
外国人技能実習計画とは?
外国人技能実習計画は、日本の企業が海外から実習生を受け入れる際に必要となる制度です。企業は実習生一人ひとりに対応した「実習計画」を国に提出し、認定を受けなければなりません。実習計画どおりに研修や作業が行われ、労働法令や安全管理が遵守されているかどうかが厳しく審査されます。

今治造船で起きた取り消しの経緯
造船大手の今治造船(愛媛県今治市)は、外国人技能実習のために提出していた計画2,134件が一斉に取り消されました。これは1社としては過去最多となる数です。
取り消しの理由は労働安全衛生法違反で罰金刑を受けたことであり、具体的にはクレーンの定期自主検査を行っていなかったことが発覚し、法令違反が確定したためとされています。
取り消しによる影響と背景
今回の処分により、今治造船は今後5年間、外国人技能実習生の受け入れや、2027年までに始まる育成就労制度による外国人労働者の活用ができなくなります。
人手不足が深刻化している造船業界にとって、外国人技能実習生の存在は貴重な労働力です。大手企業での大規模な取り消しが、同業他社や関連業界にも影響を及ぼす可能性があります。
技能実習計画取り消しの実情
技能実習法では、実習計画が適切に実施されなかったり、出入国や労働に関する法律違反があったりした場合に、計画の認定を取り消す権限が国に与えられています。
2018年度以降、取り消された実習計画は累計で9000件を超えており、三菱自動車やパナソニックなどの大手企業もかつて処分を受けました。こうした事例が増える背景には、企業が法令遵守や安全管理の徹底を怠るケースがあることが指摘されています。
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今後の課題と企業の対応
外国人技能実習制度は、特に人手不足に悩む業界にとって重要な仕組みです。しかし、受け入れ企業が法令を順守しないと、厳しい処分を受けるリスクがあります。
企業は安全管理体制を強化し、定期点検や労働環境の改善などを徹底する必要があります。今後は、実習生や外国人労働者が安心して働ける環境づくりが、業界全体の課題となるでしょう。