
外国人雇用を本音で語る「リクアジの編集部」の上田です。本日のトピックはこちら!
・ブラジル人就労の最新動向
・ブラジル文化理解の重要性
・日本とブラジルの関係性について
日本に住んでいるブラジル人は2024年6月の時点で212,325人。中国・ベトナム・韓国・フィリピンに次いで人口が多く、コミュニティもいくつか存在しています。その多くは永住・定住資格を持つ日系2世3世のブラジル人ですが、今後は日系4世や日系以外のブラジル人が特定技能資格を取得し、少子高齢化が続く日本を支える労働力となることが期待されています。

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ブラジルの基本情報
南米最大の国、ブラジル。アマゾン熱帯雨林やサッカー、リオのカーニバルなどが有名です。国土は世界第5位の広さで日本の22.5倍、人口は日本の1.7倍ほど。世界で最も日系人が多く、その数は約270万人といわれています。

項目 | 内容 |
---|---|
国名 | ブラジル連邦共和国(Federative Republic of Brazil) |
国土 | 851.2万平方キロメートル |
国旗 | 緑は森林、黄は鉱物、青は空、星は州を表している。中央の文字は「秩序と進歩」という意味 |
首都 | ブラジリア |
人口 | 約2億1,642万人(2023年、世銀) |
民族 | 欧州系(約44%)、アフリカ系(約10%)、東洋系(約0.4%)、混血(約45%)、先住民(約0.6%)(ブラジル地理統計院、2022年) |
言語 | ポルトガル語 |
宗教 | カトリック約65%、プロテスタント約22%、無宗教8%(ブラジル地理統計院、2010年) |
1人あたりGDP | 10,044米ドル(2023年、世銀) |
ブラジル人材の特徴
日系2世や3世のブラジル人は、その多くが製造業や建設業、食品加工業などに従事しています。ブラジルの日系人社会で暮らしていたため、来日してもカルチャーショックが少なく、日本語の習得も早いという特徴があります。
日系3世までのブラジル人は日本の永住・定住資格を得やすく、特別な在留資格が無くても来日して仕事をすることが可能。しかし日系4世からは、技能実習生など何らかの在留資格が必要です。
現在、技能実習生として来日するブラジル人は数える程度で、2024年6月のデータでは技能実習4名、特定技能14名でした。また、「技術・人文知識・国際業務」の資格を持っているのは現在561名で、日本で働く外国人の中ではかなりの少数派という状況です。しかし今後は、日系4世や日系以外のブラジル人が技能実習生などの資格を取得したり、IT産業を中心に高度な技術を持つ人材が増加することが期待されています。
出入国在留管理庁の2024年6月のデータによれば、日本に在留しているブラジル人の約96%が永住者・定住者・日本人配偶者等のビザを持っており、長期で滞在している人が多いことがわかります。

日系2世・3世とは?
日系2世や3世のブラジル人とは、かつて日本からブラジルへ移住した人々の子どもや孫の世代を指します。1908年以降、多くの日本人がブラジルへ移り住み、現在は世界最大規模の日系コミュニティが形成されました。彼らはブラジルの文化やポルトガル語に親しむ一方、日本文化も受け継いでいるため、二つの文化に触れながら育っています。
こうした背景から、日系2世や3世のブラジル人は、日本とブラジルをつなぐ架け橋の役割を担い、両国の交流や経済活動にも大きく貢献している存在といえます。
ブラジルの社会
ヨーロッパ系、アフリカ系、アジア系、先住民族など多種多様な民族が共生しているブラジル社会。南米で最も経済発展した国で、経済規模は世界11位の新興国です。その一方、貧富の差など経済格差が大きいこともあり、治安が悪く政情も安定しません。

ブラジルでは2020年頃まで生産年齢人口の比率が高い人口ボーナス期でした。現在は生産年齢よりも老齢者や子どもの割合が高くなる人口オーナス期に突入しましたが、しばらくは若者が多く活気のある社会が続くと考えられています。
歴史
自然豊かなブラジルでは、古来から様々な部族が暮らしていました。ところが1500年にポルトガル人がブラジルを「発見」し植民地化。先住民族はポルトガル人に支配され数が減り、また西洋から入ってきた病気に罹り壊滅状態に陥りました。ポルトガル人はアフリカから奴隷を連れてきて、砂糖やコーヒーなどのプランテーション農業を開始。奴隷制度は1888年まで続きました。
1808年、フランス軍に攻められたポルトガルの王室がブラジルに逃避し「ポルトガル・ブラジル・アルガルヴェ連合王国」を建国。1822年にポルトガルから独立し「ブラジル帝国」となりましたが、1889年にクーデターが起き共和政へ移行。コーヒー利権者による支配や軍事独裁政治などの混乱を経て、現在の共和国になりました。
宗教
先住民族たちはそれぞれ土着信仰を持っていましたが、民族の消滅とともに消えてしまいました。ポルトガルの植民地となったことでキリスト教カトリック派が持ち込まれ、世界最大のカトリック教国へと成長。
現在は多様な宗教や価値観が認められるようになり、カトリック教徒は国民の7割弱にまで減少しました。キリスト教の別の教派であるプロテスタントや、無宗教も増えつつあります。
ブラジルの国民性と仕事観

明るく陽気、おしゃべり好きで賑やかな人が多いブラジル。歌ったり踊ったり、カラフルな服を着たり、時間に縛られずにゆったり過ごすことが大好きです。家族が何よりも大切で、問題が発生したら全力で家族を守ろうとします。
仕事をするのは家族のため、というブラジル人が多く、より良い条件の仕事があれば転職を考えます。日系人は家族のために「デカセギ(出稼ぎ)」で来日しました。どんな仕事でも辛抱強く頑張り、一円でも多くブラジルに送金します。
その一方で、専門を極めるブラジル人も数多く存在します。「仕事の成功は人生の成功」と考え、努力を惜しみません。
ブラジル人と一緒に働くときの注意点
現在日本で働くブラジル人の殆どは日系人です。日本人と同じ顔だったり日本の名前を持っていたりするので、日本人と全く同じだと考えてしまいがち。しかし当然ながら、日本とは全く違うブラジルの価値観を持っています。
ブラジルの人々と一緒に働くとき、どんな点に注意すれば良いのでしょうか。
職場で注意すること
日系人であっても、日本語が流暢とは限りません。職務内容はわかりやすく簡単な言葉でゆっくり説明するようにしてください。
ブラジルの人々は上司や同僚と仲良く和やかに仕事をしたいと考えています。笑顔を心がけたり、休み時間には一緒にお茶を飲むなど話ができる場を設けましょう。

生活で注意すること
ブラジルでは一般的に、夕食よりも昼食が重要です。時間をかけて豪華な昼食をとる文化なので、日本の簡単なお昼ご飯にビックリするかも知れません。
日本では昼休みが短く、ゆっくり食事する時間は取れないことなど説明したほうが良いでしょう。
日本とブラジルの関係
日本とブラジルとの関係は1895年に遡ります。「日ブラジル修好通商航海条約」が締結され、正式に国交を樹立。第二次世界大戦時に国交が一時的に断絶しましたが、その後復活し、現在に至るまで友好な関係が続いています。
日本とブラジルは現在、価値観を同じくする「戦略的なグローバル・パートナーシップ」として結びついています。外交を樹立して130周年となる2025年は「日本ブラジル友好交流年」であり、文化・観光・スポーツなどで交流を促進する事業が開催されることになっています。
ブラジルの日系人
ブラジルには現在、270万人の日系人が暮らしています。海外の日系人数は推定500万人ですが、その半数以上をブラジルが占めるという状態です。
ブラジルが日本人移民718名を受け入れたのは1908年のこと。その後も数多くの日本人がブラジルに向けて旅立ち、大変な苦労をしてブラジル社会に溶け込みました。
政府開発援助(ODA)
日本政府はブラジルに、2023年までの累計で「有償資金協力(低金利の資金貸付)3,312.94億円」「無償資金協力56.72億円」「技術協力1,258.46億円」を支援しています。
ブラジルの経済発展や社会インフラ整備、教育や医療など多岐にわたる分野に協力しました。現在では特に気候変動対策や環境保全に力を入れ、環境に配慮した都市づくりを貢献しています。
対日感情
ブラジル人は日本人に対して良いイメージを持っています。日本政府がブラジルで実施した対日世論調査では、78%が「日本とブラジルの関係は良好」と考え、84%が「今後も日本はブラジルにとって重要性が高まる」と考えていることが明らかとなりました。
対日感情の良さは、ブラジルに住む日系人の地道な努力によって培われました。ブラジルの8割以上の人々が「日系人はブラジル社会に役立っている」と評価しています。日系人に対するイメージは「勤勉」「礼儀正しい」「正直で約束を守る」などポジティブなもの。サンパウロ大学の15%が日系人といわれ、政治家や裁判官、ジャーナリストや芸能分野など様々な分野で日系人が活躍しています。
まとめ
世界最大の日系人コミュニティが存在するブラジル。日本のアニメや柔道が人気で、日本を身近に感じる人々が多い国です。日本から見ると地球の裏側に位置するブラジルですが、経済的にも文化的にも密接な交流が130年も続いています。日本には現在、日系2世・3世のブラジル人が数多く住んでいますが、今後は日系4世の若い世代や、日系以外のブラジル人が労働者として来日する見込みです。ブラジルの文化や歴史を理解することは、共に楽しく仕事ができる環境づくりの一助となるでしょう。
【参考資料】
出入国管理庁:令和6年6月末現在における在留外国人数について、詳細資料
外務省:ブラジル連邦共和国(Federative Republic of Brazil)基礎データ
在ブラジル日本大使館:日ブラジル関係概況、日本ブラジル友好交流年
外務省:海外日系人数推計 令和 5 年(2023 年)10 月 1 日現在
外務省:対ブラジル連邦共和国 事業展開計画
外務省:ブラジルにおける対日世論調査

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大学卒業後、経営コンサルティング会社に入社し、企業の経営支援に携わる。その後、dodaを運営するパーソルキャリアにて、様々な方の転職支援に従事。その経験を活かし、株式会社JINにて、人材事業を開始。