
外国人雇用を本音で語る「リクアジの編集部」の上田です。
本日のトピックはこちら!
この記事を読むことで、次の3つのポイントが得られます。
・特定技能制度の概要と目的
・特定技能1号と2号の違い
・企業が特定技能を活用するための手続きとメリット
本記事では、「特定技能とは何か?」について、初心者にもわかりやすく解説します。特定技能1号と2号の違いや技能実習制度との違いも交えながら、日本企業がこの制度を利用するメリットや手続きのポイントについても説明します。

外国人採用を検討するなら必読!外国人労働者にかかる採用費用の基礎から最新情報までを網羅した解説資料を無料でお届け!費用項目や削減のポイントを5分で読める内容にまとめており、採用計画をスムーズに進めるための必読資料です。
特定技能とは?その目的と背景を解説
特定技能とは、日本の人手不足を補うために、一定の技能を持つ外国人を受け入れるための在留資格です。特定技能は「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類に分かれ、それぞれ異なる条件や対象分野があります。特定技能制度を利用することで、外国人が日本で働くことが可能となり、日本の労働市場で即戦力として期待されます。
特定技能は指定された職種でのみ就労。
1号は16分野、2号は11分野。
特定技能1号は最大5年間の在留が可能。特定技能2号は長期滞在が可能。
同じ業種内での転職は認められるが、他の業種への転職は原則不可。
特定技能制度の概要
特定技能制度は、2019年に日本で導入された新しい在留資格で、少子高齢化による労働力不足を解消するために作られました。特に介護、建設、飲食、農業など人手不足が深刻な分野で、一定の技能を持つ外国人が働けるようになっています。また、技能実習制度とは異なり、特定技能は即戦力となる人材を受け入れるための仕組みです。

特定技能1号と特定技能2号の違いをわかりやすく解説
特定技能には「特定技能1号」と「特定技能2号」があります。それぞれの違いを詳しく見ていきましょう。
項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
---|---|---|
対象職種 | 16分野(介護、建設、飲食、農業など) | 11分野(製造業、自動車整備など) |
在留期間 | 最長5年間 | 制限なし |
必要な技能レベル | 基本的な技能 | 高度な専門技術 |
家族の帯同 | 認められていない | 認められている |
目的 | 即戦力としての労働者の確保 | 長期間にわたって安定して働ける人材の確保 |
外国人サポート | 支援計画の策定実施は義務 | 必須。(支援計画義務なし) | 不要
特定技能で受け入れ可能な業種・分野は?
「特定技能」の対象業種は以下の16分野です。これらの分野は、国内での人材確保が困難とされ、特定産業分野に指定されています。なお、「農業」と「漁業」分野に限り、派遣での雇用が認められています。
分野名 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
---|---|---|
介護 | 〇 | ✕ |
ビルクリーニング | 〇 | 〇 |
素形材・産業機械・電子情報関連産業(製造分野) ※工業製品製造業に名称変更予定 | 〇 | 〇 |
建設 | 〇 | 〇 |
造船・舶用工業 | 〇 | 〇 |
自動車整備 | 〇 | 〇 |
航空 | 〇 | 〇 |
宿泊 | 〇 | 〇 |
農業 | 〇 | 〇 |
漁業 | 〇 | 〇 |
飲食料品製造業 | 〇 | 〇 |
外食業 | 〇 | 〇 |
自動車運送業 | ※2024年9月30日受け入れ開始(要確認) | - |
鉄道 | ※2024年9月30日受け入れ開始 | - |
林業 | ※2024年9月30日受け入れ開始 | - |
木材産業 | ※2024年9月30日受け入れ開始 | - |

特定技能と技能実習制度の違いを解説
「特定技能」と間違えられやすい制度として「技能実習」があります。この二つは似ているように見えますが、活動内容や転職の可否など、さまざまな違いがあります。特に大きな違いは、技能実習制度は人手不足の解消を目的としていないという点です。
技能実習は、日本で技術を学び、それを母国に持ち帰ることで国際貢献を果たすことを目的としています。したがって、単純労働には従事できず、母国への帰国が前提のため、家族帯同も認められていません。
一方、特定技能は、日本の労働力として外国人を受け入れることを前提にした在留資格です。そのため、単純労働も認められ、幅広い分野で働ける点が特徴です。
以下に、二つの制度の違いを表でまとめましたので、参考にしてください。
項目 | 特定技能 | 技能実習 |
---|---|---|
目的 | 労働力の確保 | 技能移転による国際貢献 |
受け入れ人数制限 | 建設・介護を除いて無し | 制限あり |
転職の可否 | 同一職種であれば転職が可能 | 原則不可、場合によって可 |
家族の帯同 | 特定技能2号のみ可 | 不可 |
支援団体 | 登録支援機関 | 監理団体、送り出し機関 |
在留期間 | 特定技能2号:無期限 | 特定技能1号:通算5年技能実習1号:1年、2号:2年、3号:2年(最大5年) |
技能水準 | 基礎的な知識、日本語能力必要 | 特になし (介護のみ日本語N4レベル必要) |
年収 | 日本人と同等 | 最低賃金もしくはそれ以上 |

特定技能外国人を受け入れるための企業の要件
特定技能外国人を受け入れる企業は、いくつかの要件を満たさなければなりません。以下に、企業側の条件や義務を詳しく説明します。

特定技能2号を受け入れる場合は、基本的な要件を守ればOK!
1. 適正な労働環境の確保
2. 外国人の生活支援体制
3. 登録支援機関との連携
適正な労働環境の確保
企業が特定技能外国人を受け入れる際には、適正な労働環境を提供し、日本人と同等の待遇を確保することが求められます。厚生労働省のガイドラインでも、不公平のない環境の提供が推奨されており、企業は外国人と日本人の間で待遇に差が出ないよう細心の注意を払う必要があります。
また、安全教育や健康管理も整備し、労働者が安心して働ける環境を保つことが重要です。
外国人の生活支援体制
特定技能1号の外国人労働者を受け入れる企業には、生活支援体制を整える義務があります。具体的には、外国人がスムーズに生活を始められるよう、住居探しや契約手続きを支援し、給与振込用の銀行口座開設や、公共交通機関の利用方法などの日常生活に必要な情報提供も重要です。
これらのサポートは登録支援機関と連携して行うことも可能で、企業が支援体制を整えることで、外国人労働者の業務適応と定着を促進し、安心して働ける環境が確保されます。


登録支援機関との連携
登録支援機関は、特定技能外国人の生活サポートを提供し、企業の負担を軽減する役割を果たします。企業は、登録支援機関の活用により、住居の確保や銀行口座の開設、保険・年金手続きなどの支援業務を代行してもらうことが可能です。また、支援計画を作成し、日本語教育や日本文化の理解促進の講座などを提供し、外国人労働者が安心して日本で生活できる環境を整えます。
企業が登録支援機関と連携することで、労働者のスムーズな生活適応と職場定着率向上が期待されます。
特定技能1号では、企業がサポート体制を整える必要があり、企業の8割以上が登録支援機関を利用しています。


特定技能外国人を採用するメリット
日本企業が特定技能制度を利用して外国人労働者を採用することには、多くのメリットがあります。以下に、主なメリットを挙げます。


労働力不足の解消
特定技能外国人の受け入れは、人手不足が深刻な業界で大きな助けになります。特定技能では、単純作業を含む幅広い業務が可能で、さまざまな分野で人手を補えます。特に20代の若手人材が多く、長期的な人材確保が期待できます。
早めに外国人人材を受け入れることで、企業内に多文化が根づき、人手不足にも対応しやすくなります。外国人人材にとっても、採用実績のある企業は安心して応募しやすいでしょう。
即戦力の確保
特定技能を持つ外国人を採用するには、分野ごとの技能試験に合格している必要があるため、必要な知識や技術を備えた即戦力を確保できます。また、自動車免許やフォークリフト免許など、特定の資格を持つ人を選んで募集することも可能です。
特におすすめなのは、即戦力として1名の経験者を確保し、同国出身の技能実習生やスキルが低い人材と組み合わせる方法です。経験者が母国語で部下を指導でき、部下はキャリアステップが明確になりモチベーションが向上します。
長期的な雇用の実現
特定技能制度は、企業にとって安定した長期雇用を実現できる制度です。特定技能1号では最長5年の雇用が可能で、さらに特定技能2号に移行すれば無期限での就労が認められます。この仕組みを活用することで、経験を積んだ熟練の人材を長期間にわたって育成・活用でき、業務の安定化と質の向上が期待できます。
特定技能制度の導入により、企業は人材不足の解消だけでなく、技能継承の促進や業務効率の向上といった多くのメリットも得られると考えられております。


特定技能を採用するための3ステップ
特定技能の外国人労働者を採用するには、以下の3つのステップで進めるとスムーズです。
① 企業の受け入れ体制の準備
② 受け入れる外国人を探す
③ 在留資格「特定技能」の交付申請
ステップ① 企業の受け入れ体制の準備
特定技能外国人を受け入れるためには、まず企業側でしっかりとした準備が必要です。具体的には以下のポイントを押さえて、外国人労働者が安心して働ける環境を整備します。
①登録支援機関への登録:過去2年間に外国人労働者の在籍がない場合、登録支援機関と連携し、支援計画を作成します。
②賃金条件の確認:外国人労働者を同等以上の賃金で雇う必要があります。日本人と同じ仕事内容であれば、待遇も公平にすることが求められます。
③支援体制の整備:外国人が安心して働けるよう、生活支援や業務適応のための支援計画を作成します。
これらの準備により、外国人労働者が企業で長期的かつ安心して働ける基盤が整い、双方にとって効果的な雇用関係の構築が可能となります。
ステップ② 受け入れる外国人を探す
受け入れ体制が整ったら、次は適した外国人労働者の採用活動に移ります。一般的には、人材会社や海外の送り出し機関を通じて募集を行います。信頼できる実績のある人材会社を活用することで、企業のニーズに合った優秀な人材を見つけやすくなります。
①人材探し:適した外国人を人材会社や送り出し機関を活用して探します。
②契約手続き:採用が決まったら、面接・健康診断を実施し、採用契約を結びます。


ステップ③ 在留資格「特定技能」の交付申請
最後に、採用した外国人労働者が日本で就労できるように、在留資格の申請手続きを行います。
- 在留資格認定証明書の申請:
出入国在留管理局に対して「特定技能」の在留資格認定証明書を申請します。この証明書が交付されることで、外国人労働者は正式に「特定技能」の資格で日本国内で就労できるようになります。


この3ステップで特定技能外国人の採用が完了します。特定技能の外国人を採用する際には、支援体制の整備や自社で対応できない場合は登録支援機関との連携が重要です。
特定技能の現状と課題
特定技能制度は、制度改正や対象分野の拡大に伴い、常に変化しています。在留者数も急増し、人手不足を解消する制度として大きな期待が寄せられている一方、いくつかの課題も存在しています。ここでは、特定技能制度の現状と課題について見ていきましょう。
技能実習制度の廃止と新制度「育成就労制度」の創設
特定技能の在留者数が増えた背景には、技能実習生が特定技能へと在留資格を変更できるようになったことがあります。しかし、技能実習制度自体には多くの問題が指摘されてきました。実習生が実際には労働力として利用されている現状や、実習生の失踪増加、過酷な労働環境など、制度の趣旨と異なる利用実態が批判を受け、廃止が決定しました。


この代替として新たに「育成就労制度」が導入されることが決まっています。「育成就労制度」は特定技能への移行を前提とした制度で、2年間の在留期間中に特定技能1号に必要なスキルを習得しつつ、労働力としても貢献することが求められます。たとえば、育成就労で2年間、特定技能で5年間働き、特定技能2号に移行すれば、家族の帯同も可能で、無制限に就労を続けられます。
この制度変更は外国人にとっても魅力的であり、育成就労制度を通じて特定技能を目指す人材が今後増えることが予想されます。


費用面のハードル
「特定技能」外国人の雇用には、紹介料や登録支援機関への支援費用といった受け入れ費用が発生するため、中小企業にとっては高いコストが採用の障壁となるケースもあります。これにより、特定技能の採用が思うように広がらないという課題も見られます。
ただし、登録支援機関を利用せず、企業自身で支援体制を整えることも可能です。自社の状況に合った方法を検討し、コスト面を抑えながら適切な採用方法を見つけることが重要です。


まとめ
特定技能制度は、日本の労働力不足を補うために設けられた新しい在留資格制度です。特定技能1号と2号の違いや、技能実習制度との違い、企業が特定技能を利用するメリットや注意点について解説しました。特定技能制度を理解し、正しく利用することで、日本企業は安定した労働力を確保し、国際競争力を強化することが期待されます。


外国人採用はお気軽にご相談ください。
この記事の監修者


大学卒業後、経営コンサルティング会社に入社し、企業の経営支援に携わる。その後、dodaを運営するパーソルキャリアにて、様々な方の転職支援に従事。その経験を活かし、株式会社JINにて、人材事業を開始。