要因となります。
同じ業種内で転職が可能
特定技能2号では、一定の条件を満たせば転職が認められています。これは特定技能1号と同様ですが、転職先が同じ業種である必要があります。
例えば、農業分野での資格を持つ場合は、農業関連の事業所に転職することが条件となります。また、転職にあたっては、現在の雇用主との契約状況や受け入れ機関の同意が必要です。さらに、転職後も在留資格の更新手続きが必要であり、新たな雇用先が特定技能の受け入れ基準を満たしているかが確認されます。

まとめ
特定技能2号《農業》は、日本の農業分野でのキャリア構築を目指す外国人材にとって大きなチャンスです。本記事で解説した取得条件や試験内容、申請手続きのポイントを押さえることで、スムーズに在留資格を取得し、長期的な働き方を実現できるでしょう。重要なのは、受け入れ企業と労働者が協力し合い、公平で安定した環境を築くことです。この資格を通じて、日本の農業と外国人労働者の新しい未来を共に創造しましょう!
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この記事の監修者

大学卒業後、経営コンサルティング会社に入社し、企業の経営支援に携わる。その後、dodaを運営するパーソルキャリアにて、様々な方の転職支援に従事。その経験を活かし、株式会社JINにて、人材事業を開始。