
外国人雇用を本音で語る「リクアジの編集部」の上田です。本日のトピックはこちら!
・海外免許切替は協定国なら試験免除も可能
・国際免許はジュネーヴ条約のみ国内で有効
・企業のサポートで業務効率と定着率が向上
外国人労働者の免許取得は、採用担当者にとって意外と大きなメリットがあります。業務エリアの拡大はもちろん、本人の生活基盤強化にもつながるため、長期的な就労を支える有効な手段です。今回は、海外免許の切り替えや国際免許証の活用など、企業が知っておきたいポイントをまとめます。

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外国籍運転免許保有者の増加
2009年から2018年にかけて、外国籍運転免許保有者は25%増加し、2018年には907,086人となりました。日本で運転免許を取得・保有する外国人が増えることで、業務や生活の幅が広がり、多様な分野での活躍が期待されています。


どの国の外国人でも日本で免許を取得できるのか
日本で自動車運転免許を取得する際、基本的には有効な在留資格を持ち、日本国内に住所があれば国籍に関係なく手続きが可能です。ただし、就労ビザの内容や活動範囲によって業務での運転が認められるかどうかは異なります。
以下では、在留資格や業務上の注意点など、実際に免許取得を進める上で押さえておきたいポイントをまとめました。
免許取得はできても業務運転には注意
「留学」や「家族滞在」などの在留資格があれば、通勤やプライベート用に車を運転することは可能です。しかし、仕事での運転が認められるとは限りません。一方、「特定技能」や「技能実習」などの就労ビザなら、雇用契約次第で業務運転が認められる場合があります。
ただし、在留資格の期限が切れると免許の手続きができなくなるので、定期的にビザの更新や変更を行うことが大切です。

国籍別の試験免除や切り替え
試験が免除される国・地域は日本との協定によって定められており、対象国の免許証を持っている場合は学科試験や技能試験が部分的または全面的に免除されることがあります。
対象外の国籍でも、日本の交通ルールに沿った試験に合格すれば免許取得が可能です。また、すでに自国の免許を持っている方は、日本語翻訳文や在留カードなどの書類を揃えれば日本の免許へ切り替えられます。事前に試験免除国かどうか確認しておくと、手続きがスムーズに進みます。
外国人労働者が免許を取得する3つの方法
外国人労働者が日本で免許を取得するには、「海外免許の切り替え」「国際免許証」「新規取得」の三つが主な方法です。それぞれ書類や試験内容が異なるため、状況に合った方法を選びましょう。

海外免許を日本の免許に切り替える
外国ですでに運転免許を取得している方は、日本での新規取得よりも手続きがスムーズな切り替え申請を検討できます。免許取得期間は、免除対象国なら必要書類や適性検査のみで済み、最短数日~1週間程度で完了する場合もあります。
一方、免除対象外の場合は学科・技能試験の受験が必要で、予約状況や再受験などによって1か月以上かかることも少なくありません。
外国免許証やパスポート、日本語翻訳文など必要書類を揃えて提出。免許取得後に当該国で通算3か月以上滞在していた事実を証明が必要。
視力や色覚などを確認する検査。合格の基準は免許区分によって異なり、例えば普通免許なら両眼で0.7以上、一眼でそれぞれ0.3以上などが求められます。
日本の交通ルールや標識に関する基礎問題が出題。多くの免許センターでは英語や中国語など数か国語で受験できるため、日本語が不安な方でも対策しやすいです。
教習所内のコースや実際の路上で運転技術をチェック。日本特有のルール(左側通行や停止線など)に慣れていないと減点されやすいため、事前練習が重要。
学科試験・技能試験が免除される国・地域
アイスランド、アイルランド、イギリス、イタリア、オーストラリア、
オーストリア、オランダ、カナダ、韓国、ギリシャ、スイス、スウェーデン、スペイン、
スロベニア、チェコ、デンマーク、ドイツ、ニュージーランド、ノルウェー、ハンガリー、
フィンランド、フランス、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、モナコ、ルクセンブルク、
台湾、 アメリカ合衆国(オハイオ州、オレゴン州、コロラド州、バージニア州、 ハワイ州、メリーランド州、ワシントン州に限る) |
技能試験が免除される国・地域
アメリカ合衆国(インディアナ州に限る) |
※上記国・地域は制度変更される場合があります。 公式情報 を必ずご確認ください。
必要書類
こちらは大阪の免許センターで切り替える場合の必要書類です。都道府県によっては追加書類や受付方法が異なる場合があるため、お住まいの地域の公式サイトで最新情報を確認してください。
書類名・項目 | 備考 |
---|---|
外国運転免許証 | 有効期限内のもの ※書類審査・試験受験日に有効である必要があります |
外国運転免許証の日本語翻訳文 | 日本自動車連盟(JAF)または当該国の大使館など公的機関が作成したもの |
パスポート(渡航履歴の確認ができるもの) | 免許取得後に当該国に通算3か月以上滞在していたことを証明するために必要です |
在留カード(特別永住者証明書など)、もしくは住民票など身分確認ができるもの | 在留資格(例:特定技能、技能実習など)や国内住所が確認できるもの |
写真(縦3cm×横2.4cm) | 6か月以内に撮影した、無帽・正面・無背景のもの 申請書貼付用に1枚必要 |
申請用紙・質問票 | 運転免許試験場や各警察署で入手できます |
手数料 | 普通免許の場合、申請料2,550円・交付手数料2,050円(※状況により併記手数料200円などがかかる場合あり) 支払い方法は現金のみが一般的 |
旧パスポートなど追加書類 | 過去の滞在歴の確認が必要な場合に提示を求められることがあります |
切り替え申請が完了すれば、日本の免許証が発行され、車両を使った業務や日常の移動が一気に便利になります。特に国際免許が発給されない国から来た外国人従業員や、特定技能などの在留資格で働く方にはおすすめの方法です。
国際免許証を利用する
国際運転免許証があれば、特別な手続きを踏まずに日本で運転できます。「ジュネーヴ交通条約」と「ウィーン交通条約」の2種類があり、日本で使用できるのはジュネーヴ交通条約に基づくものだけです。以下にポイントをまとめました。
日本で有効なのは「ジュネーヴ交通条約」に基づく国際免許証のみ
有効期間は日本上陸から1年間で、期間を超えるなら「日本での免許取得」または「切り替え」が必要
長期滞在する場合は、日本の運転免許取得や翻訳証明書による切り替えを検討する必要がある
ジュネーヴ交通条約に基づく国際運転免許証があれば、日本国内で追加の手続きをせずに運転できます。また、運転時にはパスポートと併せて携帯しなければなりません。
日本で新規に免許を取得する
外国人が日本で最初から免許を取得する場合、日本人と同様の流れで自動車教習所へ通い学科と技能を修了した後、免許センターで最終試験を受ける必要があります。
費用は25~40万円程度かかり、英語対応の教習所は限られるため、事前の確認が重要です。時間と費用を抑えたい場合は、自国で免許を取得し、日本で切り替える方法も検討しましょう。
外国人労働者が免許取得するメリット
外国人労働者が運転免許を取得することで得られるメリットは多岐にわたります。企業にとっては人材活用の幅が広がり、外国人スタッフにとっては生活全般が便利になる効果があります。以下では主な利点を2つの視点から解説します。

業務効率と雇用の幅が広がる
配送業務や訪問営業など車両移動が必須となる業務に外国人労働者を配属すると、ドライバー不足の解消や緊急対応の強化につながり、業務効率が大きく向上します。さらに近年では「特定技能」での運送業が可能になったことで、外国人労働者の免許取得が一層注目を集めるようになりました。

免許保持者が増えれば、営業や配送といった主要ポジションへの配置を柔軟に検討できるほか、地方エリアでの事業展開でも活動範囲を大きく広げられます。企業としては労働力確保だけでなく、ビジネスチャンスの拡大にもつながるため、大きなメリットがあります。
日常生活のサポートにも役立つ
公共交通機関が不便な地域でも免許があれば通勤時間を短縮でき、従業員の負担軽減につながります。買い物やレジャーなどの選択肢が増え、日本での生活の幅が広がることで生活満足度が上がり、定着率の向上にも貢献します。
さらに、地方や郊外では車が必須となる場合も多いため、免許を持つ外国人労働者を採用しやすくなり、人手不足の解消にも役立ちます。

よくある質問
外国人労働者や企業からよく聞かれる疑問を整理し、具体的な解決策を紹介します。
外国語で試験を受けられる?
日本では外国語(英語、中国語、ポルトガル語など)で学科試験を実施している免許センターが増えています。ただし、地域によっては対応言語が限られるため、事前に各試験場のホームページや電話で確認しましょう。母国語での受験が難しい場合には、通訳の利用を検討するなど、早めに準備を進めることが合格への近道です。
日本の自動車保険には外国人でも加入できますか?
日本の保険会社はほとんどの場合、外国人でも加入可能です。ただし、在留カードや運転免許証などの身分確認書類の提示が必要となります。また、言語サポートに不安がある場合は、英語や多言語対応の保険プランを扱う代理店を探すとスムーズです。
まとめ
外国人労働者が日本で運転免許を取得する流れを確認すると、「海外免許の切り替え」「国際免許証の活用」「日本で新規に取得する」という3つの選択肢があることがわかります。企業が積極的にサポートすれば、業務効率向上だけでなく、外国人スタッフの定着率や満足度も高まります。安全運転教育や免許更新時のフォローなど、取得後のケアも含めて準備を進めてください。

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この記事の監修者

大学卒業後、経営コンサルティング会社に入社し、企業の経営支援に携わる。その後、dodaを運営するパーソルキャリアにて、様々な方の転職支援に従事。その経験を活かし、株式会社JINにて、人材事業を開始。